2021年4月17日土曜日

直ちに五輪中止決断を 与党幹部発言は重大 志位委員長が会見

 厚労省の助言機関(アドバイザリーボード14日、陽性者に占める変異株感染の割合について関西で8割以上、首都圏で5割を占めるとの分析結果を報告しました。このまま推移すれば5月前半には首都圏、東海地方、沖縄などでも9割近くが変異株に置き換わると推計されます。
 15日時点で大阪府の重症者は261人で重症病床数241床を超えました。既に医療崩壊です。府の推定によると5月4日時点の重症者数は340人ないし427人に達すると見込まれ、100~200人の重症者が満足な治療が受けられないことになります。首都圏、東海地方、沖縄5月以降は似たような状況に移行します。
 13日、尾崎治夫・都医師会会長は都内の状況を「第4波に既に入っている」と指摘した上で、「これ以上感染が広がることがあれば色々な国から選手が来て開催される五輪は、例え無観客であってもなかなか難しい」と開催自体が危ういとの認識を示しました。
 それに対して菅義偉首相は14日の参院本会議で「宣言解除後に人出が増えたことや変異株による感染者数が増加していることが指摘されているが、現時点で全国的な大きなうねりとまではなっていない」と述べました。
 要するにもはやどうにもならない事態に立ち至るまでは認めないというもので、Go Toの危険性を指摘されながら破綻を来たすまでその非を認めなかったのと共通しています。

 米ニューヨーク・タイムズ、英ガーディアン、タイムズ、独南ドイツ新聞、仏ルモンドなどの海外メディア相次いで五輪開催への批判や懸念の記事を掲載しているということです。
 日本でも直近の時事通信の世論調査(16日発表)によると、東京五輪・パラを「中止する」が39・7%、「再延期する」が25・7%で合せると65・4%、「開催する」の28・9%をダブルスコア(2・26倍)で上回りました。
 東京五輪・パラの協賛機関になっている国内のメディアや、五輪が開かれないことには商売にならないIOCやその傘下のJOCは五輪・パラ開催の一色ですが、そんなところの意向を基準にしていては大きく道を誤ることになります。
 そもそも菅首相は、「人類がコロナに打ち勝った証として」などという現状から全く遊離した言葉しか口にしない一方で、コロナを抑えるための施策  例えば (1)コロナ封じ込めのための大規模検査 (2)中小企業が事業を続けられる十分な補償 (3)医療機関への減収補填と病床確保 などを何一つ行っていません。このままいけば日本は首都圏を中心とするコロナの大惨状の中で五輪を迎えることになります。

 共産党の志位和夫委員長は15日、国会内で記者会見し、新型コロナの「第4波」が深刻な状況にあるとして、今夏の東京五輪・パラリンピックの開催について、「中止の決断を直ちに行い、全ての力をコロナ収束に集中すべきだ」と主張しました。
 また「新型コロナ第4波を直視し、封じ込めへあらゆる対策を」と訴えました。
 しんぶん赤旗の二つに記事と植草一秀氏のブログ記事「東京五輪中止ドミノが止まらない」を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
直ちに五輪中止決断を 与党幹部発言は重大 志位委員長が会見
                       しんぶん赤旗 2021年4月16日
 日本共産党の志位和夫委員長は15日、国会内で記者会見し、新型コロナウイルス感染症の「第4波」が深刻な状況にあるとして、今夏の東京五輪・パラリンピックの開催について、「中止の決断を直ちに行い、全ての力をコロナ収束に集中すべきだ」と主張しました

 志位氏は、自民党の二階俊博幹事長が同日のCS番組の収録で「五輪でたくさんまん延させたということになったら何のための五輪か分からない」「これ以上とても無理だということだったら、これはもうスパッとやめなきゃいけない」と発言したことに触れ、「非常に重大な動きだ。これまで政府・与党は中止のことは一切述べずに、思考停止でひたすら開催に暴走する態度を続けてきた。その姿勢が破綻し、政府・与党の首脳として初めて中止に言及せざるを得なくなった」と指摘。「五輪開催はもう無理だ。その現実を見て、中止の決断を行い、関係諸団体と話し合う責任を開催国の政府として果たすべきだ」と強調しました。

 また、米紙ニューヨーク・タイムズ、英紙ガーディアン、タイムズ、独紙南ドイツ新聞、仏紙ルモンド、英医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』など、海外メディアが相次いで五輪開催への批判や懸念の記事を掲載していると指摘。「世界各国からも開催に対する批判・警告・疑問の声が投げかけられている。内外の批判の声を無視して開催に突き進むのは許されない」と強調しました。


新型コロナ「第4波」を直視し、封じ込めへあらゆる対策を 志位委員長が会見
                        しんぶん赤旗 2021年4月16日
 日本共産党の志位和夫委員長は15日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染の実態について、「深刻な感染拡大の『第4波』に入っているのは誰の目にも明瞭だ」と指摘し、「どうやって感染拡大を封じ込めるか。政治の基本姿勢の問題点にかかわって2点述べたい」と語りました。
 第一は、菅首相の感染に対する基本認識の問題です。
 志位氏は、政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長も第4波に入ったのは「間違いない」との認識を示したのに、菅首相は「全国的な大きなうねりになっているとは言えない」(14日の参院本会議)との答弁を行ったことを厳しく批判。感染拡大の深刻な現実を直視しない姿勢では「まともな対策が出てくるはずもない」と批判し、「まずこの現実を直視することが、あらゆる対策の不可欠な前提だ」と強調しました。
 第二は、とくに感染拡大が深刻な大阪の問題です。
 志位氏は、全国的な感染拡大のなかでも、新規感染者が連日1000人を超え、医療崩壊が始まりつつある大阪府の状況について「とりわけ深刻だ」と指摘。「何が原因で大阪が深刻な状況に陥ったのか。変異株の影響があるにしても、その他の原因は何なのか。政府と大阪府は国民にきちんと説明する必要がある。それは今後の大阪での対応はもとより、全国的にどう対応していくかの方針をさだめるうえでも不可欠の前提になる」と主張しました。
 志位氏は、日本共産党が政府に求めてきた四つの対策 (1)コロナ封じ込めのための大規模検査 (2)中小企業が事業を続けられる十分な補償 (3)医療機関への減収補填(ほてん)とあらゆる手段を尽くしての病床確保 (4)今夏の東京五輪・パラリンピック中止の決断―に言及。「この四つが政治の決断として必要だ」と重ねて表明しました。
 その中で志位氏は、東京商工リサーチの調査で新型コロナ関連の倒産が3月に過去最多の139件を記録し、4月もすでに81件にのぼるなど「非常に深刻な状況だ」と指摘。倒産は「氷山の一角」で、廃業も増えていると述べました。その上で、年末年始や花見、年度末・年度明け、ゴールデンウイークなどの“稼ぎどき”に深刻な打撃を受けている状況のもとでまともな補償が行われなければ、経営状態が逼迫(ひっぱく)し、大量倒産・廃業・失業は避けられないと強調。業種や地域を問わず感染抑止に協力しているすべての事業者に対し、「持続化給付金、家賃支援給付金の第2弾を、要件を緩和して使い勝手のいい制度として給付することが、絶対に不可欠だ。そのことは全国知事会の12日の緊急要請でも述べられていることだ」と強く求めました。


東京五輪中止ドミノが止まらない
                植草一秀の「知られざる真実」 2021年4月15日
菅内閣を誕生させたキーパースンである二階俊博自民党幹事長が、東京五輪について
「何が何でも開催するというのは違う」「これ以上とても無理だということだったら、これはもうスパッとやめなきゃいけない」と述べた。日本の権力中枢が五輪中止の可能性について明言した影響は大きい
世界的に東京五輪開催に否定的な世論が圧倒的多数を占める。海外の市民の声を調査する世論調査では、中止、延期など、今夏の東京五輪開催を否定する者が7割を超えている。日本国内でも同様。

コロナ感染が第4波に移行している。第4波の中心は英国由来(ブラジル、南アフリカ由来もあり)のN501Y型ウイルスが中核になっている。
N501Y型ウイルスはこれまで関西で主流を占めてきたが、関西以外でも感染の主流になりつつある。4月15日の東京都新規陽性者数が729人になった

1000人を超えるのは時間の問題と考えられる。
感染拡大は人流拡大から時間差を伴って表面化する。菅内閣は3月21日をもって緊急事態宣言解除を強行した。しかし、すでにこの時点で新規陽性者数は再拡大に転じていた。
季節的に人流が拡大するタイミングで緊急事態宣言解除を強行すれば、人流が激増することは明白。そのタイミングで緊急事態宣言を解除し、予想通り人流の急拡大を招いた。
3月26日に人流拡大がピーク値を記録したが、4月15日前後の新規陽性者数は3月26日前後の人流拡大を背景にしている。
新規陽性者が新たな感染をもたらすから、当面は新規陽性者数の増加が続く。

日本のワクチン接種は著しく遅れている。しかも、ワクチン接種には重大なリスクが付随する。ワクチン接種後に脳出血で死亡する事例が報告されている。政府は因果関係を速やかに認めない。
「因果関係」の有無は「人為的に」判断される。「因果関係はない」と主張し続けることは可能だ。福島の原発事故後に子どもたちの甲状腺がんが急増しても、「因果関係はない」と主張し続けられるのと同じ。
国連に関連した機関が人為的判断で「因果関係がない」と主張すれば、それが錦の御旗のように用いられる。
本当は因果関係があるのに、因果関係がないことにされてしまう事例は枚挙にいとまがない。

因果関係の有無は「人為的な」判断によって白にも黒にも変わるが、時系列関係の事実は客観的に確定する。ワクチン接種の数日後に脳出血で死亡した。しかも、基礎疾患はなく、体調も悪くなかった。これは客観的事実
「福島原発事故のあとに子どもの甲状腺がんが多数確認された」というのも客観的な事実。
白にも黒にもなる「因果関係」よりも、客観的に確定される時系列関係の事実がはるかに重要だ。

ワクチン接種には重大リスクが付随する。高齢でない健常者はコロナ感染で重篤化するリスクが低い。したがって、高齢でない健常者はワクチンを接種する合理性が乏しい。
ワクチン接種者が少数にとどまる可能性が高いと考えられる。
安倍内閣、菅内閣が繰り返し「緊急事態宣言」を発出し、さらに「まん延防止等重点措置」を発動してきたのは、政府がコロナ感染拡大を重大な事態であると認識していることを示している。
そのコロナ感染が感染第4波に移行している。医療崩壊の危機も迫っている。したがって、「これ以上とても無理だ」という状況は目前に迫っている。
菅内閣を発足させた最高実力者が東京五輪中止に言及したことで、東京五輪中止に向けての流れが一気に加速することになると考えられる。

「UIチャンネル」第380回放送、鳩山元首相との対談がアップされております。
https://bit.ly/37cW7Bs ぜひご高覧賜りたい。
             (以下は有料ブログのため非公開)