植草一秀氏は、岸田首相は「前任者の悪さ」、「コロナの収束方向」、「ウクライナ戦乱の発生」、「野党の凋落」という4つの幸運に恵まれたとして、夏の参院選を大過なく乗り切れるだろうし、長期政権確保の秘訣が米国への隷従であることも十分に認識しているので、岸田政権は長期政権になる可能性があるということです。
植草氏は、「問題は、これでいいのかということ」と述べています。
日本は第二次世界大戦での敗戦から77年間米国の植民地であり続けたわけで、歴代の自民党政権は悉く米国に隷従して来ました。その挙句、いまや戦争放棄の憲法を保持しているにもかかわらず年間11兆円超の軍事費に増額することを要求され、更に米国の対中戦略の要諦である「台湾有事」を6年以内に勃発させて、日本の自衛隊を「本格的な対中戦争」に駆り立てようとしています。
このままでいい筈がありません。
「この植民地日本を今後も継続するのかどうか。日本は重大な分岐点に立たされている」。
植草氏はそう述べています。
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植民地のままで日本はいいのか
植草一秀の「知られざる真実」 2022年5月19日
国会が完全に存在感を失うなかで政局は7月10日の参議院議員通常選挙に向かう。
この選挙で岸田自民が勝利を収めれば2025年7月まで国政選挙のない選挙空白期に移行する。
岸田文雄氏の自民党総裁任期は2024年9月まで。岸田長期政権の可能性が高まる。
衆議院では選挙区割りが6月25日までに勧告されることになるのか。
10増10減が現実化すれば山口県や和歌山県の議員定数がそれぞれ1削減されることになる。安倍晋三氏が選挙地盤を失うことも考えられる。
岸田文雄氏は四つの幸運に恵まれている。
第一は前任者の悪さ。
安倍・菅首相の後継首相になれば、それだけで強いフォローの風を受ける。
傲岸不遜の両首相への悪印象が鮮明で、他者の話に真摯に耳を傾けるだけで好感度が急上昇する。
第二はコロナの収束方向。
オミクロン株は感染力が上昇したが毒性を低下させた。
政府のコロナ無策はまったく変化していないが、コロナそのものが弱体化したため、何もしなくてもコロナが原因で支持率が急落することがない。
ワクチン狂騒曲が吹き荒れてきたが、3回目接種を終えた国民は55%水準で頭打ちの状況だ。
巨大な在庫処分が実行されることになるが、政府は廃棄処分に関する事実を隠蔽する方針を示している。
いずれワクチン薬害問題が拡大するだろうが、そこに至るまでには長い時間を要する。
第三はウクライナ戦乱の発生。
岸田内閣は米国の命令に服従しているだけだが、メディアがロシア=悪、ウクライナ=善の図式報道しか展開しないから、この図式に乗って言動を示すだけで一定支持を確保できる。
ウクライナ戦乱発生でコロナに対する国民の関心が急低下したことも幸いした。
第四は野党の凋落。
立憲民主党が支持を一気に失い、これと交差するかたちで維新が浮上している。
維新も問題だらけの政党だが、維新の浮上は自民にとって大歓迎。
旧民主片割れの国民民主が連立政権への参加を求めて自民党にすり寄っている。
維新は自民以上に右寄りで国民、維新を合わせれば公明抜きの衆参3分の2議席確保も現実味を帯びる。
野党共闘破壊の主力部隊は連合。連合画策の裏にCIAの影がちらつく。
岸田文雄氏は長期政権確保の秘訣をしっかりと体得している。
米国に隷従することこそ政権長期化の最大の秘訣であることを認識している。
米国の植民地日本の提督として、地位をまっとうする基本は宗主国への忠誠。絶対服従だ。
岸田氏は対米隷属を基本に我が身の安泰を図る構え。
問題は、これでいいのかということ。
敗戦から77年の年月が経過する。明治政府樹立から第二次大戦での敗戦までが77年。第二次大戦での敗戦から本年8月までが77年だ。
この77年間、日本は米国の植民地であり続けた。
この植民地日本を今後も継続するのかどうか。日本は重大な分岐点に立たされている。
事態を打開するには健全な中核野党が必要だが、この役割を担うはずの立憲民主党が自壊した。立憲民主党自体が、米国にひれ伏すことなしに存続が困難であると判断してしまったことが大きい。
枝野幸男氏は対米隷属の方向にかじを切り、立憲民主党を没落させた。
この政党に終止符を打つのが泉健太氏の役回りになるのだろう。
新たな中核野党を誕生させなければならない。最右翼の存在がれいわ新選組。
参院選で橋頭保を築くことができるか。ここが最大の焦点になる。
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