アメリカの歴史学者が、下記の記事を100人以上のニュース編集者に送って掲載するように頼んだものの、どこにも掲載されなかったということです。2日の「マスコミに載らない海外記事」が伝えました。
「(要旨)アメリカがシリアに対してやっていることはアサド政権を打倒しようとするものであって、国際犯罪に他ならない。アメリカは“民主主義”を標榜しているが、事実は二つの独裁的な全体主義神権王政国サウジアラビアやカタールと同盟して、シリア国民の55%が支持しているアサド政権を打倒しようとしている。アメリカの爆撃によるシリアの被害は実に莫大で、最近ではシリアの発電所も爆撃してシリア国家を破滅させようとしている。
シリア政府は、アメリカ合州国に損害賠償を要求すべきである。
一体どういう権限があって、アメリカはこうしたことを行っているのだろう? 国際刑事裁判所は、なぜ公然とこれを調査しようとしないのだろう? 」
「シリアにおけるアメリカの犯罪」は、多くの国家に対するアメリカの犯罪行為のほんの一例にすぎませんが、これほど明らかなアメリカの犯罪をなぜ日本を含めて西側のメディアは単に「内戦」と報じるのみで真相を伝えることはなく、アメリカのプロパガンダ(謀略宣伝)ばかりを垂れ流しているのでしょうか。
そこまでメディアは米国に牛耳られていて腐っているということです。
1日の「櫻井ジャーナル」も、アメリカがシリアに対して行っている犯罪行為を批判しています。
追記 なおアメリカ特殊部隊の役割については、3日の「マスコミに載らない海外
記事」が詳しく伝えています。
追記 なおアメリカ特殊部隊の役割については、3日の「マスコミに載らない海外
記事」が詳しく伝えています。
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アメリカは、シリアに侵略の損害賠償をするべきではないだろうか?
マスコミに載らない海外記事 2015年11月 2日
Eric Zuesse Global Research 2015年10月31日
10月30日、金曜日、アメリカのバラク・オバマ大統領は、シリアはアメリカの国家安全保障に対するいかなる脅威でもなく、いかなる国も侵略していないのに、アメリカ特殊部隊兵士50人を、シリア領土に派兵するつもりだと発表した。実際、シリアは、アメリカ合州国やヨーロッパにも脅威となっているイスラム聖戦士に対して戦っているのだ。
アメリカは、シリアの選挙で選ばれた、欧米同盟国の世論調査でさえ、いまでも大多数のシリア国民に支持されていることを示している大統領を打倒するため、シリア(最初は爆撃で、そして現在は、最初の軍隊によって)を侵略している。 2012年、アル-ヌスラ(シリアのアルカイダ)に資金提供しているアメリカ同盟国のカタール政権が、シリアを調査すべく、世論調査会社を雇った際に判明したのは、55%のシリア国民が、アサドにそのまま大統領でいて欲しいと考えていることだった。更に、2015年9月18日に私が報じた通り、“世論調査では、シリア人は圧倒的にISISはアメリカのせいだと考えていることを示しており”こうした最近の世論調査はギャラップとつながっているイギリス企業によるものだ。
ロシアは、アメリカと対照的に、シリアを全く侵略してはおらず、選挙で選ばれた政権から、侵略をしているイスラム聖戦士や、アメリカ爆撃機に対する防衛戦争を、支援するよう要請されたのだ。そして、ロシアは現在要求された支援を行っている。
シリアを侵略し、世論調査では、いまだ大多数のシリア・スンナ派にさえ支持されているシリアのシーア派大統領を打倒しようとしているスンナ派勢力を支援する、一体どのような権利をアメリカは持っているのだろう? 私は皆無だと思う。結果的に、シリア政府は、アメリカ合州国から損害賠償を要求すべきではあるまいか? そういう要求は一体いつ出されるのだろう? そういう要求は一体どのような出されるのだろう? アメリカ爆撃による、シリア・インフラの損害は既に莫大だ。
アメリカは‘民主主義’を支持していると主張するが、実際は、全体主義でも、神権政治でも、王政でさえない、アサド政権を打倒しようとしている、二つの独裁的な全体主義神権王政と同盟している。もっとも、もし彼の父親が作った政党が、シリアの指導者になるよう彼を選ばなかったら、現在の指導者(バッシャール・アル・アサド)は権力の座についていなかっただろう。しかし、それは、絶対君主制で、支配権が、もっぱら聖職者に依存している、サウジアラビアやカタールとは、決して同じものではない。ところがアメリカは、反アサドで、この両国と同盟しているのだ。
アメリカは、もちろん、サウジアラビアのサウド王家、カタールのサーニー王家というスンナ派の諸王家が、シリアにもスンナ派政権を据えつけ、シリアをカタール(あるいはサーニー家)のガスと、サウジアラビア(具体的には、サルマン王)の石油がEUへ流れるパイプライン経路にするのを支援している。アメリカ合州国がこれを望んでいるのは、アメリカ政府が、ロシアの(非常に人気のある)ウラジーミル・プーチン大統領を大統領の座から無理やり追い出そうとしているからで、それを実現するため、ロシア経済の息の根を止めようとしているのだ。ロシアのヨーロッパへの石油とガス輸出を止めるのは、この戦略の重要な一環だ。
アメリカの狙いは、ロシアがそれで同盟国を失うことになる、破綻したシリア国家だ。そこで、10月13日、ブランドン・ターバヴィルは、“ロシアがISISを爆撃するなか、アメリカはシリアの民間発電所を爆撃”という見出しの記事を書いた。アメリカは、シリアを破壊しようとしている。ロシアはシリアを救おうとしている。そこで、ロシアはISISや他の聖戦士を爆撃しているが、アメリカはシリアのインフラを爆撃している。国を一つにまとめるためのインフラがなければ、破綻国家だが、それが、アメリカの目標だ。
アメリカは、これが狙いだとは発表していない。そうではなく、アメリカは単に、バッシャール・アル“アサド・シリア大統領は辞任すべきだ”(中 略)と言うばかりだ。これは、ジョージ・W・ブッシュの“イラクでの政権転覆”というしつこい要求と同じだ。様々な国の指導者を置き換え、(中 略)侵略戦争ではないにせよ、武力侵略という国際犯罪に他ならない権利を、一体誰がアメリカに与えたのだろう?
一体どういう権限で、アメリカはこうしたことを行っているのだろう? 国際刑事裁判所は、一体なぜ公式に(大いに公式に)これを調査しようとしないのだろう?
掲載するようお送りしたのに、そのどれも掲載されなかった、私のニュース報道や解説を受け取ったアメリカのニュース編集者(100人以上だ)の一人でも、是非とも、各自のニュース報道で、公にこの疑問に答えていただけないだろうか? (中 略)あるいは、もし説明頂けないのであれは、読者なり視聴者なりの方々に、この疑問をお考え頂けるよう、この疑問を呈しているこの記事を是非掲載してもらえるだろうか?
(後 略)
Eric Zuesse
調査ジャーナリスト、歴史研究者.。新刊「彼らは全然違う: 民主党対 共和党の経済実績、1910-2010」および「キリストの腹話術師:キリスト教を生み出したイベント」と「封建主義、ファシズム、リバタリアニズムと経済学」の著者
国連の潘基文事務総長もシリア大統領をどうするか決めるのはシリア人だと語り、米の姿勢を批判
櫻井ジャーナル 2015年11月1日
アメリカ政府は他国の体制や政権を自分たちに都合良く作り替える権利があると思っている。その一例がシリアで、バシャール・アル・アサド大統領の退陣を公然と要求、そこにはシリア国民の意思が入り込む余地はない。民主主義の理念を投げ捨てたことを隠していないわけだが、そのアメリカ政府の主張を当然であるかのように伝える西側のメディアも反民主主義者だと言える。
それに対し、国連の潘基文国連事務総長は、アサド大統領の未来を決めるのはシリアの人びとだと語った。要するに「民意」の尊重。潘事務総長はアメリカの影響下にあると言われている人物だが、それでも民主主義の基本を破る発言はできなかったということだろう。
2011年3月にシリアで始まった戦闘をアメリカなどが仕掛けたと報告されているが、その手先がアル・カイダ系武装集団やそこから派生したIS(ISIS、ISIL、ダーイッシュなどとも表記)だということは公然の秘密。2012年8月にアメリカ軍の情報機関DIAが作成した文書の中でも、反シリア政府軍の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIで、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとしている。
シリアでは「アル・ヌスラ」という名前が出てくるが、これはAQIがシリアで使っているだけで、実態は同じ。アル・カイダ系武装集団の戦闘員は多くがサラフ主義者やムスリム同胞団だと言われている。アメリカ軍がイギリス軍などを率いてイラクを先制攻撃した翌年、AQIは組織された。2006年にはAQIが中心になってISIが編成され、今ではISと呼ばれている。AQI、アル・ヌスラ、ISの実態は同じだ。その武装集団をアメリカ、イギリス、フランス、トルコのNATO加盟国、サウジアラビア、カタールといったペルシャ湾岸産油国、そしてイスラエルが支援してきた。
2007年3月5日付けのニューヨーカー誌では、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3カ国がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始したと調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが書いている。
この戦略で中心的な役割を果たしているとされている人物は副大統領だったリチャード・チェイニー、副国家安全保障補佐官だったエリオット・エイブラムズ、イラク駐在大使から国連大使へなろうとしていたザルメイ・ハリルザド、そしてサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン王子。
バンダルは親米派で、特にブッシュ家との関係が深い。1983年10月から2005年9月にかけて駐米大使、05年10月から15年1月にかけて国家安全保障会議の事務局長、12年7月から14年4月にかけては総合情報庁長官を務め、アル・カイダ系武装集団を指揮していたとも言われている。
シリアと並行してリビアでも戦闘があり、2011年10月にムアンマル・アル・カダフィが惨殺されて以降は破綻国家で、破壊と殺戮が続いている。リビアでNATOと手を組んでいた地上軍の主力、LIFGはアル・カイダ系で、その後、戦闘員は武器を携えてシリアなどへ移動していく。
武器は戦闘員が持ち出しただけでなく、NATOが輸送したとも伝えられている。マークを消したNATOの軍用機がシリアとの国境に近いトルコの軍事基地へ武器と戦闘員を運んだというのだ。必然的にシリアの戦闘員はアル・カイダ系が多くなる。
ハーシュによると、武器や戦闘員をリビアからトルコ経由でシリアへ運ぶルートはラット・ラインと呼ばれ、リビアから送りだす拠点がベンガジの米国領事館で、2011年9月から12年11月までCIA長官を務めたデービッド・ペトレアスが指揮していたとも言われている。2012年9月にベンガジの領事館が襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使らが殺害されているが、この事件に武器の輸送が関係していたと考える人もいる。
チェイニー、エイブラムズ、ハリルザドと同じようにネオコン/シオニストのペトレアスはロシアがアル・カイダ系武装集団やISを本当に空爆して大きなダメージを与えたことに危機感を持ったようで、「穏健派アル・カイダ」をISと戦わせるために使うべきだと主張している。「穏健派アル・カイダ」が存在しないことは本ブログで何度も指摘してきた通りだ。