東京新聞 2015年11月4日
憲法公布から六十九年となる三日、安倍政権が九条の解釈を変更して安全保障関連法を成立させたことに反発して、各地で憲法にちなむ集会が開かれた。参加者らは「憲法違反の政治が加速している」「違憲の安保法の廃止を求めよう」と声を上げた。
東京都新宿区で行われた集会には約百人が参加。主催した「若者憲法集会実行委員会」メンバーの小山農(みのる)さん(28)は「憲法は生まれた直後からさまざまな攻撃を受けながら命と尊厳を守ってきたが、違憲の戦争法が成立して危機にある。法廃止を求めて声を上げよう」と呼び掛けた。
参加した大学生らは「野党共闘を求め、賛成議員を落選させる運動を今後も続けたい」などと発言した。
神戸市で開かれた集会では、五歳の双子を連れて参加した同市東灘区の運転手硲(さこ)富雄さん(47)は「憲法の大切さを理解してほしいと思い連れてきた。戦争を起こさないことの大切さは分かってくれたみたい」と話した。
高知市では憲法学者の小林節慶応大名誉教授が講演。約千二百人の聴衆を前に「政府が九条をたたき壊した。野党が手を組んで政権をとり、法律を廃止しなければならない」と訴えた。
◆国会前
安全保障関連法を成立させた安倍政権への抗議として、「アベ政治を許さない」とメッセージの書かれた紙が三日午後一時、各地で一斉に掲げられ、平和憲法を守ろうとの思いが広がった。
取り組みの呼び掛け人は作家の沢地久枝さんで、安保法案が衆院を通過した直後の七月十八日に続き、この日が二回目。俳人の金子兜太さんが揮毫(きごう)したメッセージを、参加者各自がインターネットからプリントして持ち寄るなどした。
東京・永田町の国会正門前には約六百人(主催者発表)が集まった。午後一時になるのに合わせ、女優の木内みどりさんと作家の落合恵子さんがカウントダウンを開始。参加者は、国会に向けて高々とメッセージを掲げ「戦争反対」「九条壊すな」と叫んだ。
ステージに立った落合さんは、沖縄県の米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)移設に伴う名護市辺野古(へのこ)の新基地建設計画や原発再稼働などにも触れ「政権にレッドカードを出し続け、七月の参院選で答えを出しましょう」と訴えた。
メッセージを掲げる抗議行動は、今後も毎月三日午後一時に、全国各地で実施したいという。
小学五年の孫娘(11)と参加した江戸川区の小寺千恵子さん(65)は「孫たちの世代のためにも、戦争のない世の中を守っていきたい」と力を込めた。
名古屋市であった「憲法九条を守ろう 2015愛知県民のつどい」でも冒頭、参加者約千五百人が一斉に紙を掲げた。
沢地さんも、講演のため訪れた長野県で紙を掲げた。