2022年5月27日金曜日

27- 「思想統制、言論弾圧、死の部隊で反撃を目論むキエフ」の標題で櫻井氏が講演

 6月17櫻井ジャーナル氏は東京琉球館で「思想統制、言論弾圧、死の部隊で反撃を目論むキエフ」という標題講演することを紹介し、その際に述べる内容の構想について明らかにしました。それはそのままウクライナ問題を総括的に語るものとなっています。

 記事の各所には関連する出典記事が示されています(本ブログでは緑字で表示。クリックすると該当記事にジャンプします)。それらを読めば日本のメディアが報じない様々な事実を知ることが出来ます。
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6月17日のテーマは「思想統制、言論弾圧、死の部隊で反撃を目論むキエフ」です 
                          櫻井ジャーナル 2022.05.26
 東京琉球館で6月17日午後7時から「思想統制、言論弾圧、死の部隊で反撃を目論むキエフ」というテーマで話します。6月1日午前9時から予約受付けとのことですので興味のある方は事前に下記まで連絡してください。
東京琉球館 住所:東京都豊島区駒込2-17-8 電話:03-5974-1333
http://dotouch.cocolog-nifty.com/

 ロシア軍がウクライナに対する軍事作戦を2月24日に始めて以来、ネオ・ナチはロシアとの話し合いによる解決を望む人びとを排除してきました。例えば、ロシア話し合いでの解決を目指していたボロディミル・ストルクは3月1日に誘拐され、拷問された上で射殺されています。3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上で治安機関SBU(ウクライナ保安庁)の隊員に射殺されました。3月7日にはゴストメルのユーリ・プライリプコ市長の死体が発見され、ウクライナ全体では11名の市長が行方不明だとも言われています。マリウポリ空港の地下にはSBUの「図書館」と呼ばれる秘密刑務所があり、拷問も行われていたとする証言もあります。
 米英の私的権力に操られているウォロディミル・ゼレンスキー大統領がどこまで関与しているか不明ですが、イギリスのボリス・ジョンソン首相が4月9日にキエフを訪問した直後、ロシア政府とウクライナ政府の停戦交渉は止まったようです。アメリカのジョー・バイデン政権と同じように、ジョンソン政権もウクライナでの戦闘を長引かせようとしています。
 西側の有力メディアは事実を調べず、ゼレンスキー政権の主張を垂れ流してきました。ロシア軍を悪魔化したハリウッド映画のシナリオを彷彿とさせる話ですが、時を経るにしたがい、荒唐無稽なものになっています。少しでも調べたり考えたりすれば嘘だとわかるような話でも垂れ流してきました。
 アメリカ軍の情報機関DIAはロシア軍が長距離ミサイルが攻撃しているターゲットは軍事施設だと説明、住民が狙われているとする話を否定し、またアメリカ政府が宣伝していた生物化学兵器による「偽旗攻撃」について、アメリカ国防総省の高官はロシアによる化学兵器や生物兵器の攻撃が差し迫っていることを示す証拠はないと語っていました。西側ではそうした情報も無視されています。
 本ブログでも繰り返し書いてきたように、ネオ・ナチで編成されたアゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)をはじめとする親衛隊に占領されていた地域がロシア軍に解放されて住民が脱出、米英の有力メディアが展開してきた反ロシア宣伝の嘘が明確になってきました。
 脱出した住民は異口同音にアゾフ大隊が脱出を試みる住民を射殺していると語っています。それだけでなくネオ・ナチは建物を破壊、住民や捕虜を拷問、若い女性をレイプしているとも告発しているのです。(例えば​ココ​や​ココ​)
 西側の有力メディアはロシア軍が産婦人科病院を空爆したと宣伝していましたが、破壊された時点で病院はウクライナ側の兵士によって要塞化されていたことを複数の住民は証言、その病院から別の病院へ移動させられた妊婦によると、空爆はなかったということです。
 イギリスのBBCは3月17日、ロシア軍が16日にマリウポリの劇場を空爆したと伝えましたが、それを伝えたオリシア・キミアックは広告の専門家。マリウポリから脱出した住民は異口同音に劇場を破壊したのはアゾフ大隊だと語っています。
 脱出した住民が増えるにしたがい、ネオ・ナチの残虐行為を住民が非難する映像がインターネット上に増えていますが、その一因は現地で取材していいる記者がいるからです。その中にはフランスの有力メディアTF1やRFIのほか、ロシアやイタリア人の記者もいますが、そうした情報が西側で広く伝えられているとは言えないでしょう。
 親衛隊の劣勢に危機感を持ったのか、2013年5月から16年5月までSACEUR(NATO欧州連合軍最高司令官)を務めたフィリップ・ブリードラブ空軍大将は4月7日、核戦争への恐怖がプーチンに対する適切な対応を西側はとれないのだと発言したと伝えられています。
 ブリードラブはバイデン政権へウクライナについてアドバイスしている退役軍人のひとり、ネオコン/シオニストと強く結びつき、軍事的な緊張を高めるために偽情報を発信してきました。
 こうした実態はウクライナ全域で知られるようになり、反発する住民が増えている可能性があります。ゼレンスキー政権はすでにメディアを統制、反対政党の活動を禁止、有力政治家を拘束していますが、SBUの部隊がロシアを敵視していないと見られる市民を拘束している様子を公表しています。脅しのつもりなのでしょう。
 ロシア軍によるマリウポリの制圧が見通されていた4月21日、ウクライナの南部にあるミコライフ州のビタリー・キム知事は「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と語っています。処刑を実行するための秘密部隊を編成、すでに作戦を遂行しているとも語っていました。キムにとって「裏切り者」とはゼレンスキーの政策に同意しない人びとだといいます。
 国民に対して恫喝を始めたのは危機感の表れでしょう。そうした状況の中、アントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースチン国防長官は4月24日にキエフを極秘訪問、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と3時間ほど会談したと伝えられています。
 その際、アメリカ側はさらなる軍事面や外交面の支援を約束していますが、25日にオースチン国防長官は支援の目的を「ロシアの弱体化」にあると語りました。ロシアの現体制を転覆させ、ウラジミル・プーチン大統領を排除することが目的だと理解されています。ボリス・エリツィンが米英私的権力の手先として働いていた1990年代のようなロシアを復活さたいということでしょう。
 4月29日にはアメリカ国防総省のジョン・カービー報道官が同国はドイツでウクライナ軍の兵士に榴弾砲やレイダーの扱い方を訓練すると発表、30日にはナンシー・ペロシ下院議長に率いられた議員団がウクライナを突如訪問、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの支援継続を誓いました。
 そしてアメリカ議会はウクライナに対する400億ドル相当の支援を5月19日に承認、民主党のジョー・マンチン上院議員はスイスのダボスで開かれたWEF(世界経済フォーラム)の年次総会でウクライナがロシアと何らかの和平合意を結ぶことに反対すると表明しています。
 それに対し、​ヘンリー・キッシンジャーはWEFの総会にオンラインで参加、平和を実現するためにドンバスやクリミアを割譲するべきだと語りました​。ロシアの破壊と世界制覇を目指しているネオコンやその背後にいる私的権力は怒っているようですが、キッシンジャーは遅くとも2014年からそう主張しています。ネオコンの攻撃的な政策でロシアと中国の関係を強めていることに危機感を持っているのかもしれません。
 キッシンジャーは2014年3月、つまりクーデターの翌月にはロシアとウクライナの歴史的に特殊な関係にあることを理解しなければならないと指摘、オバマ政権が実行した暴力的クーデターを批判しています。
 また、ソ連を敵視、「封じ込め政策」を打ち出したアメリカの外交官、ジョージ・ケナンは1998年5月、NATOの東への拡大を懸念する意見を表明しています。リスクが大きいと考えたようです。
 その前年、ビル・クリントン大統領は国務長官をクリストファー・ウォーレンからマデリーン・オルブライトへ交代、ユーゴスラビアへの軍事侵攻へ向かい始めています。1999年3月にNATO軍はユーゴスラビアを先制攻撃、破壊と殺戮を展開し、国を解体しました。中期的に見ると、ウクライナにおける戦争はここから始まったと言えるでしょう。
 その戦争は1992年2月に国防総省のDPG草案という形で作成された世界制覇プランに基づいて実行されました。そのプランは国防次官だったポール・ウォルフォウィッツを中心に作成されたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれています。
 その後、プランの前提が崩れましたが、ネオコンは強引に世界制覇を実現しようとしています。バイデン大統領は今年3月21日、世界が「新秩序」へ移行しつつあり、アメリカはその新秩序を先導すると語りました。そのためにはロシアや中国を屈服させるか破壊するしかないでしょう。そのため、思想統制、言論弾圧、そして死の部隊をアメリカは使っています。そうした戦術を実行する手先の中に有力メディアが含まれていることは間違いありません。こうしたことについて考えてみたいと思います。