2022年5月30日月曜日

「桜」前夜祭に安倍氏側 酒持ち込み提供 毎年サントリーから無償寄付受け

 安倍元首相側が「桜を見る会」前夜祭の会場に大量の酒を持ち込み、有権者らにふるまっていたと、新たな重大疑惑を報じた赤旗日曜版(529日号)のスクープ記事が大きな反響を広げています。日刊ゲンダイとLITERAが「『しんぶん赤旗日曜版』529日号がスクープを飛ばした」と配信しました。

 これについて神戸学院大学教授の上脇博之氏は、「企業から酒の無償提供を受けたのは規正法違反になるので収支報告書にも記載しなかったのでしょうが、不記載も規正法違反で、違法に違法を重ねています。新たな重大事実が出てきた以上、安倍元首相は当然、国会で説明する必要があります」と語りました。
 しんぶん赤旗が報じました。
 併せて赤旗日曜版(529日号)の該当記事を紹介します。
   お知らせ
  都合により31日は記事の更新が出来ません。ご了承ください。
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日曜版スクープに反響
「桜」前夜祭に新たな重大疑惑 安倍氏側 酒持ち込み提供
 毎年サントリーから無償寄付受け
                       しんぶん赤旗 2022年5月29日
 安倍晋三元首相側が「桜を見る会」前夜祭の会場に大量の酒を持ち込み、有権者らにふるまっていた ―。桜を見る会をめぐる新たな重大疑惑を報じた赤旗日曜版(5月29日号)のスクープ記事が大きな反響を広げています。
 「『赤旗砲』が炸裂(さくれつ)した」と報じたのは「日刊ゲンダイDIGITAL」。ニュースサイト「LITERA(リテラ)」も、「『しんぶん赤旗日曜版』5月29日号がスクープを飛ばした」と配信しました。
 日曜版が公式ツイッターに投稿(25日)した記事告知は、リツイートが1・1万、「いいね」が1・6万に達しています(28日午後7時現在)。

 日曜版編集部は、東京地検に前夜祭をめぐる事件の記録の閲覧を請求。開示された文書の中に前夜祭会場のホテル職員が作成した「宴会ファイル」(2017~19年分)がありました。18年分には持ち込んだ酒の本数や種類について「ビール(80)ウイスキー(30)赤ワイン(24)白ワイン(24)焼酎(720ml)(12)」と記載されていました。
 大量の酒はサントリーが無償提供したもの。サントリーホールディングス広報部は日曜版編集部の取材に、16年以降、毎年前夜祭に無償提供していたことを認め、金額について「年度によって若干金額は異なるが、15万円程度」と説明しています。

 政治資金規正法は、物品などの供与や交付を「寄付」と規定。企業が寄付できるのは政党か政治資金団体のみ。同社から前夜祭を主催した「安倍晋三後援会」への寄付は違法な企業献金にあたる可能性があります
 前夜祭をめぐりこれまで、安倍氏側が会費を上回る費用を補てんしていたことが判明しています。
 ホテル側との契約交渉を担当した東京の安倍事務所の秘書は検察に、会費の補てんが、公職選挙法で禁じられている選挙区内の有権者への寄付にあたるおそれがあると認識していた、と供述。「前夜祭の会場でホテルから提供される飲食の代金を抑えるため、前夜祭の会場にお酒を持ち込んだ」とのべています。
 日曜版編集部の取材に安倍事務所は回答しませんでした。


スクープ!!
桜を見る会前夜祭 新たな利益供与 安倍氏側持ち込み ふるまい酒
サントリーが無償供与 違法寄付の疑い
                   しんぶん赤旗日曜版 2022年5月29日号
 「桜を見る会」前夜祭をめぐる新たな重大疑惑が浮上しました。安倍晋三・元首相側が会費を上回る費用を補てんしただけでなく、会場に大量の酒を持ち込み、有権者らに提供していました。安倍氏の秘書の供述調書によると、大量の酒の持ち込みは、公職選挙法違反の指摘を恐れ、補てん額を抑えるためのいわぱ隠ぺい工作″。しかも違法寄付の疑いも-。
 安倍氏は国会で説明する責任があります。   取材班

編集部が事件記録を調査し発覚
 刑事確定訴訟記録法に基づき編集部は東京地検に事件記録の閲覧を請求。開示された安倍氏の秘書やホテルの従業員らの供述調書などを閲覧しました。

「宴会ファイル」
 2018年4月の「安倍音三後援会 桜を見る会前夜祭」。会場となたホテルの職員が作成した「宴会ファイル」には、安倍事務所側が持ち込んだ酒の種類や本数が明記されていました。「ビール(80)ウスキー(30)赤ワイン(24)白ワイン(24)焼酎(720
ml)(12)」
 前夜祭は13~19年まで、東京都内の高級ホテルで安倍氏の地元後援者らを対象に会費1人5千円で開かれたもの。ホテルヘの支払額が、参加者から集めた会費を上回ったため、不足分を安倍氏側が補てんしていました。
 事件記録によると安倍氏側の補てん額は、17年で約186万円、18年で約145万円、19年で約251万円となっています。
   桜を見る会前夜祭で安倍氏側が地元有権者らに酒を提供

 

安倍氏側が会場に持ち込ん

 

これまでに判明してい

 

 

だ酒と本数が新たに判明

 

るホテルへの補填

 

 

ウイスキー   30本

 

 

 

 

赤ワイン    24本

 

 

 

 

白ワイン    24本

17年

186万860円

 

 

焼酎      12本

 

 

 

 

ビール     80本

 

 

 

 

ウイスキー   30本

 

 

 

 

赤ワイン    24本

18年

144万9700円

 

 

白ワイン    24本

 

 

 

 

焼酎(720ml)    12本

 

 

 

 

ビール500ml   20本

 

 

 

 

ウイスキー   42本

 

 

 

 

赤ワイン    24本

19年

250万7732円

 

 

白ワイン    24本

 

 

 

 

焼酎      12本

 

 

 

 補てん額などを政治資金収支報告書に記載しなかったとして「安倍晋三後援会」の代表で安倍氏の公設第1秘書だった配川博之氏が政治資金規正法違反(不記載)罪で東京地検に略式起訴(20年12月)されました。
 選挙区内の有権者への寄付を禁じた公選法違反容疑について東京地検は「参加者に寄付を受けた認識がなかった」などとして不起訴処分。不起訴処分だった安倍氏は検察審査会で「不起訴不当」の議決を受けましたが、21年12月に再び不起訴処分(嫌疑不十分)となりました。
 編集部が注目したのは、前夜祭の会場となったホテル職員が作成した「宴会ファイル」。少なくとも17~19年の前夜祭で安倍事務所側が会場に持ち込んだ酒の種類や本数が詳しく記されています。(表)

公選法違の会費補てん隠ぺいしようと〝工作″

秘書が供述
 安倍氏側は、参加者の会費を上回る費用を補てんしただけでなく、会場に大量の酒を持ち込み、有権者らに提供していたのです。これ自体、選挙区内の有権者への寄付を禁じた公選法違反の疑いが濃厚。なぜ大量の酒類を持ち込んだのか-。
 その動機″が、ホテル側との契約交渉を担当した安倍氏の東京事務所の秘書の供述調書に記されています。
 「(会費の)不足分を、安倍代議士個人や安倍代議士の関係政治団体が負担することになれば、前夜祭に参加した地元の有権者に対する寄付に該当し公職選挙法に違反するおそれがあることは分かっていました。そのため、私は、前夜祭の会場でホテルから提供される飲食の代金を抑えるため、前夜祭の会場にお酒を持ち込んだ」
 費用補てんが公漕法に違反する恐れがあると認識し、その補てん額を抑えるために、大量の酒を持ち込むという隠ぺい工作″だったのです。
 安倍氏側による有権者らへの利益供与は、会費の不足分の補てんだけでなく、酒の提供も加えたものだったことになります。

収支報告書に記載なし
 ところが安倍氏の関係政治団体の政治資金収支報告書には、該当する支出の記載がありません。なぜか 
 19年の「宴会ファイル」には、酒の本数とともに「●●様より前日持ち込み」として電話番号が付記されています。電話をかけると「サントリー秘書部です」。編集部が酒の納入の経緯などを責問すると、サントリーホールディングス(HD)広報部は「会の開催については、安倍議員事務所から教えていただいた。多くの方が集まる会だとお聞きし、弊社製品を知っていただく良い機会と考え、この会に協賛させていただいた」と回答しました。
 酒の代金は「無償」と説明。各年の酒の金額については「年度によって若干金額は異なるが、15万円程度」としています。
 政治資金規正法は、物品などの供与や交付を「寄付」と規定。企業が寄付できるのは政党か政治資金団体に限られており、同社から「安倍音三後援会」への寄付は違法な企業献金に該当する可能性があります。
 サントリーHDの新浪剛史社長は安倍政権下の14年9月から経済財政諮問会議の民間議員を務めています。18、19年には前夜祭の1週間前に安倍氏と面談・会食しています。
 安倍氏は首相在任中、前夜祭について国会で118回も虚偽答弁をしました。配川氏が略式起訴された20年12月、安倍氏は自ら答弁を修正したいと申し出て衆参両院の議院運営委員会で謝罪・説明しています。
 前夜祭の明細書の再発行と国会提出を求められると、安倍氏は「ホテルの営業上の秘密」などと提出を拒みました。しかしホテル側は地検に明細書などを提出。一部を除き閲覧できる状態でした。明細書には酒の持ち込みを示す記載があり、安倍氏自身が発覚を恐れて隠していた疑いがあります。
 安倍事務所は回答しませんでした。

安倍氏は国会で説明を   神戸学院大学教授 上脇博之さん

 安倍元首相は国会で「収支報告上、計上していれば問題がなかった」などと説明していました。問題ないどころか、秘書らは当初から、会費収入で不足する支払い分を補てんするのは有権者への寄付になり、公職避挙法違反にあたると認識していました。これを検察が公選法違反で起訴せず、嫌疑不十分で不起訴にしたのは不当な処分でした。
 企業から酒の無償提供を受けたのは規正法違反になるので収支報告書にも記載しなかったのでしょうが、不記載も規正法違反で、違法に違法を重ねています
 新たな重大事実が出てきた以上、安倍元首相は当然、国会で説明する必要があります。