菅首相は就任早々に日本学術会議の会員候補6人の任命を、理由を明かさないまま拒否しました。この6人全員が26日までに、「自己情報開示請求」を内閣府や内閣官房に行いました。本人が請求することで、これまでのプライバシーを開示拒否の理由にした手段を禁じる趣旨です。
併せて法学者や弁護士ら法律家1162人も同日、行政文書開示請求を行いました。
6人の任命拒否の原案は、官邸ポリスともいわれ菅氏の懐刀と見られる杉田和博・内閣官房副長官が作成し、内閣府とやり取りした記録が残っているということです。
この政権による日本学術会議の人事介入は学問の自由そのものへの介入であり、理由不開示のままで済ませることは出来ません。
もしも理由として了解できないものであれば更に追及しなければなりません。
当面は政府に理由の全面開示を求めますが、不開示の場合は訴訟も検討するということです。
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任命拒否6氏 開示請求 学術会議「政治介入 強い疑い」 法律家1162人も
しんぶん赤旗 2021年4月27日
菅義偉首相が日本学術会議の会員候補6人の任命を理由を明かさないまま拒否している問題で、この6人全員が26日までに、行政機関に自らの情報を開示させる「自己情報開示請求」を内閣府や内閣官房に行いました。任命拒否の経過に関する文書を開示させ、理由や責任の所在を明らかにさせるとしています。(安川崇)
「なぜ首相が自分を任命しなかったのか」が分かる資料を本人が請求することにより、プライバシーを理由とした開示拒否を防ぐ狙いがあります。
任命拒否された2人がこの日、請求書を提出。残りの4人も郵送などで提出したといいます。
併せて法学者や弁護士ら法律家1162人も同日、行政文書開示請求を行いました。
任命拒否の経緯については加藤勝信官房長官が昨年11月、参院予算委員会で「杉田(和博・内閣官房)副長官と内閣府のやりとりを行った記録について、内閣府で管理している」と答弁し、記録が存在することを認めています。1162人はこれを含め、一連の経過を示す文書の開示を求めています。
請求人らは提出後に都内で会見。当面は政府に全面開示を求めますが、不開示の場合は訴訟も検討する方針を示しました。
任命拒否された岡田正則・早稲田大学大学院教授(行政法学)は「(任命拒否は)法律家から見て違法と言わざるを得ない。それについて何の説明もしないことは、議会制民主主義を破壊する」と政府を批判しました。
やはり拒否された小澤隆一・東京慈恵会医科大学教授(憲法学)は「学術会議は研究・実績に基づいて会員候補を選考した。政府は拒否の特段の理由を明らかにする必要がある。政治の側から介入があったという強い疑いを持たざるを得ない」と語りました。
任命拒否をされたのは岡田氏、小澤氏のほか芦名定道京都大学名誉教授(キリスト教学)、宇野重規東京大学教授(政治思想史)、加藤陽子東京大学教授(日本近代史)、松宮孝明立命館大学教授(刑事法)の各氏です。