2021年4月16日金曜日

20年度 米軍経費 7976億円 日本の高額負担常態化

 日本政府が20年度に計上した在日米軍関係経費の総額が7976億円であることが、しんぶん赤旗の調査で分かりました。17年度以降おおむね8000億円規模の負担が常態化しています
 米軍駐留経費は、日米地位協定第24条で、「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と明記しているのですが、現実は1978年以来「思いやり」と称して駐留経費を負担するようになり、その総額は43年間で10兆円にものぼります。
 日本の米軍駐留経費の負担額は、総額においても米国負担分との比率においても世界で断トツです。 ⇒20.1.27)駐留費の負担協議 米軍への「思いやり」廃止こそ
 それにもかかわらず米国のトランプ政権は21年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担思いやり予算」(現行は2000億円弱)について、現状の約4・5倍に当たる年約80億ドル(約8800億円)に増額するように要求しています
   ⇒19.11.17「思いやり予算」4・5倍増の米要求を「好機にしよう」(日々雑感)
 考えられない横暴さですが、政府にはそれを毅然とはねつけるという姿勢が見られません。
 日本では貧困層が増大するなか、生活保護費は減らされる一方で高齢者層の医療費を2倍化する方針まで浮上しています。米国におもね、財界の言うことを聞くだけのこの体たらくではどうしようもありません。
 しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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20年度 米軍経費 7976億円 日本の高額負担常態化
半分は支払う義務なし
                       しんぶん赤旗 2021年4月15日
 日本政府が2020年度に計上した在日米軍関係経費の総額が7976億円となりました。過去最高の18年度に次ぐもので、おおむね8000億円規模の負担が常態化しています(グラフ)。日本共産党の21年度衆院予算委員会要求資料(防衛省分)に基づき、本紙が計算したものです。
 日米両政府は4月以降、新たな在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)特別協定の締結交渉に入りますが、米側は「対中国」での同盟強化を掲げ、さらなる負担の増大を求めるとみられます。
 米軍の特権を定めた日米地位協定24条では、日本側の米軍駐留経費負担を定めています。しかし、具体的に明記されているのは土地の賃料などに限られています。米軍関係経費のうち約5割にあたる3930億円((1)思いやり予算1993億円 (2)在日米軍再編経費1799億円 (3)SACO〈沖縄に関する日米特別行動委員会〉経費138億円)は、地位協定上も支払う義務がありません





 とりわけ、沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設をはじめとした在日米軍再編の拡大が日本側の負担を大きく引き上げています。米議会調査局の日米関係に関する最新の報告書(6日付)は、米軍再編計画に伴う(1)辺野古新基地 (2)在沖縄海兵隊のグアム移転 (3)岩国基地(山口県)への空母艦載機移転―を「戦後最大級の基地建設」と指摘しています。

 また日本政府は、基地従業員の給与や米兵の住宅・娯楽施設、水光熱費などを盛り込んだ「思いやり予算」について、年間2000億円規模を維持。うち1500億円以上を占める特別協定分について、米側は増額を求めています。


維持費ほぼ日本負担 全容開示が不可欠 在日米軍経費8000億円規模
                       しんぶん赤旗 2021年4月15日
 ―面報道のように、8000億円規模とな巨額の在日米軍関係の負担が常態化しています。これ以外にも、道路建設や公共施設に建設の伴い、米軍施設の移転が必要な場合、当該省庁が代替基地を提供するなど隠れ負担も存在しており、さらに膨らむ可能性もあります
 米軍は日本以外に韓国や欧州、中東などに大規模な部隊を駐留しており、その経費は当該政府との協議で決定されますが、本の負担額は間違いなく突出しています。
 一方米側は2010年以降、在日米軍に関する負担分を非公表としてきました。これに関して米政府監査院(GAO)が3月に公表した報告書で、初めてその詳細が明らかになりました
 報告書によれば、2016~19年までの「米側負担」はおおむね5000億ドル超となっていますが、そのう、約58が兵士の給与など、38が部隊の運用に関わる経費です。基地の維持に関する経費は残り4%にすぎません。
 そもそも兵士の給与は日本に駐留しようが米国内にいようが米政府が支払うべきものであり、駐留経費とは無縁です。
 部隊の運用についても、イラクやアフガニスタンヘの出撃、さらに南シナ海での対中国 「抑止」といった、日本の防衛とは無縁の作戦の経費も含まれており、精査が必要です。        
 日本への米軍維持経費の分担を定めた日米・地位協定24条は、基地の地代や使用料などを除き、「日本に負担をかけないで米国が負担する」と定めています。しかし、実態は基地の維持経費のほぽすべてが日本側の負担になっていることが浮き彫りになりました。
 日米両政府は米軍思いやり予算特別協定の延長協議の中でまず、日米それぞれの経費負担の全容を国民に開示し、その是非を問うことが求められます。(竹下岳)