鹿児島県曽於市の末吉中学校の文化祭で、同市に基地を構えた芙蓉(ふよう)部隊の劇が発表され、特攻に異議を唱えて夜間攻撃に徹した部隊を1年生が熱演しました。劇のシナリオはクラスの担任教師が書き、平和の尊さを訴えました。
芙蓉部隊は太平洋戦争末期における、日本海軍第131航空隊所属の3個飛行隊の通称で、関東海軍航空隊の指揮下にありましたが、実質的には131航空隊の美濃部少佐が指揮を取っていました。
芙蓉部隊は戦闘機隊とはいえ、沖縄方面の敵飛行場・艦船に対する爆撃、機動部隊に対する索敵を主体とし、夜襲戦法を用いて活躍しました。
他にも同様の部隊は存在しましたが、「特攻」が主体になっていた当時において艦隊司令部に真っ向から反対した部隊はここだけで、美濃部隊長が特攻に代わりうる代案として夜襲戦法を生み出しました。
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末吉中生が「芙蓉部隊」を劇に、平和の尊さ訴える 曽於
南日本新聞 2015年11月6日
曽於市の末吉中学校の文化祭で、同市岩川に基地を構えた芙蓉(ふよう)部隊の劇が発表された。タイトルは「本当に守りたかったもの」。特攻に異議を唱えて夜間攻撃に徹した部隊を熱演し、平和の尊さを訴えた。戦後70年とあって、ほかにも戦争を題材にした劇や作品の発表が多かった。
芙蓉部隊の劇は1年4組が発表。担任の堀之内勝幸教諭(44)がシナリオを書いた。遠足で鹿屋市の戦跡を訪ねたのを機に戦争をテーマにし、インターネットで見つけた部隊の新聞記事を基にした。
生徒は10月30日にあった本番で、部隊を率いた美濃部正少佐が特攻方針について「同じ死ぬなら、勝算のある手段を」と上官を説得する場面や、夜間攻撃に備えて暗闇に慣れる訓練をしていたことなど演じた。併せて妻や子を残して亡くなった特攻兵の手紙などを紹介して「人生を精いっぱい生き、ばかな戦争を繰り返してはならない」と訴えた。