今度のパリ銃撃事件は、それらしい事前の情報があったにもかかわらず、フランスはなぜか放置しておきあの凄惨な悲劇に至りました。
そして惨劇が起きるや否や間髪を入れずに、その黒幕を含めた犯人群の全貌が明らかにされました。
犯人が身分証明書を現場に落とすなどの不自然な行為は、911事件で当局が直ちに犯人の身分証明書を入手したのを想起させます。
著名な米のコラムニストPaul Craig Roberts氏は、事件が起きた13日から4日間連続で、パリ銃撃事件の不自然さ(彼は「偽旗事件」=別の身分を騙って行動する=と呼んでいます)についての記事を発表しています。
国際情報に明るい櫻井春彦氏は15日付で、「パリの襲撃事件は911やシャルリー・エブド襲撃と同じで不自然」とする記事を載せました。
工学倫理学者の武田邦彦氏は、ややニュアンスは異なりますが、米英仏のシリア空爆こそは最大のテロルであって、今度の銃撃事件の被害の規模とは比較にもならないという点を、シリアとフランスの歴史的対立関係と併せて力説しています。
また、国際ジャーナリストの西谷文和氏は、「仏公安は、なぜ動かなかったのか?(後掲)」とするツィッターを流しています。
そうしたところフランスのオランド大統領はこの事件を機に憲法改正を打ち出しました(後掲)。まさしく西谷氏の言うとおり「ショック・ドクトリン」の実行です。
(註.後掲と記載した以外の記事についてはURLを紹介します。)
マスコミに載らない海外記事 Paul Craig Roberts (原文発表は各2日前)
11月15日 パリで、更なる偽旗攻撃?
11月16日 勢力圏を拡大する『マトリックス』
11月17日 “パリはあらゆるものを変えた”と、メルケルの政治的盟友
11月18日 偽旗作戦を洗練させたワシントン
櫻井ジャーナル
11月15日 13日の金曜日に引き起こされたパリの襲撃事件は9-11や
シャルリー・エブド襲撃と同じで不自然
武田邦彦 音声ブログ(動画)
11月15日 パリ襲撃戦(テロではない)-1 歴史
11月17日 パリ銃撃戦(テロではない)-2 フランスの爆撃
11月17日 パリ銃撃戦(テロではない)-3 フセイン大統領とブッシュ大統領
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仏公安は、なぜ動かなかったのか?
西谷文和 2015年11月17日
フランスのテロについて感じるのは、「ショックドクトリン」だ。
911事件もそうだったが、人々の恐怖心につけこんで、戦争が拡大する。
G20で議論している国は、ほとんど全てがイラク&シリアへの空爆を続けている国。
戦争は儲かるので「空爆をやめよう」なんていう提案はなし。
テロ事件後、1~2年後に「ビンラディンとフセインはつながっていなかった」「イラクは大量破壊兵器を持っていなかった」などが判明する。
ISは米国の無謀なイラク戦争による負の遺産だ。
そしてそのISへの空爆が、憎悪の連鎖を生み、テロにつながる。
仏が冷静に対応することを願う 歴史的にはシリアは仏の植民地だった。
ISからすれば「かつての侵略者」だ。 さらに仏は米国といち早く「有志連合」を組んだ。英より先に。
リビアのカダフィーへの空爆も仏が主体だった。仏にも巨大な軍産複合体が。 ISがいる「おかげ」で、戦争が拡大する。
今回のテロは「無差別」ではない。劇場では米国のロックグループ、サッカー場は仏対独。日本料理店も狙われた。先日のロシア旅客機もそう。
今まで「日本だけは狙わない」とされてきた。「日本は広島、長崎で大惨事を受けた国」という認識。しかし安倍政権で激変。ISは公然と、日本も狙う、と。
(西谷氏)無事イスタンブール到着。仏テロの影響か、全体的に観光客は少なめの印象。今回はトルコではなくイラクを取材します。
それで。今回のラジオフォーラムは「宇宙戦争、スターウォーズの現実」について。
トルコのデイリーニュースに興味深い記事が載っている。
今回の仏テロ実行犯の一人、オマール・イスマエル・モステファイについて、トルコ当局が2014年12月に仏当局に対して、近々自爆テロを起こす可能性あり、と警告した。しかし仏当局はこの警告を無視し続けたという。
モステファイはバタクラン劇場で銃乱射し、自爆した29歳のテロリスト。彼の指紋が劇場に残っている。 仏生まれ。パリ郊外の貧困地区出身。04年から10年、小さな犯罪を犯していたが、入獄経験はない。13年にギリシャ国境からトルコ入り。
トルコ当局は15年6月にも仏当局に警告したが無視。
仏テロが起こった同じ日、13日の金曜日に、やはり同様のテロを起こすために5名の容疑者がイスタンブールにいたのだが、トルコ当局は未然に5人を拘束し、テロを抑え込んだ、という報道もある。
トルコの公安と仏の公安は、そんなに「能力の差」があるのだろうか?
仏公安は、なぜ動かなかったのか?
パリ同時多発テロ:仏大統領、対テロ戦で憲法改正へ
毎日新聞 2015年11月17日
【パリ賀有勇】パリ同時多発テロを受け、フランスのオランド大統領は16日、テロ攻撃に柔軟に対応するため、非常事態宣言によらなくても強力な治安対策をとれるよう憲法改正に乗り出す方針を示した。また、国内のテロ対策を強化するため、危険人物を国外に迅速に追放したり、過激な思想を持つモスク(イスラム礼拝所)の閉鎖を命じたりすることの検討を始めた。同時テロで犯行声明を出した過激派組織「イスラム国」(IS)に対する空爆強化だけでなく、国内でもテロ対策に全力を挙げる姿勢を鮮明にした。
非常事態宣言の根拠となる非常事態法は、アルジェリア独立戦争初期の1955年に公布され、現代のテロ攻撃などを想定していない。そのため、発動するには厳しい条件が課せられている。仏ルモンド紙によると、オランド氏は国民の自由に配慮するため、非常事態宣言に代わる手段で治安対策を強化できるよう、憲法改正を行う意向だという。
憲法改正には、上下各院での過半数の賛成に加え、両院合同会議での5分の3以上の賛成か、国民投票での過半数の賛成が必要になる。
また、オランド氏は議会に対し、テロ事件後に出した非常事態宣言を3カ月延長するよう要請した。現行の宣言下では▽裁判所の捜索令状なしでの家宅捜索▽報道規制▽人や車の往来の制限▽集会開催や夜間外出の禁止▽カフェやレストランの閉店−−などを命じることができる。
一方、オランド氏は実行犯の中に監視対象者がいたにもかかわらず、国境を自由に行き来していたことなどを問題視し、新たなテロ対策を打ち出した。テロリストの流入を防ぎ、テロの芽を事前に摘むことを目的に▽過激思想を持つモスクの閉鎖▽危険とみなした外国人を速やかに国外追放するための手続きの簡素化▽国境警備に当たる職員やテロ対策に当たる警察官の増員▽過激思想の持ち主の監視強化−−を検討する。
ISに対する軍事攻撃を巡り、オランド氏は17日、パリでケリー米国務長官と会談。空爆を強化し、圧力を強めていく方針を確認した。また、仏大統領府は、オランド氏がオバマ米大統領とワシントンで24日に、プーチン露大統領とモスクワで26日にそれぞれ会談すると発表した。