日本を100兆円の市場と見ているアメリカの製薬会社や医療業界そして医療保険業界が、TPP協定を結ぶに当り自らの手を縛るはずがありません。政府は国民皆保険制度が危うくなることはないし、薬価基準制度や保険診療制度が崩壊する惧れもないといいますが、協定書の何処でそれが保証されているのかについては一切明らかにしていません。
そんな保証などは何もないから明らかに出来ないのです。
しんぶん赤旗が、TPPの付属文書で「薬価や医療機器について協議を行う」とされていることを明らかにしました。また「TPPより厳しい規制などは認めない」ともしています。それは取りも直さず、大企業の儲けを妨げないようにあらゆる規制を排除するということに他なりません。間違っても日本の現状を維持するための歯止めなどではありません。
これまで何もかもベタ下りでアメリカのいうがままになってきた日本が、アメリカの企業が大儲け口として涎を垂らしているこの分野で、どんな抵抗が出来るというのでしょうか。
TPPの全文書は5000ページにも及ぶということですが、日本語になっているのはごくごく概要の抄訳のみです。従って今後翻訳が進むのに比例して、TPPの実態が明らかになって行くわけです。
繰り返しいわれていることですが、TPPからの撤退しかあり得ません。
繰り返しいわれていることですが、TPPからの撤退しかあり得ません。
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TPP付属「日米合意」薬価制度協議を確認
日本の医療保険脅かす危険
しんぶん赤旗 2015年11月20日
環太平洋連携協定(TPP)の「大筋合意」に関して、日本がTPP対象から除外している医療機器の規制についてTPPと同程度の水準を維持し、将来の薬価制度について協議することを、日米間の合意文書で確認していることが19日までに明らかになりました。
政府は「(医療分野などで)国内制度を一つも変えることはない」(甘利明担当相)と説明しますが、日本の医療保険を脅かす危険な火種となるものです。
問題の文書は、医薬品・医療機器に関する協定付属書の適用について合意したもの。
そこでは、日米が「医療機器の世界最大級の市場であり、かつ輸出者である」として、医療機器について「(付属書との)適合性の水準を維持する」と明記。TPPより厳しい規制などは認めない考えを打ち出しています。
また、「付属書に関するあらゆる事項(関連する将来の保健制度を含む)について協議する用意があることを確認」として、付属書に盛り込まれた「医薬品の償還価格(日本では薬価)」の決定ルールについて協議を行うことを確認しています。
高薬価求める米国
これまでも米国は、高薬価を保障する「新薬創出加算」の維持をはじめ、外国薬価が高くても日本の薬価が高くならないようにする「外国価格調整制度」や、売り上げが増えた場合に薬価を引き下げる「市場拡大再算定制度」の見直しを求めてきました。
米豪FTA(自由貿易協定)に基づく協議で米国の要求を受け入れたオーストラリアでは、医薬品が急騰し、医療財政に悪影響を与えました。TPPの「大筋合意」で日本でも同じような事態が生まれかねません。
国会で「米国要求を受け入れれば、薬が高く、治療を受けられない患者が出てくるのではないか」(日本共産党の田村智子議員、2013年3月21日参院厚労委)との指摘に対して、政府側は「向こうの言うとおりでなければTPPを結べないということではない。交渉でしっかり主張する」(田村憲久厚労相・当時)と答えていました。しかし、「大筋合意」は、米国の要求通りになっていることを示しています。
業界の利益確保
TPP「大筋合意」では医薬品の知的財産権の強化を主張する米国の要求を受けて、データ保護期間の下限などが盛り込まれました。
医薬品・医療機器付属書では、「償還価格」(薬価)設定に対し、医薬品メーカーの異議申し立てを認めることを義務づけています。
これによって安価な後発薬の開発の遅れや、医薬品などの価格上昇につながるなど、日本の薬価制度がいっそう脅かされる危険が示されています。