菅首相は新型コロナの感染拡大に対して、これまでどんな発言をして来たでしょうか。
東京新聞が改めてまとめた内容は次の通りです。
「爆発的な感染は絶対に防ぎ、国民の命と健康を守り抜く」(10月26日所信表明)
「1ヵ月後には必ず事態を改善させる」(1月7日記者会見)
「1ヵ月後で宣言解除できなかった責任は全て私が背負う」(2月2日参院議院運営委)
「感染拡大を二度と起こしてはいけない。その決意を自らにも言い聞かせている」(3月18日記者会見)
「全国的な大きなうねりとまではなっていない。各地で発生する波を全国規模の大きな波につなげないように対策を徹底する」(4月14日参院本会議)
(緊急事態宣言の東京五輪への影響は)「ないと思っている」(4月20日ぶら下がり会見)
ここに出てくる「絶対に防ぐ」、「国民の命と健康を守り抜く」、「必ず事態を改善させる」、「責任は全て私が背負う」、「感染拡大を二度と起こしてはいけない」などは、何か青春根性物語のドラマに出てくるような言葉の数々ですが、実際はただそう断言するだけで何一つ実行していません。
だからこそ同じことを言い方を変えて繰り返すしかないのですが、自分で恥ずかしくないのでしょうか。
「口先○○」「口先番長」という言葉がありますが、もう初老に達している人間がそこまで断定的に空々しい言葉を繰り返すというのは尋常なことには思えません。日本はそんな人間に舵取りを任せているということです。
東京新聞の2つの記事を紹介します。
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菅首相、宣言出しても「五輪に影響ない」
たびたび示した感染収束への決意は裏目続きなのに…
東京新聞 2021年4月22日
新型コロナウイルス感染拡大の「第4波」を受け、政府は3度目の緊急事態宣言を発令する方針だ。菅義偉首相は1カ月前に前回の宣言を解除する際、「感染拡大を2度と起こしてはいけない」と固い決意を語ったばかりだが、結果につながっていない。それでも首相は、東京五輪・パラリンピックの開催には依然として強いこだわりをみせている。(清水俊介)
◆「1カ月後に必ず事態改善」も解除は2カ月半後
首相は就任以降、感染収束に向けた決意をたびたび語りながら、結果は裏目に出ている。
昨年10月の臨時国会では、所信表明演説で「爆発的な感染は絶対に防ぐ」と表明。結局は「第3波」が来て、年明け早々に2度目の宣言発令を決断した。2度目の発令時には「1カ月後に必ず事態を改善させる」と強調したが、全面解除は2カ月半後になった。
首相としては、感染拡大を食い止めるため、国民に不要不急の外出自粛を要請したり、店舗に営業時間短縮を要請したりして負担を強いる以上、決意や目標を明確に示すことで理解を求めるしかなかった。
政府の緊急事態宣言の発令や解除の判断には、東京五輪もリンクしている。3月21日で2度目の宣言を解除したのは、25日からの聖火リレー開始を意識していたとされる。
首相は今月20日夜、3度目の宣言発令に関し「状況を踏まえて、判断する」と説明。記者団から「宣言を出した場合、東京五輪の開催に影響はあるか」と問われ「ないと思っている」と語った。
◆五輪開催への影響懸念でまん延防止も…
政府はコロナ対策の最後の一手となる宣言発令が五輪開催の機運に水を差すことを懸念。今月に入って、宣言に準じた対策が可能な「まん延防止等重点措置」を出し、感染拡大を抑えながらワクチン接種を進める戦略を描いてきた。
だが、感染拡大の傾向は続き、3度目の宣言発令が不可避に。一方で、ワクチン接種は五輪の期間までには完了しそうにない。
首相は21日の参院本会議で、ワクチン接種が進まない中での五輪開催に野党が疑問を呈したのに対し「ワクチンを前提としなくても安全安心な大会を実現できるよう、感染対策をしっかり行っていく」と強調した。
まん延防止、試み挫折 全面解除1カ月で再々宣言へ
時事通信 2021年04月22日
政府が新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を全面解除してわずか1カ月。大阪市など区域を絞った感染対策を可能とする「まん延防止等重点措置」は、リバウンド(感染再拡大)防止に期待した効果が挙げられず、試みは挫折しつつある。3回目の宣言発令による「強い措置」で感染拡大を抑え込めなければ、夏の東京五輪・パラリンピック開催はいよいよ再考を迫られかねない。
1月に首都圏や関西圏などに発令された宣言は、3月22日までに全て解除。オフィス街や繁華街で人の動きが戻った。感染状況はすぐに悪化に転じ、宣言に準じた重点措置で飲食店を中心に対策を強化したものの、新規感染者数の増加に歯止めがかかっていない。
大阪府の21日の新規感染者は、過去最多の1242人。感染者急増の背景として、西村康稔経済再生担当相は同日の衆院内閣委員会で、感染力の強い変異ウイルスが「急速に拡大した」ことに加え、「人出が減らなかった部分もある」と指摘した。重症者数の増加は病床の逼迫(ひっぱく)を招き、兵庫、京都、奈良、和歌山など周辺の府県に影響が広がる。大阪の重点措置が「特定地域からの感染流行」を抑えるという目的を果たせなかったことは明らかだ。
一方で、同じく重点措置を適用中の宮城県は仙台市を対象とした対策が奏功し、感染者数が前週比で約4割減少するなど状況は好転。西村氏は「限定的に集中的に対応することで、かなり人出も減り、感染者の数も抑えることができている」と評価した。大阪と比べて人口規模が小さいことも寄与したとみられる。3回目の宣言では、飲食店だけでなく、商業・遊興施設など幅広い業種に対する休業要請を含む踏み込んだ対策によって、どこまで人出を抑制できるかがカギを握りそうだ。
社会経済活動を制約する宣言の期間でも、政府と自治体の間で綱引きが続く。首相官邸では3週間程度とする案が検討されているが、東京都は大型連休中の4月29日~5月9日を軸に短期間にとどめたい考え。五輪開催や経済への影響を極力回避したいという思惑は一致するが、都の案に与党幹部は「本当に収まるのか」と懐疑的だ。
期間が長引けば五輪開催への障害となりかねないが、短すぎれば感染を十分に抑え込めず、禍根を残す恐れもある。「五輪ありき」の姿勢が必要な対策の妨げになっているとの見方は根強く、共産党の穀田恵二国対委員長は記者会見で「五輪中止の決断を今こそ行うべきだ。コロナに打ち勝つためにも中止することが必要だ」と訴えた。