2021年4月25日日曜日

3度目の緊急事態 補償と検査の強化を今度こそ

 25日から511日まで東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に緊急事態宣言が出されました。
 政府がなすべきことをせず3度目の宣言に至った責任は重大です。菅首相は口先だけで反省の弁は述べるしやるべき項目も一応は挙げるのですが、それをキチンと実行した試しがありません。加えて今回は期間を定めての宣言であり、成り行きに関わらず511で解除するというものです。
 こんな短期間では感染が治まるどころか僅かに減勢に向かうかどうか、という程度しか期待できません。一体何を考えているのか不思議というしかありません。
 なすべきことは共産党が繰り返し提言しているように、休業要請などに伴う損失の全面補償、検査の抜本的強化、医療機関の減収補填などです。
 しんぶん赤旗が「 ~ 補償と検査の強化を今度こそ」とする「主張」を出しました
 併せて関連する2つの記事を紹介します。
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主張 3度目の緊急事態 補償と検査の強化を今度こそ
                       しんぶん赤旗 2021年4月24日
 新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、菅義偉政権が東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に25日から5月11日まで緊急事態宣言を出すことを決めました。政府がなすべきことをせず、3度目の宣言に至った責任は重大です。休業要請などに伴う損失の全面補償、検査の抜本的強化、すべての医療機関の減収補填(ほてん)など政府がすべきことは明確です。

同じ誤りを繰り返すな
 従来の延長線上の対策では、また宣言の解除と再宣言を繰り返すことになります。菅首相は2度目の緊急事態宣言を解除した3月「再び宣言を出さないため」の五つの対策を打ち出しました。(1)飲食を通じた感染の防止策継続 (2)変異株への監視体制強化 (3)モニタリング検査 (4)安全、迅速なワクチン接種 (5)医療提供体制の強化―です。結局ほとんど進んでいません
 検査については、日本共産党の度重なる提起や自治体の進んだ取り組みに押され、政府はようやく拡大の必要性を言うようになりました。しかし圧倒的に足りませんモニタリング検査は1日二千数百件程度と、政府が目標とする1日1万件に遠く及びません。変異株の検査比率は36%にすぎません。抜本的な拡充が必須です。
 ワクチンの接種は医療従事者でも2回目を終えた割合が2割に届かず、高齢者にはほとんど行き渡っていません。菅政権はこれまでも不確かな情報を振りまき、国民を混乱させました。接種までの具体的行程を示し、不安を解消することは政府の責任です。
 医療体制については、政府が減収補填をしない態度を変えなければ改善されません。地域医療を支える医療機関にはコロナ患者受け入れの有無にかかわらず減収を補填し、支援措置を充実させることが急務です。
 今回の緊急事態宣言に最も大きな打撃をうけるのは飲食を中心とした中小業者です。営業時間短縮などの要請が1年にわたって続き、疲弊は限界を超えています。廃業も増加しています。その上で菅政権は「強い措置を集中的に」と言います。政府が損失補償をしない姿勢を改めなければ、業者が立ち直れなくなってしまいます。
 今回は酒類を提供する飲食店やカラオケ店に休業を要請し、酒を提供しない店にも営業時間の短縮を求めます。今まで以上に過酷な営業制限を4~5月の大型連休も強いられることは死活問題です。
 休業や時短への協力金は事業規模に応じたものにし、すべての損失を国の責任で補償することが必要です。持続化給付金と家賃支援給付金の第2弾の給付、生活困窮者への10万円給付は待ったなしです。雇用調整助成金のコロナ特例も延長が当然です。
 対策を強化するためには予備費だけでは足りません。政府がただちに補正予算案を編成し国会に提出することが求められます。

五輪中止の決断ただちに
 日本と世界の感染状況をみれば今夏の東京五輪開催強行はいよいよ無謀なものになっています。医療従事者の確保という課題一つとっても無理は明らかです。今夏の開催に固執する姿勢が、緊急事態宣言の期間設定をはじめ政府のコロナ対応をゆがめているとすれば重大です。菅政権はただちに中止を決断し、コロナ対策に力を集中すべきです。


緊急事態宣言受け衆参で質疑 十分な補償が必要 清水氏 封じ込めの姿勢を 山下氏
                       しんぶん赤旗 2021年4月24日
 衆参議院運営委員会は23日、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言の再発令、「まん延防止等重点措置」の適用拡大にあたり政府から事前報告を受け、質疑を行いました。日本共産党から清水忠史衆院議員、山下芳生参院議員が質問しました。
 清水氏は、前回の緊急事態宣言の解除から短期間で再発令せざるを得なくなった原因をただしました。
 西村康稔経済再生担当相は「変異株が関西を中心に広がってきたことが要因だ」と答弁。清水氏は「変異株は3月中旬には兵庫で猛威を振るい始めていた。政府の認識、対応は甘い」と批判しました。
 PCRの社会的検査については、「高齢者施設だけでなく、病院、学校、保育所などに拡大すべきだ」と指摘。「モニタリング検査も1日1万件の目標のところ2360件にとどまっている。もっと引き上げていく必要がある」と強調しました。
 また、宣言発令に伴い、酒類を提供する飲食店に対しては時短ではなく休業を要請するため、「これまで以上の十分な補償が必要だ」と主張。西村担当相は「これまでと同等の措置で対応できる」などと述べるにとどまりました。
 さらに清水氏は、夏の東京五輪・パラリンピックの開催は、「すでに疲弊している医療機関にさらに負担を押しつけるものだ。中止の選択を」と求めました。
 山下氏は、西村担当相が「感染流行の波は何度も起こる、今後も起こり得る」と発言したことに触れ、「これから3度目の宣言を発令しようという時にあまりにもひどい発言だ。西村大臣の発言は政府の立場か」とただしました。
 西村氏は、「私の発言は政府の認識だ」と答弁。山下氏は、「政府が感染を封じ込めようという立場に立たなかったら全く展望がない」と批判しました。
 山下氏は、こうした政府の姿勢がコロナ対策にも表れていると指摘。英国はワクチン接種、徹底的な検査で感染を抑え込んでいる一方で、日本のPCR検査数は人口比で世界146位だと述べ、「これでどうやって国民の暮らしと命を守るのか」と追及しました。西村担当相は、「人口当たりの検査数は確かに少ない」と認めつつ、「さまざまな課題がある」と言い訳に終始しました。
 山下氏は、感染封じ込めのための大規模検査、中小事業者が事業を続けられる十分な補償、医療機関への減収補てんなど、「コロナ収束に全ての力を集中し、何としても感染を封じ込めることこそ政治の責任だ」と強調しました。


緊急宣言発令 十分な補償、具体化早く 田村政策委員長が会見
                       しんぶん赤旗 2021年4月24日
 日本共産党の田村智子政策委員長は23日、国会内で記者会見し、新型コロナウイルス対応の4都府県への緊急事態宣言発令について、「今回、大型商業施設や酒類を提供する飲食店に対しては休業要請し、人の流れを大きく止める措置をとろうとしている。しかし、新たな措置に、いかなる減収・損失への補償を行うのか、何も打ちだされていない」として、事業規模に応じた十分な補償を至急、具体化するよう求めると表明しました。
 田村氏は、大型商業施設には、テナントも多数あり、その関連業者の裾野が広いと指摘。酒類を出さない飲食店は、引き続く時短営業要請だが、人の流れを大きく止めるもとで、従来同様の手だてでいいのかが問われると述べました。

 また、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置、その他の地域に分かれ、さらに業態ごとの補償となれば、複雑な支援策となり、混乱必至だと指摘。「シンプルに、減収に対して持続化給付金や家賃支援給付金の再度の支給が必要だ。同時に、生活困窮者への給付金など国民に対する給付金も具体化が求められる。そのために、一刻も早い補正予算案の編成を要求したい」と強調しました。