2021年4月3日土曜日

もう第4波 コロナ無策政権では永遠に続く悪夢

 日刊ゲンダイが「もう第4波 コロナ無策政権では永遠に続く悪夢」とする記事を出しました。
 政府はこれまで、コロナ感染がピークに向かうと慌てて緊急事態宣言を出し、それが予定の期間で収まらないと延長し、沈静に向かうと今度は早めに宣言を解除し、またピークに向かい出す「まん延防止等重点措置」を宣言し、それで収まらなければ ‥‥ という具合の対処しかして来ませんでした。これでは永遠に悪夢を繰り返すことになります。
 それは、コロナの感染拡大防止対策の本筋=「検査の拡充・隔離施設の拡充・医療体制への支援と拡充」を外して、言わば対症療法と言える「行動自粛」にだけ頼っている結果であり、経済活動の充実などは望むべくもありません。
 コロナ無策の現政権下では、この先も東アジアの中で最悪の状況から脱することは出来ません。
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 (3月25日)コロナ禍 日本は東アジアで最悪 緊急事態宣言解除の深層(植草一秀氏)
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<もう第4波 「マンボウ」などと言葉遊び>
   コロナ無策政権では永遠に続く悪夢
                         日刊ゲンダイ 2021年4月2日
                        (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 この国は一体どうなっているのか。ホンの少し前まで世界のリーダー気取りだったのに、完全に機能不全に陥っている。新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言の全面解除からわずか2週間。感染の第3波が収まりきらないまま第4波を招き、菅政権は宣言に準じた「まん延防止等重点措置」の初適用を1日、決定。対象は宮城、大阪、兵庫の1府2県で、期間は5日からゴールデンウイークが終わる来月5日までだ。中でも感染状況が深刻な仙台、大阪、神戸、芦屋、西宮、尼崎の6市が指定され、飲食店には午後8時までの営業時間短縮を要請。時短に応じた事業者への協力金は事業規模に即した内容に変更し、1日あたり中小企業最大10万円、大企業最大20万円となったが、従来よりも減額される店舗も出る見通しだ。

 新型コロナ対策本部会合で菅首相は「大きな波にしないために感染を封じ込めていく」と強調し、「感染対策に奇策はない。ワクチン接種が行き渡るまで飲食店対策、検査の拡大、医療体制の確保を粘り強く進め、感染拡大を食い止める」とも言っていたが、正攻法すらマトモに取れないくせに「奇策」が聞いて呆れてしまう。まん防の対象区域について ▼変異株の監視強化 ▼すべての飲食店の見回りとマスク着用要請 ▼高齢者施設で2週間に1回程度の検査 ▼新型コロナ用の病床、ホテルの最大限確保  を集中的に実施するという。飲食店イジメが悪化したくらいで目新しさは全くない。毎度おなじみの掛け声に過ぎないのだ。

前倒し解除で案の定の再拡大
 そもそも、「まん防」の初適用に至る経緯もデタラメだった。
 国民の暮らしや生命よりも経済優先の菅は、感染再拡大の兆候が見える中、緊急事態宣言を全面解除。気脈を通じる大阪の吉村知事はさらに前のめり。事務方の反対を押し切る形で2月末に前倒し解除を実現させ、案の定、その2週間後から感染が一気に広がった。吉村は「3月中旬くらいから感染が急拡大している」「急拡大の山が来ている」とか言って危機感を前面に押し出していたが、張本人がどの口で言うのか。大阪の1日の新規感染者は616人に上り、過去4番目の多さ。475人だった東京都を3日連続で上回った。日本医師会や感染症の専門家らは先月20日あたりから「まん防」に言及し始めていたが、官邸は及び腰。悪化の一途をたどる数値に大慌てで、今週ようやく動いたありさまなのだ。相変わらずの後手後手、ドタバタ。ついでに言えば、かつてない大波に襲われる宮城の惨状も「GoToイート」が火種となったのは明白である。

 政治評論家の森田実氏は言う。
「論語に〈君子は本を務む。本立ちて道生ず〉という一節があります。根本を重視することではじめて道が開ける、という意味ですが、コロナ禍に直面して1年余りになるのに、政府は根本を外して枝葉のどうでもいいことばかりにかまけてきた感染症対策はワクチン接種、治療法の確立、医療体制の強化の3点に集約されるところが、先進国だの、医療大国だのと大きな顔をしながらワクチンひとつ開発できない程度のとんでもない国になってしまいました。そうした現実に直面しても、政府は全くやる気がない。アビガンなどの抗ウイルス薬の有効性は認められているのに、なかなか承認せず、保健所は最盛期の半分ほどに減らしたまま。そして、貧弱になった医療体制はたびたび崩壊危機にさらされ、そのたびに大騒ぎする。緊急事態宣言にしろ、まん防にしろ、小手先のゴマカシ。やるべきことを何もやらず、国民にさらなる自粛をお願いしているだけ。パフォーマンスですよ」

ワクチン接種回数はG7最下位、最貧国レベル
 菅が「感染対策の決め手」というワクチン接種もスケジュールは朝令暮改だ。承認されているのは、いまだに米ファイザー製だけ。世界的なワクチン争奪戦で出荷元のEUに蛇口を握られ、綱渡りどころか、先が全く見えない状況だ。時事通信などが政令市や中核市など計109団体を対象に実施した調査では、65歳以上の高齢者を対象としたワクチン接種の終了見通し時期は39・8%が「未定、調整中」。「6月末ごろまで」は27・8%で、「7月末ごろまで」が22・2%。「来年3月末まで」が10・2%もあった。これだって予定通りの供給あっての見通しだ。
 日経新聞と英フィナンシャルタイムズの集計(1日現在)によると、世界全体の累計接種回数は6億回に迫る。トップは米国の約1・4億回で、100人あたりの接種回数は44・5回。独立記念日の7月4日までに社会正常化に向けた道筋づくりを目指すと力強い。かたや日本は約100万回で、0・8回。英国(約3530万回/52・5回)、フランス(約1070万回/16回)、ドイツ(約1340万回/16・2回)、イタリア(約990万回/16・5回)、カナダ(約560万回/14・9回)といったG7各国に遠く及ばないどころか、最貧国レベルだ。日本を下回るのはナイジェリア(0・2回)、ジンバブエ(0・5回)、ケニア(0・2回)など、そして政情不安のミャンマー(0・7回)くらいである。
 そんな体たらくだから、もう第4波、「マンボウ」などと言葉遊び。ダンスナンバーの「ウ~、マンボー!」が頭をよぎり、うっかり浮かれてしまいそうな感じすらある。コロナ無策政権が居座る限り、悪夢は永遠に続く

GWは3度目の宣言発令でパー
 経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「国民努力型の抑止策にも限界が見えてきました。1年以上にわたる自粛に疲れたせいか、桜の開花のタイミングで繁華街も行楽地も人出が一気に増加し、飲食店での会食も目立って増えてきている。現状のワクチン接種ペースだと、集団免疫を獲得するまでに約7年かかります。既存株より感染力の強い変異株への置き換えが進む事態を考えれば、いつまで経っても集団免疫を獲得できないかもしれません。昨年のGW、夏場の書き入れ時、年末商戦、いずれも感染拡大でつぶされ、4~6月期こそは個人消費の回復が期待されているのに、足元の感染状況を見ればGW前に第4波が本格化し、また身動きが取れなくなる可能性が濃厚です。再び経済に大きな打撃を与えかねません」
 ここまで政治への信頼が失墜した以上、意味不明の時短自粛要請を繰り返しても同じことの繰り返し。この政権はしょせん、どれだけ死のうが、貧乏人がヘタろうが、自分たちと大企業さえ生き残ればいいと考えているのではないか。だから、「地方版Go Toトラベル」をおっぱじめ、世論の8割が反対しても東京五輪にしがみつき、聖火リレーを強行する。お祭り騒ぎの地ならしとして、6月に「Go Toトラベル」再開なんて話が出てくるのである。バカげた五輪に血道を上げる迷走場当たり無能政権を交代させなければ、国民生活は共倒れする。
「厚労官僚が23人も集まって深夜まで宴会に興じていたのも象徴的で、新型コロナ対策の司令部は国民の暮らしを担っている自覚がない。安倍、菅と続く恐ろしいほどの無責任政権のもと、官庁にも無責任体質が浸透してしまった。国民の暮らし、生命をこれほど弄ぶ無責任な政府は歴史上、ありません。内閣総辞職ものですよ。国会で攻めきれない野党も、政府・与党とつるんでいるようなものです」(森田実氏=前出)

 菅を支持する自民党の無派閥議員グループ「ガネーシャの会」が1日、官邸で会合を開いていたことも判明。トップは菅側近の坂井官房副長官で、10人程度が集まって昼食をとりながら約40分間、懇談したという。よりによって「まん防」初適用が決定した日に、驚愕の政治センスだ。特権意識ゆえなのか。それとも、たかが「マンボウ」だとナメ切っているのか。絶望的な政権である。