日本の入国管理(入管)のあり方は、「中世期の・・・」といわれた司法の在り方と同様に、世界からひんしゅくを買っています。
去年9月、国連の人権委の作業部会(WG)から日本の入管収容制度は「国際人権法に違反している」との意見書が送られたのを機に、政府は入管難民法改正案をつくり衆院に上程しました。
しかしその内容は難民申請の回数を2回に制限し、それを超えると本国への強制送還もあるなどの大変な改悪を含むものです。
⇒(4月22日)入管難民法改正案 人権基準に達していない
衆院議員会館やその周辺で、連日抗議の集会が開かれています。
しんぶん赤旗とレイバーネット日本の記事を紹介します。
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入管法改悪 廃案こそ 国会前座り込みに100人超
しんぶん赤旗 2021年4月24日
政府・与党が成立をねらっている入管法改悪案の廃案を求める座り込みが23日、衆院第2議員会館前で行われました。呼びかけは、移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)。回数を重ねるごとに参加者が増え、この日は100人を超える人たちが参加。「人権が守られる社会に」「共に生きていこう」とアピールしました。
ジャーナリストの安田浩一さんは、司法の介在すらない現在の入管の権限をさらに強化するものであり認められないと指摘。「人権と命を守る、本当の意味での『改正』を私たちの手で実現しましょう」と訴えました。
ナイジェリア人のエリザベスさんは、母国での迫害から逃れるため日本に来たと訴え。そうした事情も考慮せず、とにかく送還するために収容し、家族を引き離すことはおかしいと語り、「難民は帰れません。だから助けて」と語りました。
日本共産党、立憲民主党、社民党、参院会派「沖縄の風」の議員が参加。共産党の藤野保史衆院議員は、国際社会からも大きな批判を受けている入管行政そのものを変えていかないといけないと語り、「廃案も含めて、これからも力を合わせて頑張りましょう」と語りました。
「強制送還されたら死刑にされてしまう」〜入管法集会でミャンマー人女性が悲痛な訴え
レイバーネット日本 2021-04-23
4月22日、参院議員会館で「入管法改悪反対を訴える院内集会」が開催された。今回の改悪の1つは、3回以上難民申請すると強制送還の対象になることだ。参加した当事者の訴えを紹介したい。なお集会は国会議員・メディアに限定されたが、オンライン配信による視聴は約600人に達した。(松本浩美)
●ミャンマー人女性(少数民族のPさん、複数回難民申請するも認定されていない)
私の生まれたところは、女性にとって危険なところでした。なぜなら、軍隊が女性を無理やり連れさって強かんし、殺していたからです、女性をさらって、中国に売ってしまいます。そのような危険の中に置かれていたので、私は小学校になる頃に親戚のいる別の場所にあずけられて、学校に行きました。ミャンマーでは軍による少数民族の弾圧は、70年近く続いています。カチン、カレン、シャン州では政府軍による攻撃が続いており、現地の少数民族の人たちの多くは家を離れて、難民キャンプに避難している人がたくさんいます。今年、軍によるクーデターが起き、ミャンマー全土で軍による市民の弾圧が行われています。でも、これはカチン民族にとって前からずっと同じなのです。私が今ミャンマーに送り返されれば、逮捕され、死刑にされてしまいます。そのことをわかってください。私は日本で、難民として保護され、夫と子どもたちと安心して暮らしていくことを望んでいます。どうか私と家族をバラバラにすることなく、難民として認めてください。
*国会前では入管法改悪反対の座り込みが続いている。本日(4月23日)は150人以上が参加した。 →移住連HP(今後の予定など) https://migrants.jp/index.html
●北穂さゆりの出演後記
入管法とミャンマー、まず事実を知ってほしい
レイバーネット日本 2021-04-23
アーカイブ録画(95分)
今回は2本の特集でありながら、根底に流れる問題意識はひとつ。”いま「ミャンマー・入管法」を考える”
入管法改悪反対を掲げてはじまった最初の特集、ゲストはジャーナリストの樫田秀樹さん。仮放免中のスリランカ人バンダーラ・ダヌカさんがオンライン出演した。ダヌカさんの入管での壮絶な体験を聞いて、正直、身の毛がよだった。酷い皮膚病になっても、治療もしてもらえない。入管では本人ではなく職員が、医師に見せるかどうか決めるという。日本でこんな人権侵害があるとは、ダヌカさんの母国の身内も信じないというが、これが事実だ。この入管法改悪への道筋は、2016年ごろ東京オリンピックを機に「社会に不安を与える外国人を排除する」という目的ではじまったそうだ。番組は彼の話を中心に、入管に権限が集中しすぎる実態を暴く。
ふたつめの特集はミャンマー問題。コロナの陰で、注目すべきミャンマー情勢は、テレビではなかなか報道されない。ミャンマーでもSNSの遮断など、言論弾圧が強化されているという。ゲストの在日ビルマ市民労働組合委員長ミンスイさんで、彼の話しを中心に聞いた。ミンスイさんによると、今回のデモの中心は若者だという。在日ミャンマー人のデモの様子は、SNSで見たことがあるが、彼らはやはり若く、「コロナ禍に集まってごめんなさい」と謝罪していた。同じくゲストのライターHIROMIさんは、ビジネスを通じて日本政府や企業とミャンマー国軍との関係が、とても深いことを指摘。関係企業のリストが写ると、スタジオ内にため息が聞こえた。
さらにレイバーネットテレビでは、これまでも重ねて報じてきた技能実習生問題など、安い賃金で働く外国人の人権をどう守るかという課題を突き付けられた。日本企業のサプライチェーンが存在する海外には、日本製品は人権侵害でできているという言葉があるというが、解決の途があるとすれば、まず、事実を知ることからである。