2021年4月26日月曜日

26- 日本学術会議総会声明「会議会員任命問題の解決を求めます」

 日本学術会議定期総会(4月20~22で出された声明「日本学術会議会員任命問題の解決を求めます」が、日本学術会議のHPに掲載されていますので紹介します。

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       「日本学術会議会員任命問題の解決を求めます」
                         令和3年(2021年)4月22
                                     議 
 日本学術会議(以下「本会議」)第25期の開始にあたり、第180回総会(第24期、令和2年7月9日)が推薦を決定した会員候補105名中6名について内閣総理大臣が任命を見送ってから半年余が経過しました。その間、本会議は第181回総会(第25期、令和2年10月1~2日)において2点にわたる要望(別添1)を決議し、会長から直接総理に手交しました。また、井上信池内開府特命担当大臣(科学技術政策)と本会議役員等との協議の場でもこの問題についてたびたび提起してまいりました。さらに、令和3年1月28日には幹事会声明「日本学術会議会員任命問題の解決を求めます」(別添2)を発出して、本会議のあり方について重要事項を決定すべき第182回総会までに6名を任命するよう重ねて強く求めました。こうした本会議の取り組みに対して、数多くの国内の学協会や大学に加え、国際学術団体などからも、声明などを通じて、支持が寄せられています。
 しかしながら、現在にいたるまで6名の任命は行われておりません。そのため、日本学術会議法第七条に定められた会員210名をもって職務にあたるべきところが現員は204名にとどまり、本会議第182回総会は、法定会員数のうち6名が欠けた状態で開催することを余儀なくされました。
 本会議第25期発足にあたってなされた任命の見送りについて、たびたび求めてきたにもかかわらず任命権者から本会議への正式な回答や説明は一切行われておりません。十分な説明のないまま、定数210名に対し欠員6名という法の定めを満たさぬ状態が続<ならば、それは本会議の独立性を侵す可能性があるものといわなければなりません。その是正をはかることができるのは、任命権者たる内閣総理大臣をおいてありません。
 日本学術会議法第七条は、上述の通り本会議が会員210名をもって組織されることを明記しています。また、会員の任命について同条第二項は法第十七条に従ってなされた本会議の「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」とし、第三項は「3年ごとに、その半数を任命する」ことを定めています。したがって、内閣総理大臣には、第25期の発足にあたり、本会議の推薦に基づいて、105名の会員を任命することが法により義務づけられています。しかるに現時点までに任命されたのは99名に留まることから、本会議第25 ・ 26 期会員にかかる任命行為は法的には終了したとは言えません。内閣総理大臣は、早急に残された6名の任命を行い、法定会員数210名を満たす責務を負っています。また、本会議の会員候補の選考と推薦が法第十七条及び関連諸規則に従ってなされる以上、任命権者には、本会議の推薦した候補者を会員として任命しなかったことについて、一般的な説明を超えた特段の理由を示す責任があります
 本会議第182回総会は、「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて(案)」を審議し決定するという重要な責務を負っています。さらに第25期の本会議には、この決定に基づき本会議の改革を実行に移す重い責任があります。この重要な課題に取り組む本会議が、このまま法の定めを満たさぬ状態に置かれることはあってはなりません。本会議第182回総会は、日本学術会議会則第二条に定められた「声明」として、本会議が法定の手続に従い推薦したものの、いまだ任命されていない6名の候補者を即時任命するよう要求いたします。

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【別添1】       第25期新規会員任命に関する要望書
                               令和2年10月2日
内閣総理大臣菅義偉殿
                           日本学術会議第181回総会
第25期新規会員任命に関して、次の2点を要望する。
1.2020年9月30日付で山権妻一前会長がお願いしたとおり、推薦した会員候補者  が任命されない理由を説明いただきたい。
2..2020年8月31日付で推薦した会員候補者のうち、任命されていない方について、  速やかに任命していただきたい。

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【別添2】          日本学術会議幹事会声明
         「日本学術会議会員任命問題の解決を求めます」

 日本学術会議(以下「本会議」)第25期の開始にあたり、第180回総会(第24期、令和2年7月9日)が推薦を決定した会員候補105名中6名について菅義偉内閣総理大臣が任命を見送ってからほぽ4ヵ月が経過しました。その間、本会議は第181回総会(第25期、令和2年10月1-2日)において2点にわたる要望(別添)を決議し、会長から直接内閣総理大臣に手交しました。また、井上信治内閣府特命担当大臣(科学技術政策)と本会議役員等との協議の場でもこの問題について提起してまいりました。しかしながら、現在にいたるまで6名の任命は行われておりません。そのため、日本学術会議法第七条に定められた会員210名をもって職務にあたるべきところが現員は204名にとどまり、本会議の運営や職務の遂行に支障をきたす事態となっています。とりわけ6名が所属予定であった第一部(人文・社会科学)では1割近い数の会員が任命されておらず、部会・委員会・分科会などの会務の遂行に困難が生じています。私たちは、前例のないこの事態に直面して対応を迫られてきました。
 今回の任命見送りについて、たびたび求めてきたにもかかわらず任命権者から本会議への正式の回答や説明は一切行われておりません。このまま定数210名にたいし6名の欠員という法の定めを満たさぬ状態が長く継続することは、本会議の独立性を侵す可能性があるものといわなければなりません。その是正をはかることができるのは、任命権者たる内閣総理大臣をおいてありません。
 本年4月には第25期二度目となる第182回総会が開かれます。この総会は、政府とも協議を重ねながら検討を進めてきた本会議のより良いあり方について意思決定すべききわめて重要な役割を担った総会であり、これが法の定めを満たさぬままに開催されることは避けられねばなりません。本会議が適正な選考手続きを経て推薦したもののいまだ任命されていない6名を、すみやかに任命されることを強く求めます。
                                令和3年1月28日
                                日本学術会議幹事会
                                 会長 梶田 隆章
                                  (以下は省略)