ロシアのウクライナ侵攻を受けて、日本ジャーナリスト会議の主催でシンポジウム「戦争とメディア」が14日に東京で開かれ、東京大学の加藤陽子教授ら4人のパネリストが闊達に議論しました。
ジャーナリストの青木理氏は「戦争とメディアは“相性”がいい。日本のメディアは戦前と戦中に戦争を煽った。戦争になってからでは遅い。ジャーナリズムと戦争は両立できない」と発言しました。
かつて日本のジャーナリズムは戦争を煽る一方で戦時下では政権と軍部の支配下に入り、いわゆる大本営発表の公報機関となりました。その反省が見られずに、いままた「その道」が繰り返されるように見えるのは一体どうしたことでしょうか。
しんぶん赤旗と東京新聞の記事を紹介します。
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ジャーナリズムと戦争 両立できない 東京でシンポ
しんぶん赤旗 2022年5月15日
シンポジウム「戦争とメディア」が14日、東京都渋谷区内であり、東京大学の加藤陽子教授ら4人のパネリストが、ロシアのウクライナ侵略からメディアの現状など、闊達(かったつ)に議論しました。学問と表現の自由を守る会と日本ジャーナリスト会議(JCJ)の共催です。
「歴史の効用」を強調した加藤教授は、旧日本軍が「満州事変」を合理化するための広報活動を紹介。ロシアのプーチン大統領の侵略正当化の論理や歴史解釈を歴史家がみる意味を語りました。
ジャーナリストの青木理さんは「戦争とメディアは“相性”がいい。日本のメディアは戦前と戦中に戦争をあおった。戦争になってからでは遅い。ジャーナリズムと戦争は両立できない」と発言。
朝日新聞編集委員の高橋純子さんは、ロシアがウクライナ侵略を「特別軍事作戦」と呼んでいる点にふれ「日本でも『平和安全法制』と、言葉巧みに作り替えられている」とのべました。
早稲田大学の水島朝穂教授は「ウクライナの事態を改憲の議論につなげる浅ましさ。『惨事便乗型改憲論』だ」とのべました。
加藤教授は、菅義偉前内閣が任命拒否をした日本学術会議の推薦候補の1人です。加藤教授は「(任命拒否でも)なぜ元気なのかと言われるが、(研究と最新の知識に支えられた)学知は5年、10年でゆるがない」と語りました。学問と表現の自由を守る会の佐藤学東大名誉教授が開会あいさつしました。
ナショナリズムあおる報道に警鐘 ウクライナ侵攻受けシンポ
東京新聞(共同通信) 2022年5月14日
ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、日本ジャーナリスト会議などは14日、戦争とメディアの関係について考えるシンポジウムを東京都内で開いた。登壇者からは「ナショナリズムをあおるような報道はあってはならない」とする意見や、有事に憲法改正を議論することの危うさを指摘する声などが上がった。
ジャーナリストの青木理氏は過去の日本などを例に「戦争とメディアはある意味、相性が良い。戦争とメディアが両輪となって駆動することが起こり得る」と指摘。国内のウクライナ報道については「ロシアを『悪』と捉える感情が共有されやすい情報環境にいることも認識すべきだ」と警鐘を鳴らした。