2021年4月14日水曜日

台湾有事・米中戦争・第三次世界大戦は三位一体(世に倦む日々)

 ウクライナで142極右の暴力団まで動員した凄惨なクーデターが実行され、ヤヌコビッチ政権は転覆させられました。それを主導したのは米国で、ビクトリア・ヌーランド国務次官補は現地にまで出向いて具体的な段取りをしました。米国はそのクーデターに準備段階を含めて約5000億円を投じたと言われます。
 当時ウクライナ政府とクリミヤ軍港を25年(最大30年)まで借用する協定を結び、警備兵を常駐させていたロシアは、新政権によりその権利を奪われることを防ぐためクリミヤ住民の同意を得てクリミア半島併合しました。不凍港であるクリミア軍港はロシアに取っての貴重な生命線です。
 当時オバマ政権下で副大統領だったバイデン氏は、現在ビクトリア・ヌーランドを国務次官に迎えています。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は目下クリミアの脱占領・再統合を目指すと公言し、月末から東部で散発的な戦闘めるなど緊張が高まっています。ロシア軍大規模な兵力を国境付近に集結させているということです。
 世に倦む日々氏は、いずれ戦火がクリミヤ半島に及べば米軍が乗り出すのは明らかで、台湾海峡で米中戦争の火蓋切られるときは、おそらくヨーロッパでもNATOとロシアの間で戦端が開かれるものと想像されると述べています。そうなれば第三次世界大戦です。
 この場合も第二次世界大戦と同様に、米国本土は無傷のままで中ロを叩けることになるので願ったり叶ったりの展開になるという訳です。
関連記事
4月11日)台湾有事のシナリオ – 対中戦争から最後まで離脱できない日本(世に倦む日々)
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
コロナの後は戦争 – 台湾有事・米中戦争・第三次世界大戦は三位一体
                          世に倦む日々 2021-04-12
欧州方面に目を向けると、ウクライナ情勢が再び緊迫の度を増している。かねてより火種がくすぶっていた東部とクリミアをめぐって、ロシアとウクライナの間で大きな戦闘が起こる可能性が高い。報道によると、3月16日にゼレンスキー⇒ウクライナ大統領が「ウクライナは(クリミアの)脱占領・再統合に向けた戦略を準備した」とツイッターに書き込み、俄に緊張が高まる状況となった。東部では2月末から散発的な戦闘が始まっていて、ここへ来て、ロシア軍が大規模な兵力を国境付近に動員・集結させている。バイデンはゼレンスキーと電話会談して全面支援を確約、2隻の軍艦の黒海派遣を検討とある。先週8日にメルケルとプーチンが電話会談して東部ウクライナ情勢を協議、9日には米独仏の外相が電話会談してウクライナへの支持を明確にした。明確な情報ではないが、14年の東部紛争後の停戦の期限切れを迎え、ファミリーでウクライナへのコミットの強いバイデンが政権に就いたことで、ゼレンスキーが強気に出て失地奪還に出たという観測がある。ゼレンスキーが醜聞等で国内の支持が芳しくなく、その打開が動機という説もある

双方が軍を動かして戦闘態勢に入っているのは事実で、7年ぶりに大規模な衝突が起きるのは確実だ。戦火がクリミアにまで及べば米軍が介入するのは必至で、NATO軍とロシア軍が激突する大戦争になりかねない。6月の英国コーンウォールでのG7サミットは、中国叩きの気勢を上げ、文在寅に踏み絵を踏ませるのがメインのテーマになるかと予想したが、ゼレンスキーが主賓になるかもしれない。14年の紛争時にはメルケルが活発に和平調停に動き、ロシアとウクライナの全面戦争を防ぎ、NATOとロシアが直接衝突する危機を回避させた。メルケルが徹夜で粘り強く交渉を重ね、仁王立ちしてヨーロッパの平和を守った。獅子奮迅の9条的指導者の活躍に、大いに感動させられたことを覚えている。メルケルがいたから暫定和平が成立してここまで来た。そのメルケルも任期は今年で終わりで、9月にドイツの総選挙が控えている。誰が次の首相になっても、メルケルと同じ9条の活躍は期待できないだろう。プーチンはそこを見越している気配が窺え、ウクライナ問題を軍事的に解決するには、調停者として信頼できるメルケルの任期中がベターだと踏んでいるのかもしれない。

メルケルというカリスマの仲裁者がいるかぎり、全面戦争を止める方向で立ち回ってもらえる。その期待ができる。メルケルの裁定と提案なら米国の大統領も無闇に無視できない。そのような、メルケルがいるから安心という、双方にとっての安全装置としての役割と期待をメルケルは担っていた。そのメルケルが外れると代役を果たせる指導者がいない。米国・CIAはそこが狙い目で、ロシアとNATOとの間に割って入る邪魔者が消えることに内心歓迎だろう。メルケル後に、ドイツおよび東欧全域を完全で強烈な反ロシア・反中国陣営に固めて行く所存に違いない。ベラルーシを取り込み、ウクライナの失地を回復させ、ロシアの勢力圏を削り取って圧迫し、ロシア連邦の瓦解に追い込むか、親米反中のロシアに転覆改造しようと工作するだろう。プーチン体制の攻略と崩壊を狙ったCIAのカラー革命戦略は、ナチスのローゼンベルクが策したソ連解体構想を引き継いでいる感すら漂い、西欧とロシアの根深い歴史的対立を想起させられる。双方の根底にある不信や恐怖を垣間見て憂鬱な気分になる。結局、EUの東漸ではなく、ゴルバチョフの「ヨーロッパ共通の家」を選ぶべきだった。

台湾海峡で米中戦争の火蓋切られるときは、おそらく同時に、ヨーロッパでもNATOとロシアのと間で戦端が開かれるものと想像される。第三次世界大戦の絵である。戦略を組み立てることが三度の飯より大好きで、ファンダメンタルでネイティブな戦略主義者である米国人は、そして、中国にキャッチアップされて基軸通貨の発行権を失う悪夢に怯える米国は、第三次世界大戦をマネジメントしたコンパクトな形で概念し、その次の世界秩序体制を設計し始めているのかもしれない。嘗ての、チャーチルとルーズベルトの北大西洋憲章の21世紀版を考案中なのかもしれない。すなわち、5大国がフラットに世界安保の権限を持って協議決定するところの、現在の(第二次大戦後の)国連ではなく、米国だけが絶対的な権限を持つ新国連を構想し、その実現へのステップとしての第三次世界大戦を考えているのかもしれない。仮に第三次世界大戦が始まったとして、戦場になるのは先ず東アジアであり、次にヨーロッパ平原であり、北米大陸が惨禍に逢うのは最後の最後だという想定が成り立つ。実戦で使用する戦術核を進化させている米国だから、ミニマム・リスクの第三次世界大戦という発想を研いでもおかしくない。

週末のテレビを見ていたら、また8chで橋下徹と櫻井よしこが、台湾有事をわが国の存立危機事態として認定せよ、台湾有事に及んでは自衛隊を出撃させよ、米国と一緒になって中国戦う決意を固めよと煩く吠えていた。中国と戦争する戦意高揚のプロパガンダを撒き、国民の戦争への覚悟を既成事実化させている。鬱陶しいので6chに換えると、例によって薄っぺらな文化左翼論者が登場し、ジェンダーがどうの多様性がどうのと常套句のルーティンの舌を回してギャラ稼ぎしていた。6chの面々に戦争の危機感など微塵もない。ジェンダーとマイノリティのお経を上げるのに一生懸命だ。彼らのバックには、マルクス主義を棄てて脱構築主義に旋回した日本共産党がいる。しばき隊共産党の路線が左翼リベラルの常道になり、9条平和主義への関心と鋭意は皆無になった。むしろ、右翼と一緒になって中国叩きに血道を上げていて、戦争するイデオロギー態勢を左から盤石なものに敷き固めている。戦後の「平和と民主主義」の姿はどこかへ消えてしまった。しばき隊左翼は、性の多様性や家族の多様性には執心するが、イデオロギーの多様性は認めず、中国共産党は絶対悪の存在らしい。

6日、プライムニュースに岡田克也が出演して、台湾有事と中距離□ミサイルについてコメントしていた。中距離□ミサイルについては総選挙後に論議になるだろうと言い、米軍が日本の基地に配備するのには反対しないが、自衛隊が自前で配備するのは予算がかかりすぎるので賛成できないと言う。肝心の、INFが Intermediate-range Nuclear Forces ⇒中距離核戦力:中距離核ミサイルの略であり、配備されるのが核ミサイルである点には触れず、その問題には言及しなかった。総選挙後の論議の際は触れないわけにはいかないだろうが、そのときは、日本共産党や公明党はどういう態度をとるのだろう。 台湾有事についての岡田克也の姿勢は、あくまで安保法制自体に反対で、存立危機事態の法的概念をそのまま認めるわけにはいかないと留保を述べた。反町理が食ってかかり、現時点の国内世論で安保法制に反対の国民はいるのかと批判、台湾有事を存立危機事態と認めて自衛隊を派遣する方向で与党と足並みを揃えよと促したが、それには応じなかった。今はこの対応だが、おそらく総選挙後には変わるだろう。台湾情勢も、半年後にはもっと緊迫した様相になっているに違いない。本当は、今まさに本格議論しなければいけない問題で、9条護憲の側が声を上げて対抗しなければいけない問題だ。

今ならまだ戦争阻止ができるかもしれない。米国が計画している台湾有事の図は、自衛隊が主力となって中国軍と戦うことであり、自衛隊の海上攻撃力で中国海軍を圧倒し撃破することである。日本がスムーズに戦争に入れるかどうかは、米国の台湾有事戦略の成否を握る問題に他ならず、ハンドラーズがいたく気にかけている重要な問題だ。だからこそ、8chでCIAの本音を撒いて世論工作しているのである。もし戦争反対の声の勢いが増して、自衛隊が攻撃を躊躇する流れになったら、彼らの戦略が根底から崩れてしまう。逆に、戦争反対の声が上がらないまま、秋にかけて台湾工作が進展し、中国制裁法やスパイ防止法など戦争への態勢作りが完全に整えられてしまうと、マスコミが強引に世論調査の数字を作って自衛隊を戦争に引き込んでしまう。その政治が可能になる。開戦し参戦したら、もう終戦まで取り返しがつかない