問題山積のデジタル関連5法案が6日の衆院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数でそれぞれ可決されて、衆院を通過しました。共産党は全てに反対しました。
塩川鉄也議員は反対討論で、第1にプライバシー権の侵害、第2に地方自治への侵害、第3に国民生活への悪影響を挙げ、さらに官民癒着の問題を指摘しました。
デジタル庁の設置は第一に財界の意向を反映したものですが、同時に強大な権限をもつデジタル庁を内閣府の元に置くことで、国(各省庁)だけでなく、自治体などに重点計画、整備方針の策定、予算配分や勧告権を使って口を挟める権限を、より確実に首相が握ろうとするものでもあります。
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デジタル法案 衆院通過 共産党反対 個人情報 成長戦略に利用
しんぶん赤旗 2021年4月7日
デジタル関連5法案が6日の衆院本会議で、それぞれ自民、公明両党などの賛成多数で可決し、衆院を通過しました。日本共産党は全てに反対しました。日本共産党の塩川鉄也議員は反対討論で、「行政が特定の目的のために集めた個人情報を『もうけのタネ』として利用し、成長戦略や企業の利益につなげようとするものだ」と批判しました。
同法案は行政が個人情報を集積し、企業等に開放して「利活用」しやすい仕組みにするもの。塩川氏は、反対理由の第一にプライバシー権の侵害をあげ、個人情報保護法制の一元化で、自治体の個人情報保護条例に縛りをかけ、保護の仕組みを切り捨て、自治体の独自策を掘り崩すと批判しました。政府がマイナポータルを入り口とした個人情報の集積に必要なマイナンバーカードについて、スマホに搭載可能とするなど「利便性」を強調しているものの、健康保険証のマイナンバーカード利用の半年先送りをみても、「情報漏えいの懸念はぬぐえない」と指摘。個人情報をデータ利活用法に改悪してきたことで問題が生じているとして、「求められるのは、情報の自己コントロール権を保障する仕組みだ」と主張しました。
第二に地方自治の侵害として、「情報システムの共同化・集約の推進」で「自治体は国がつくる鋳型に収まる範囲の施策しか行えないことになりかねない」と指摘。デジタル庁は自治体にも強い権限を持ち、予算配分など口を挟めるようになると批判しました。
第三に塩川氏は、国民への影響として、マイナンバー制度の廃止を強調。行政のデジタル化を口実に窓口の減少、紙の手続き廃止が相次いでいるとして、「住民の多面的なニーズに応える対面サービスや相談業務の拡充が住民の選択肢を増やすことになる」と主張しました。その上で、官民癒着の問題があるとして、官邸・財界の意向を反映する「デジタル庁の設置は必要ない」と強調しました。
デジタル関連5法案 塩川議員の反対討論 衆院本会議
しんぶん赤旗 2021年4月7日
日本共産党の塩川鉄也議員が6日の衆院本会議で行ったデジタル関連5法案に対する反対討論(要旨)は次の通りです。
本案は、行政が個人情報を集積し、企業等に開放して「利活用」しやすい仕組みにし、行政が集めた個人情報を「儲けのタネ」として利用し、成長戦略・企業の利益につなげようとするものです。
反対理由の第一は、プライバシー侵害の問題です。
個人情報保護法制の一元化で、自治体の個人情報保護条例に縛りをかけ、都道府県・政令市にオープンデータ化(匿名加工制度)を義務化し、オンライン結合(情報連携)の禁止は認めないとしています。個人情報保護の仕組みを切り捨て、自治体の独自策を掘り崩すものです。
政府の「マイナポータル」を入り口に、個人情報を集積しようとしており、情報連携に歯止めがないことが浮き彫りとなりました。
デジタル庁が整備し、統括・監理する全国的なクラウド(ガバメントクラウド)もシステムの巨大化でさらなる下請けを生みます。集積情報は攻撃されやすく、漏れた情報は取り返しがつきません。
個人情報保護法をデータ利活用法に改悪したがゆえに生じた問題が、LINE社の問題です。個人情報は個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきです。今求められているのは、情報の自己コントロール権を保障する仕組みです。
第二に、地方自治の侵害の問題です。
現行の「自治体クラウド」でも、カスタマイズ(仕様変更)を認めないことが問題になっており、「情報システムの共同化・集約の推進」で、自治体は国がつくる鋳型に収まる範囲の施策しか行えないことになりかねません。
強力な権限をもつデジタル庁は、国だけでなく自治体などに重点計画、整備方針の策定、予算配分や勧告権を使って口を挟めるようになります。
第三に、国民生活への影響です。
個人の預貯金口座のマイナンバーひも付けなどを盛り込んでいます。マイナンバー制度は消費税増税を前提に、国民の所得・資産・社会保障給付を把握し、徴収強化と社会保障費の削減を進めるもので、廃止すべきです。
行政デジタル化を口実に対面サービス後退が相次いでいます。迅速簡便なデジタル手続きを生かすとともに、多面的な行政ニーズに応える対面サービス・相談業務を拡充し、住民の選択肢を増やすべきです。
最後に、官民癒着の問題です。
デジタル庁は、100人以上を企業に籍をおいたままの非常勤職員としており、特定企業に都合のよい政策の推進やルール作り、予算執行など、官民癒着拡大の恐れがあります。官邸と財界の意向を反映させるデジタル庁は必要ありません。