2022年5月5日木曜日

平和守る力 9条生かす政治を 「参院選で改憲策動阻止」 全国で

平和守る力 9条生かす政治を 「参院選で改憲策動阻止」 全国で

 憲法記念日の3日、全国各地で憲法を守り生かそうとアピールする集会が行われました。
 東京の有明防災公園での「改憲発議許さない!守ろう平和といのちとくらし 2022憲法大集会」には1万5000人が参加し、自民党などがウクライナ危機に乗じて改憲や軍拡を叫ぶなか、今こそ憲法を生かし、参院選で改憲を阻止しようと団結しました。
 共産党の志位委員長は、集会で「世界に誇る憲法9条を守り生かそう――この一点で力を合わせましょう」と訴えました。
 志位氏は冒頭、ロシアのウクライナ侵略について、「いま大事なことは、あれこれの『価値観』で世界を二分するのではなく、『国連憲章を守れ』の一点で、全世界が団結することです」と強調し、日本が直面する最大の危険は、米軍が軍事行動を始めたら、安保法制=集団的自衛権を発動して自衛隊が米軍と一体になり参戦し、その戦火が日本に及んでくることと批判しました。
 そして自民党が5年以内に軍事費をGDP比2%以上にすると宣言していることに触れ、「大軍拡が、消費税の大増税か、社会保障の大幅削減になるのは火を見るよりも明らか」と強調した上で、共産党が提案している、9条を生かして東アジアに平和をつくる外交ビジョンを紹介し、「日本がやるべきは、東南アジア諸国連合の国ぐにと連携して、9条を生かして東アジアを戦争の心配のない平和な地域にすること」だとして、「世界に誇る憲法9条を守り生かそう」と呼びかけました。
 しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
註)最後の記事は、各紙が世論調査でも「9条支持派が多数である」ことを示しています。

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(写真)憲法改悪に反対しますなどとアピールする人たち=3日、東京都江東区


 憲法施行から75年を迎えた3日、全国各地で憲法を守り生かそうとアピールする集会が行われました。東京・有明防災公園で3年ぶりに開催された「改憲発議許さない!守ろう平和といのちとくらし 2022憲法大集会」には1万5000人(主催者発表)が参加。自民党などがウクライナ危機に乗じて改憲や軍拡を叫ぶなか、今こそ憲法を生かし、参院選で改憲を阻止しようと訴えました。

 野党から、日本共産党の志位和夫委員長、立憲民主党の奥野総一郎国対委員長代理、社民党の福島瑞穂党首がスピーチ。共産党の小池晃書記局長も参加し、参加者と一緒に「#憲法改悪に反対します」「守ろう平和・いのち・くらし」と書かれたプラカードを掲げました。
 主催した5・3憲法集会実行委員会の藤本泰成さん(平和フォーラム共同代表)があいさつ。ロシアの侵略行為は国連憲章違反であり直ちに撤退をと強調。これに乗じた「敵基地攻撃能力の保有」や「核共有」論を批判し、「今こそ憲法が掲げる平和主義、9条の精神が必要とされている。日本国憲法の意義を問い直していこう」と呼びかけました。

 4人の市民がスピーチ。大江京子弁護士は「軍事力による抑止力は軍拡の応酬と相互不信を広げるだけだ」と述べ、9条を生かした平和外交こそ必要だと訴え。フリーライターの小川たまかさんは、女性差別・蔑視に関して「分かりやすく言えば、弱い立場の人をなめているということです」と指摘し、憲法14条の法の下の平等を実現するため声をあげていこうと話しました。
 市民連合から、上智大学教授の中野晃一さんがスピーチ。安全保障の議論で、外交努力でつくる「安心供与」という考えが抜けていると指摘。「『抑止』だけではタガが外れてしまう。9条を守ってこそ、安全保障が成立する。まずは参院選からです」と述べました。
 8歳の息子と参加した埼玉県川口市民(49)は、改憲の動きを参院選で止めたいと述べ、「憲法が私たちの生活に身近な存在であるということを、周りの人と話していきたい」と語りました。


憲法大集会
を守り生かす――この一点で力を合わせよう 志位委員長があいさつ
                     しんぶん赤旗 2022年5月4日
 憲法大集会であいさつした日本共産党の志位委員長は、「世界に誇る憲法9条を守り生かそう――この一点で力を合わせましょう」と訴えました。(あいさつ全文 下掲

 志位氏は冒頭、ロシアのウクライナ侵略について、「いま大事なことは、あれこれの『価値観』で世界を二分するのではなく、『国連憲章を守れ』の一点で、全世界が団結することです」と強調。危機に乗じた9条改憲の大合唱が起きているとして、「日本が直面する最大の現実の危険は、米軍が軍事行動を始めたら、安保法制=集団的自衛権を発動して、自衛隊が米軍と一体になって、『敵基地攻撃』で攻め込む。その結果、その戦火が日本に及んでくることです」と批判しました。
 志位氏は、この道を進めば、とてつもない大軍拡が必要になると告発。自民党が5年以内に軍事費をGDP(国内総生産)比2%以上にすると宣言していることに触れ、「大軍拡が、消費税の大増税か、社会保障の大幅削減になる。火を見るよりも明らかです」と強調しました。
 その上で、日本共産党が提案している、9条を生かして東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」を紹介。「日本がやるべきは、ASEAN―東南アジア諸国連合の国ぐにと連携して、9条を生かして東アジアを戦争の心配のない平和な地域にすることではないでしょうか」と強調し、「世界に誇る憲法9条を守り生かそう」とよびかけました。


2022憲法大集会
志位委員長のあいさつ(全文)
                        しんぶん赤旗 2022年5月4日
 日本共産党の志位和夫委員長が3日、「2022憲法大集会」で行ったあいさつは以下の通りです。
 みなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。私は、日本共産党を代表して、熱い連帯のごあいさつを送ります。(拍手)

「価値観」で世界を二分するのではなく、「国連憲章守れ」の一点で団結を
 ロシアのウクライナ侵略が始まって2カ月あまりがたちました。多くの命が損なわれる事態に、いてもたってもいられない、怒りと憤りを募らせている方がたくさんいらっしゃると思います。
 どうやってこの戦争を終わらせるか。
 米国のバイデン大統領は、「民主主義対専制主義のたたかい」というスローガンを打ち出しています。しかし、みなさん。いま大事なことは、あれこれの「価値観」で世界を二分するのではなくて、「ロシアは侵略をやめろ」、「国連憲章を守れ」――この一点で、全世界が団結することではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
 国際世論の力で包囲し、国連憲章にもとづく平和の国際秩序を回復するため、世界と連帯して力をつくそうではありませんか。(拍手)

日本が直面している最大の現実の危険は何か――米軍と一体に海外に攻め込むこと
 いま危機に乗じて、“日本を守るためには力が必要だ”――こう言って、「敵基地攻撃」だ、「核共有」だ、「9条を捨てろ」――こういう大合唱が起こっています。
 しかし、みなさん。いま日本が直面している最大の現実の危険はどこにあるでしょうか。
 ズバリ言いますと、日本が攻撃されていないのに、米国が軍事行動を始めたら、安保法制=集団的自衛権を発動して、自衛隊が米軍と一緒に「敵基地攻撃」で攻め込む。その結果、その戦火が日本に及んでくる。これが、いま日本が直面している最大の現実の危険ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

この道を進めば大軍拡が必要――消費税大増税、社会保障の大幅削減は避けられない
 この恐ろしい道を進もうと思えば、とてつもない大軍拡が必要になります。現に自民党は、軍事費をGDP(国内総生産)比で2%以上、5年以内にやるという。2倍にするというんです。
 11兆円もの軍事費の財源をどうするんですか。私たちが「社会保障をよくしよう」――こう言いますと、いつも「財源どうするのか」とうるさく言ってくる自民党が、財源のことを言わないじゃないですか。消費税の大増税か、社会保障の大幅削減になる。火を見るよりも明らかではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)
 みなさん。危機に乗じて、憲法9条を改定し、日本を「軍事対軍事」の危険な道に引き込み、国民の暮らしをおしつぶす――こんな道はみんなで力をあわせて止めようではありませんか。(大きな拍手)

東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」を提案――世界に誇る9条を守り生かそう
 自民党などは「9条で平和が守れるか」、こう言います。しかし、みなさん。戦争を起こさないための9条を生かした外交に、知恵と力をつくすのが政治の役割ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
 私たち日本共産党は、9条を生かして東アジアに平和をつくりだす「外交ビジョン」を提案しています
 私たちが注目しているのは、東南アジア諸国連合――ASEANの国ぐにです。徹底した対話によって“紛争を戦争にしない”――平和の共同体をつくっています。そのASEANがいま力を注いでいるのが、東アジアサミット(EAS)――ASEAN10カ国プラス日米中など8カ国でつくる平和の枠組みを強化して、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約(TAC)を展望しようという大構想を示しています。みなさん、これいいじゃないですか。(「いいぞ」の声、拍手)
 日本がやるべきは、「敵基地攻撃」なんていう物騒な話じゃない。ASEANの国ぐにとしっかり連携をして、9条を生かして東アジアを戦争の心配のない平和な地域にする。これこそがやるべき仕事ではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 世界が誇る憲法9条を、守り生かそう――この一点で力を合わせましょう。市民と野党の共闘を発展させていきましょう。このことを訴えまして、ごあいさつとします。(大きな拍手)


9条支持派多数 各紙が世論調査報道
                        しんぶん赤旗 2022年5月4日
 3日付の「朝日」「読売」「毎日」などが憲法に関する世論調査の結果を報じ、2日付で「東京」などが共同通信の調査結果を報じました。
 ロシアによるウクライナ侵略が大きな衝撃を広げるもとで、戦争放棄・戦力不保持を定めた9条についての意識動向が注目されました。
 朝日」は憲法9条の条文を示したうえで 「変えたほうがよいと思うか」と問う方式で、「変えないほうがよい」が59、「変えるほうがよい」が33でした。
 読売」では「解釈や運用で対応するのは限界なので第9条を改正する」が41に対し、「これまで通り、解釈や運用で対応する」が41、第9条を厳格に守り解釈や運用で対応しない」が13で、非改正派が54でした。
 また「共同」の調査では、任期中の改憲を目指す岸田文雄首相のもとで「改憲の機運は高まっているか」と尋ねたところ、「どちらかと言えば高まっていない」が48、「高まっていない」が22で、合わせて70達しています。
 この点、「日経」の4月22~24日にかけての世論調査で、首相に期待する政策課題について12項目をあげて尋ねたところ(複数回答可)、「憲法改正」は13にとどまりました。
 他方、自民党の「改憲4項目」にある9条、2項を残して自衛隊を明記する案について「朝日」で賛成55、『共同」で賛成67となりました。