この25年間の日本の税収の変化は、所得税:27兆円⇒16兆円、法人税:19兆円⇒11兆円、消費税:3兆円⇒17兆円で、所得税、法人税が激減する一方で消費税だけが突出し、いまや最大の税目になりました。
消費税には逆進性があり、低所得でも超富裕層と同じ税率で税をむしり取られます。
欧米の付加価値税の税率は、日本の消費税率よりも高い国が多いものの、これらの国の多くは生活必需品、食料品に対しては税率ゼロ、あるいは大幅に低い税率を適用しているので、日本の生活必需品や食料品の税率8%は世界で一番高いものになっています。
安倍政権は公明党の主張を踏まえて、軽減税率を導入しようとしていますが、それは生活必需品、食料品の税率を現行の8%に据え置くかどうかの話しで、何んと自民党は例えば「コメは食料品だがオニギリは食料品ではない」というような驚くべき主張をしてもめているということです。それというのも、食料品の税率を8%に抑えたときの税の減収分が4000億円に収まるようにというのが目安だからということです。
消費税の税収は21兆円を超える規模に達するというのに、軽減税率による減収の財源は4000億円しかないなどという理屈はどこを押せば出てくるのでしょうか。
政治経済学者 植草一秀氏の怒りのブログを紹介します。
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国民をなめ切っている安倍政権の軽減税率論議
植草一秀の「知られざる真実」 2015年11月26日
日本の主権者は日本の税収構造がどのような劇的変化を示しているのかを知らない。
大資本と超富裕層が優遇され、一般庶民は、シロアリ軍団に食い尽くされようとしている。私たちは、本当に悲惨な国に住んでいる。
主権者が怒り、行動し、この国の政治を変えないと、国民の暮らしはますます悲惨なものになってゆくだろう。
日本の税収構造は過去25年間に劇的な変化を示した。
25年ほど前、日本の税収構造は次のものだった。
所得税が27兆円(91年度)、法人税が19兆円(89年度)、消費税が3兆円(89年度)
これが、2015年度、所得税16兆円、 法人税11兆円、 消費税17兆円になった。
所得税、法人税が激減して、消費税だけが突出して拡大しているのだ。
そして、ついに、2015年度、消費税は最大の税目になったのである。
所得税や法人税の税収が多いということは、税金の負担を、負担能力の高い者に負わせているということを意味する。
ところが、現在の税収構造は、税金の負担能力の低い国民に負わせるものになっているのだ。
すでに消費税の税収は17兆円で、最大の税目になっているが、この税率をさらに2%引き上げて、10%にするというのだ。
消費税の税収は21兆円を突破する。大衆虐待である。
安倍政権は消費税率10%を2017年4月に実施しようとしている。
消費税の最大の欠陥は、逆進性にある。得税の場合、税負担能力の乏しい者に対しては、課税を免除している。所得が一定水準に達するまでは、所得税を支払う義務がない。
しかし、消費税は違う。所得がゼロでも、少なくても、超富裕層と同じ税率で税をむしり取る。
また、零細事業者の場合、消費税増税を価格に転嫁できなければ、自腹で消費税を納付しなければならなくなる。地獄の税制であると言って過言でない。
この消費税増税をさらに推進しているのが安倍政権である。
日本の消費税に該当するのが欧米の付加価値税である。
付加価値税の税率は日本の消費税率よりも高い国が多いが、これらの国の多くが、食料品に対しては税率ゼロ、あるいは大幅に低い税率を適用している。
欧米諸国は付加価値税を重要な税目にしているが、消費税の持つ「逆進性」を緩和するための措置を積極的に採用しているのだ。
付加価値税率は、英国17・5%、オーストラリア10%、カナダ5%だが、これらの国は、食料品の税率をゼロにしている。
所得の少ない階層の負担が過大にならないように配慮しているわけだ。
安倍政権は公明党の主張を踏まえて、軽減税率を導入しようとしているが、「逆進性」への配慮というような代物ではない。
生活必需品、食料品の税率をゼロにするというのではなく、消費税率を現行の8%から10%に引き上げる際に、食料品の税率だけは8%にとどめようということを検討しているに過ぎない。
しかし、生鮮食料品の税率を8%に据え置くだけで8000億円の減収になるところ、この減収額を4000億円以内に抑制するなどという話が飛び出している。
安倍政権は「ない袖は振れない」などと発言しているが、馬鹿も休み休みにしろと言いたくなる。
消費税の税収は21兆円を超える規模に達する。軽減税率による減収の財源は4000億円しかないなどという屁理屈には、何の根拠もないのである。
一般大衆を虐待しても、彼らは文句も言わずに、下駄の雪のように着いてくると思うなかれ。怒りの鉄拳を放つ日は近づいている。
そして、安倍政権もまた、消費税に躓(つまづ)いて、消えてゆく存在になるだろう。
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