2021年4月8日木曜日

08- 「五輪までは菅首相支持」と安倍前首相 解散権を封じ後継総理選びへ

 3月29日菅首相は安倍事務所を訪ねて50分近く話し込みました。菅氏は、事務所前で待ち受けていた30人近い記者たちに「内政、外交について意見交換した。非常に有意義だった」と珍しく機嫌よく語りました。

 この会談がマスコミで報じられることは、菅氏にとっては「安倍氏は菅政権を支持している」と党内に印象付けることができるし、「桜」問題を巡る捜査で政治活動を制限されてきた安倍氏の方「政権への影響力は健在」とアピールすることができるので、それぞれにメリットがあると見られています。
 ただNEWS ポストセブンは、安倍氏の側近議員が、「安倍さんは日頃から、『菅総理は総裁任期の残りを引き継いだ救援投手だからオレには支える責任がある』と語っているそれは自分が誘致した東京五輪を成功させたいという思いからで、『麻生さんとも話しているんだが、衆院選を考えると後は誰がいいのかなあ。来年は参院選もあるから』と菅総理が五輪を花道に退陣することを想定して後継総理の人選について話し合っている」と語ったことを報じました。さもありなんという内容です。
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「五輪までは菅首相支持」の安倍前首相 解散権を封じ後継総理選びへ
                       NEWS ポストセブン 2021/4/5
                     週刊ポスト2021年4月16・23日号
「内政、外交について意見交換した。非常に有意義だった」。菅義偉・首相は安倍晋三・前首相との会談(3月29日)の後、議員会館の安倍事務所の前で待ち受けていた30人近い記者たちに囲まれると珍しく機嫌良くそう語った。
 菅・安倍会談は首相就任直後の昨年10月以来ほぼ半年ぶり。前回は約10分間だったが、今回は50分近く話し込んだ。
 訪米を前に「外交が苦手」とされる首相が安倍氏に外交上のアドバイスを求めたのはわかる。だが、わざわざ「内政」についても話し合ったとリップサービスしたことで、永田町は、すわ解散総選挙かと浮き足立ち、「4月30日解散、5月23日投開票」といった選挙日程が流れている。
 もっとも、2人には会談が注目されること自体が計算通りだ。菅首相にとって、退陣後も最大派閥・細田派の実質的なトップで党内に隠然たる勢力を持つ安倍氏の存在は潜在的な脅威だ。それだけに、首相就任以来「疎遠」とみられていた安倍氏と面談したことで、「安倍氏は菅政権を支持している」と党内に印象付けた。
 一方、「桜を見る会」をめぐる捜査で政治活動を制限されてきた安倍氏も、首相との会談で「政権への影響力は健在」だとアピールすることができた
 だが、互いの本音は「一枚岩」にはほど遠い。「五輪までは菅ちゃんを支えなきゃな」。安倍氏が側近に漏らしているという言葉には、菅首相への複雑な感情が滲んでいる。側近議員がいう。
「安倍さんは日頃から、『五輪まで』と期限付きで菅さんを支えるという。菅総理は安倍さんの総裁任期の残りを引き継いだ救援投手。だから『オレには支える責任がある』とも語っているが、それは自分が誘致した東京五輪を成功させたいという思い。副総理の麻生(太郎)さんと会った時もよくそんな話をしているそうです」
 裏を返せば、“五輪までは菅首相に解散させない”ということだ。
 だが、東京五輪・パラリンピックが終われば、すぐ自民党総裁選に突入する。「五輪までの支持」とは、安倍氏が総裁選では「菅続投支持」ではなく、フリーハンドを持つつもりであるという意味まで読み取れる。
 それがはっきりわかるのが次の証言だ。
「安倍さんは『麻生さんとも話しているんだが、衆院選を考えると後は誰がいいのかなあ。来年は参院選もあるから』とも語っている。麻生さんとは、菅総理が五輪を花道に退陣することを想定して後継総理の人選について話し合っている。もともと任期1年の救援投手の菅総理には本当の意味での解散権はないという考えでしょう」(同前)
 9月5日に閉幕する東京パラリンピックを節目に菅首相は退陣するというのが安倍氏の“期待”しているシナリオなのだ。
 菅首相も最近の安倍氏の動きにただならぬものを感じたからこそ、腹を探るために議員会館の事務所に出向いたのだ。