コロナ禍の中でも株高は進み富裕層は大儲けをする一方で、国民の多くは職を失い、失わないまでも多くの自営業の人たちは収入の大半を失いました。コロナ禍で職を失った人は公式発表では10万人程度とされていますが、実際にはその10倍の100万人が職を失っていると言われます。こんな風にコロナ禍で国民の経済格差は一層進みました。
しんぶん赤旗が「コロナ禍と税制 不公平をただす道に踏み出せ」とする主張を出しました。
日本では消費税が1989年に導入されてから3回の増税によって当初の3%から10%に引き上げられる一方、国税と地方税を合わせた法人税率は89年度の51%から20年度には29・7%まで引き下げられ、所得税の最高税率も大いに下げられました。要するにこの32年間は、国民の負担を増やしその半面で大企業、富裕層を優遇する、格差拡大の歩みでした。
海外では、英国政府は現行19%の大企業の法人税率を50年ぶりに25%に上げることを決め、米国のイエレン財務長官も法人税の増税への意欲を示しました。またG20は多国籍企業に課税する国際ルールを7月までに合意する予定ということです。
しんぶん赤旗は、米大統領選挙では富裕層への課税強化を求める市民の主張が影響力を発揮したと述べ、世界の富豪90人以上が「私たちに課税せよ」と呼びかけたことを紹介しました。
日本もこの際、大企業の法人税率と所得税の最高税率を上げ、消費税率を下げるように舵を切るべきです。
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(3月31日)コロナと法人税 大企業に負担求める時代
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主張 コロナ禍と税制 不公平をただす道に踏み出せ
しんぶん赤旗 2021年4月1日
コロナ危機に対応するための国の財源として大企業や富裕層に応分の負担を求める動きが各国で広がりつつあります。国民、中小企業の負担を減らすため消費税にあたる税金を軽減した国・地域は50以上に上ります。日本も不公平税制の改革に踏み出すべきです。
大企業優遇に歯止めも
欧米諸国や日本は1980年代以降、法人税率を競って下げ続けました。経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の法人税率は81年の48%から2020年には23%へ大幅に下がりました。「有害な税引き下げ競争」といわれたこの流れに変化が見られます。
英国政府は現行19%の大企業の法人税率を50年ぶりに引き上げ、23年4月から25%に増税することを決めました。中小企業の税率は据え置きます。コロナ対策の財源を確保するための政策転換です。昨年から行っている宿泊・飲食業を対象にした付加価値税(消費税)減税は9月末まで延長します。
米国のイエレン財務長官は議会証言で、コロナ危機から経済を回復させるインフラ投資の財源として法人税の増税が考えられると述べました。中小企業や国民の負担は増やさないといいます。
20カ国・地域(G20)は法人税率の世界的引き下げ競争に歯止めをかけ、多国籍企業に課税する国際ルールを7月までに合意する予定です。
大企業、富裕層への行き過ぎた減税が貧富の格差を広げ、社会保障や医療の財源を損なったことでパンデミックに弱い社会になっていたとの批判、反省が各国政府や国際機関を動かしています。
昨年の米大統領選挙では富裕層への課税強化を求める市民の主張が影響力を発揮しました。世界の富豪90人以上が「私たちに課税せよ」と呼びかけたことも国際的に共感を呼びました。
税のゆがみを正すことは日本でも喫緊の課題です。日本の税制は、所得の低い人ほど負担が大きい消費税への依存を深めています。消費税が1989年4月1日に導入されてからの32年間は、国民の負担を増やし、大企業、富裕層を優遇する格差拡大の歩みでした。
消費税率が3回の増税によって当初の3%から10%に引き上げられる一方、国税と地方税を合わせた法人税率は89年度の51%から2020年度には29・74%まで引き下げられました。所得税の最高税率も下げられました。
消費税の税収は導入以来21年度(予算額)までの累計で447兆円に上ります。その間、1989年度比で法人税収は累計326兆円減り、所得税・住民税の減収は累計287兆円でした。消費税の税収が法人税と所得税・住民税の減収の穴埋めに消えたことになります。消費税が社会保障財源だという菅義偉首相の言い分は国民をあざむくものです。
「消費税5%」を緊急に
消費税率を緊急に5%に引き下げることはコロナ危機で最も苦しんでいる低所得者への効果的な支援です。同時に、大企業や富裕層への優遇税制を見直し、応分の負担を求めることは、税によって所得を再配分し、経済の持続可能な成長を図る上で不可欠な仕組みです。格差拡大に歯止めをかけ、不公正を正してパンデミックに強い社会を築くためにも避けて通れない課題です。
世界の富豪83人「私たちに課税を」 新型コロナ
NHK NEWS WEB 2020年7月14日
新型コロナウイルスの影響で経済格差の拡大が懸念される中、世界の富豪83人が、各国の政府に対して自分たちのような富裕層に大幅に増税するよう求めました。世界の富豪でつくる団体「ミリオネアズ・フォー・ヒューマニティー」は13日、ディズニー家の一族などアメリカの起業家や投資家ら83人が署名した書簡を公表しました。
この中では、新型コロナウイルスが世界に貧困や雇用悪化などをもたらしているとしたうえで、「私たちは病院の仕事も配達の仕事もしていません。私たちのような裕福な人たちが増税されるべきです。課税してください」として、各国政府に対し、自分たちのような富裕層を対象に大幅に増税し、格差の是正などに充てるべきだと訴えました。
新型コロナウイルスの影響で、所得の低い人たちの雇用の受け皿となってきた外食や観光などのサービス業で解雇の動きが広がり、世界各国で雇用や所得の格差の拡大が懸念されています。
このうちアメリカでは、秋の大統領選挙に向けて野党・民主党が格差解消のために大企業や富裕層に増税する姿勢を強めています。
これに対して経済界では警戒する声が根強い一方、経営者や富裕層の一部からは増税に賛同する動きも出始めていて、議論になっています。