国内で新型コロナに感染して亡くなった人は、第3波の昨年11月以降で8400人を超え、死者全体の83%を占めます(死者数は29日で10182人)。
高齢者施設での集団感染が第2波までの5倍に増え、医療機関では3倍に増えました。
これが、「1年経って新型コロナのことは大体分かってきた」と豪語し、「Go Toが新型コロナ感染の原因になっているエビデンスはない」と繰り返し強調した菅政権におけるコロナ対策の実態です。
この惨状は、政権の無為無策に変異株の優勢化が加わったためで、死者や重症者・感染者が今後さらに拡大することはあっても、とても沈静に向かいそうにはありません。逆に東京五輪がそれを加速すると思われます。
AERAが、「五輪で変異株の流入阻止は『不可能』 検疫官が断言『陰性証明あっても…』」とする記事を出しました。まさかとは思いますが、政府は「1億火の玉」になれば打ち勝てるとでも思っているのでしょうか。
冷静に科学的知見に立って対処すべきです。
併せて日刊ゲンダイの記事「変異株蔓延で重症者数 “第3波超え” 必至 コロナ死も激増へ」を紹介します。
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五輪で変異株の流入阻止は「不可能」 検疫官が断言「陰性証明あっても…」
中原一歩 AERA dot. 2021.4.27
五輪開催の雲行きが怪しくなってきた。4都府県に発令された3度目の緊急事態宣言をはじめ、ワクチン接種の遅れや東京の感染拡大といった課題や懸念も残る。開催できたとしても、変異株の流入の不安が募る。AERA 2021年5月3日-5月10日合併号から。
【図を見る】日本のワクチン普及率の想定はコチラ
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コロナウイルス感染状況が「ステージ4」の日本で、本当にオリンピック、パラリンピックが開催できるのだろうか──。
政府が設置する「新型コロナウイルス感染症対策分科会」が4月15日に導入方針を決めた新指標によると、ステージ4とは「感染爆発段階。爆発的な感染拡大が起き、医療体制の機能不全を避けるための対応が必要な状態」なのだという。
4月21日現在、ステージ4を示す新指標の「入院率(すべての療養者に占める入院者の割合)25%以下」が、「大阪12%」「兵庫17%」と深刻になっている。同じくステージ4の指標の一つ「1週間の人口10万人あたりの新規感染者数25人以上」を上回っている「大阪」「兵庫」に加え、「東京」も日を追うごとに深刻度を増している。ゴールデンウィーク明けには東京の新規感染者数が2千人を超えるという試算もある。
4月25日、この状況を受け政府は「東京」「大阪」「兵庫」「京都」に3回目の緊急事態宣言を発令する。期間は5月11日までだという。2回目の緊急事態宣言全面解除から約1カ月。その間、唐突に登場した感が否めないのが「まん延防止等重点措置」。これが変異株のまん延などの感染抑制にどれだけ効果を発揮したのかは全くの未知数。むしろ中途半端な措置が感染拡大を助長したと臆測する声が与党内からも上がる。
■対外アピールで解除
コロナ対策を所管する厚生労働省のある担当者は頭を抱える。
「結局、分科会に出席の医療専門家は、3月初旬の段階で変異株による第4波の到来に備え、2回目の緊急事態宣言をゴールデンウィーク明けまで継続できないかと主張した。感染症対策の基本である、まん延してから宣言を出すのではなく、まん延させないために宣言という措置を講じる、という認識は西村康稔経済再生相以下、政府関係者全員にあったと思います」
なのになぜ、緊急事態宣言の継続を検討しなかったのか。2度目の緊急事態宣言が解除されたのが3月21日。その4日後、福島県楢葉町と広野町にある「Jヴィレッジ」のグラウンドから聖火リレーがスタート。しかし、本来であれば記念すべきスタートを祝うセレモニーに菅義偉首相の姿はなかった。当日の首相動静によると、菅首相は参議院予算委員会に出席していた。
ある政府関係者は、2度目の緊急事態宣言解除の最大の目的は、日本で五輪・パラリンピックが開催できるという対外的アピールだったとこう証言する。
「聖火リレー開始のニュースは世界を駆け巡ります。その時に日本は緊急事態宣言下である、という事実は、五輪・パラリンピックの開催にマイナスにしかならない。何しろ、まだ国際オリンピック委員会(IOC)は、開会式を予定通りの2021年7月23日に行うとは断言していない。首相が現地に行かなかったのも、行けば必ず緊急事態宣言のこと、第4波のことを聞かれる。五輪のシンボルである聖火を前に、そのことに答える画(え)を全世界に配信されるのを、どうしても避けたかったのでは」
■選手団を東京に送るか
もし、五輪開催時、東京の病床使用率が50%を超えるなど「ステージ4」の状況で、200以上の国と地域から、総勢1万2千人。関係者を含めると5万人とも10万人とも言われる人びとを受け入れることが果たしてできるのか。
3月1日の衆院予算委員会。立憲民主党・辻元清美議員から「東京がステージ4になったら五輪はできるのか?」と問われた菅首相は「IOCや組織委員会、東京都と連携し、安心安全の大会を実現する」と述べた。
菅政権の最大の誤算は「ワクチン接種の遅れ」だ。そもそも、菅首相は今年1月の段階で「オリパラへの参加は、ワクチン接種を前提としない」と、IOCに伝えた。というのも、この時点では五輪・パラリンピック参加者はおろか、日本国民へのワクチン供給のメドが全く立っていなかったのだ。その後、ようやく2月17日から医療従事者、4月12日になって高齢者への接種が始まったが、16歳以上の全ての国民への接種終了のメドは全く立っていない。この事実がオリンピック開催に、今も暗い影を落とす。
日本オリンピック委員会(JOC)の職員の一人は、五輪の日本開催ができるか以前に、そもそも海外選手団を日本に送れる状況か否かをIOCは見定めていると話す。
「五輪開催は、国内の感染状況によって決まると思われていますが、実際はワクチン接種もままならない日本に、そもそも選手団を送るか、という参加国側の意思決定の問題もある」
■変異の流入阻止は無理
一方、海外からの変異ウイルスの流入を防ぐ最前線に立つ検疫官の一人は、政府は欧州や南米など29カ国・地域を変異株流行国に指定している状況で、仮に五輪関係者が入国の前提となる陰性証明を持っていたとしても、それで海外からの変異株の流入を阻止できるかと言えば、それは不可能だと断言する。
「現在、コロナウイルスまん延による入国拒否対象国からも人はやってきます。陰性証明があるから大丈夫と言いますが、その信憑性を担保できない国だってあるでしょう。政府要人は、検疫はノーチェックが慣例です。要人付きのマスコミなど関係者にも、どこまで徹底できるのか疑問です」
※AERA 2021年5月3日-10日合併号より抜粋
(編集部・中原一歩)
変異株蔓延で重症者数“第3波超え”必至 コロナ死も激増へ
日刊ゲンダイ 2021/04/27
とうとう26日、新型コロナウイルスの死者数が累計1万人を超えてしまった。変異株が猛威を振るい、感染者数のピークアウトが見通せない中、重症者数や死者数は、第3波以上に深刻な事態になりかねない。
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26日の全国の重症者数は、前日から34人増え、898人と900人に迫る。4月以降、約5日間で100人のペースで増えている。来月早々にも過去最多の1043人を上回る勢いだ。
第3波の新規感染者数は1月8日の7957人をピークに減少に転じ、重症者数も1月27日の1043人から減っていった。重症者のピークアウトは少し後になる。第1波では20日後、第2波では16日後だった。
足元の第4波も、重症者を減らすためには早く感染者数をピークアウトさせる必要があるが、前途多難だ。西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
夏まで感染増加傾向
「4都府県に発令された17日間の緊急事態宣言は焼け石に水です。感染力の強い英国型の変異株は5月中に全国で主流になると言われています。対策の強弱にもよりますが、感染者数がピークアウトするのは、早くて6月、最悪、8月まで増え続けることもあり得ます」
感染者数が増えれば、当然、重症者数も増え続ける。今と同じペースで重症者数が増えれば、6月に2000人、8月に3000人を突破。第3波の2~3倍になる計算だ。
それでなくても、英国型は重症化しやすい。大阪府の資料によると、陽性者に占める重症者の割合(13日時点)は、第3波(昨年10月10日~今年2月28日)では3.2%だったが、変異株陽性者に限ると4.9%に跳ね上がる。また、発症から重症化するまでの日数は、第3波では8日だったが、変異株陽性者では6.5日と短くなる。大阪で重症者数が激増しているのは、流行の8割以上が変異株であることが大きい。
万単位の死者が出てもおかしくない
重症者数が増え、病床が逼迫すれば死者も増える。1日の死者数は1~2月は1日平均70人を超えていたが、その後、減少に転じ、今月上旬には20~30人に減っていた。ところが、特に大阪で急増し、直近では50人を超える日が増えている。
「変異株が大流行している大阪では、重症者も死者も深刻な事態になっています。今後、変異株が全国に蔓延すれば、大阪のような事態が各地で発生しかねません。関西以外はまだ変異株が主流になっていません。直ちに、全国規模の緊急宣言を発令し、変異株の拡散を食い止めるべきでしょう。自然の流れに任せていると、重症者、死者が増え続けることになります」(中原英臣氏)
第3波の感染が拡大した昨年12月以降の死者は7825人。コロナ死1万人のうち80%近くが、昨年末以降、亡くなっているのだ。この先、万単位の死者が出てもおかしくない。死者があふれてからでは手遅れだ。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。