東京都の中学・高校に約40年間務め、自身も戦争体験者の元国語教諭が、教え子がつづった戦争体験の聞き書き22編を収めた戦争体験文集:「戦争しない国が好き!」を出版しました。
文集の出版を思い立ったのは今春で、国会で安保関連法を審議していた7月に出版しました。
76歳の元教諭は抗議集会に何度も足を運び、安保関連法成立前夜の9月18日も国会前で反対の声を上げました。
76歳の元教諭は抗議集会に何度も足を運び、安保関連法成立前夜の9月18日も国会前で反対の声を上げました。
「平和の歩みを止めない力になってほしい」と願っているということです。
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教え子と積み上げた戦後 女子学院元教諭が文集出版
東京新聞 2015年11月13日
東京都千代田区の女子学院中学・高校の元国語教諭、小野田明理子(めりこ)さん(76)=世田谷区=が、戦争体験の文集「戦争しない国が好き!」(高文研)を編集出版した。教員時代に教え子がつづった戦争体験の聞き書きで二十二編を収めた。集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法の成立に危機感を抱いており、「平和の歩みを止めない力になってほしい」と願う。 (斉藤明彦)
小野田さんは、二〇〇四年に退職するまで女子学院中学・高校の教諭を約四十年務めた。〇八年から、静岡県伊東市富戸のペンション「一本のえんぴつ」の運営責任者となり、東京と伊東を行き来している。
女子学院は一九八〇(昭和五十五)年以来、中学三年生が親族などから戦争体験を聞き取ることを夏休みの課題としている。小野田さんも最初の年から指導に関わった。核家族が増え、戦後生まれの親も出てきたころだった。「意識的に取り組まないと戦争体験を聞けないまま大人になってしまう」。体験を世代間で受け継ぐことが大切だと考えた。
自身も戦争体験者だ。終戦間際の四五年八月に疎開先の青森県大湊町(現むつ市)で空襲に遭った。戦後は父親の知人を頼って静岡県熱海市へ。牛小屋の二階を借りて住み、近海の魚やイカで飢えをしのいだ。
文集の出版を思い立ったのは今春だった。安倍内閣が昨年、集団的自衛権の行使容認を閣議決定してから「憲法九条が守られず戦争する国になってしまう」と感じ、戦後七十年の節目にできることを考えていた。
生徒の原稿は返していたが、冊子にまとめたものが手元に残っていた。八〇~二〇〇四年に指導した生徒の中から、了解を得た二十二編を収録した。疎開、学徒動員、空襲など六テーマに分けた。
国会で安保関連法を審議していた七月、文集を出した。小野田さんは抗議集会に何度も足を運び、成立前夜の九月十八日も国会前で反対の声を上げた。「法律が成立した今こそ、戦争が暮らしをどう変えるのか知ることが大事だ」という。文集は肉親を戦死で失ったり、空襲で家や思い出を焼かれたりした体験を克明につづる。体験の共有が、これからも戦後を積み上げる力になると信じている。
四六判で二百七ページ。千四百円(税別)。問い合わせは、高文研=電03(3295)3415=へ。
生徒が家族から聞き取った戦争体験を出版した小野田さん=静岡県伊東市で