NHK NEWS WEB 2015年11月3日
11月3日、文化の日は日本国憲法が公布された日です。安全保障関連法を巡る議論をきっかけに憲法への関心が高まっていることから、東京の書店では憲法に関する書籍を集めた特設コーナーが設けられ、分かりやすく憲法を伝える本が人気を集めています。
東京・神田神保町の書店では、安全保障関連法を巡る議論をきっかけに日本国憲法の本を集めたコーナーを設けていて、憲法に関連した本の売り上げが、ことし9月は去年の2.3倍に伸びています。特に人気なのは一般向けに分かりやすく書かれた本です。ことし8月に出版された本は、日本国憲法の英文を現代の日本語に改めて翻訳したもので、憲法の条文をできるだけ分かりやすいことばで理解してもらおうと工夫されています。
また、若者が多く集まる別の書店で女性の注目を集めているのは7月に発売された「日本国憲法」というタイトルに「ハートマーク」がついた本です。憲法9条には平和を喜ぶ若い男性の姿、「学問の自由」を保障した憲法23条は学校生活など、条文ごとにイラストが描かれ、人気の男性声優が朗読する憲法の条文の音声をダウンロードできる特典もついています。さらに、20年以上前に初版が発売され、憲法の教科書として広く知られる憲法学者、芦部信喜さんの本もことし9月は去年よりも20%ほど多く売れているということです。
三省堂書店神保町本店の岡崎史子さんは「秋に入ってから売り上げが急激に伸びて驚いています。これまで憲法を読んでいなかった人にも関心が広がっていると感じています」と話していました。
男性客「憲法の根本的なことを学びたい」
書店の憲法コーナーを訪れた男性客は「学生の時以来ですが、安全保障関連法の議論を受けて改めて憲法の本を読むようになりました。憲法改正も議論されているだけに立憲主義や人権など、根本的なことを学びたい」と話していました。
出版社「身近な存在と感じてほしい」
若い女性向けの「日本国憲法」を出版した宙出版によりますと、声優のファンという理由で購入した小学生や中学生から「憲法が好きになった」といった反響が寄せられているということです。担当した編集部の中江陽奈さんは「70年近く受け継がれて重みがある憲法ですが、この本を通じて非常に身近な存在なんだと感じてもらえればうれしい。読んでみると好きな条文も見つかると思うのでぜひ手に取ってほしい」と話していました。