2018年4月28日土曜日

南北会談で“蚊帳の外”の日本 安倍首相はどう妨害してきたか

 27日に行われた南北首脳会談の共同宣言は、
 ・完全な核なき半島を実現する  ・休戦協定を終戦宣言にかえ平和協定に転換する 
 ・南北は一切の敵対行為を中止する
とし、これらを実現するために、「南北+米」の3者、または「南北+米・中」の4者会談を積極的に推進することを謳いました。
 共同発表で金委員長は、「合意した内容は必ず成し遂げられるよう努力していく」と述べました。
 
 日本を含めた6者会談に言及しなかったのは余りにも当然のことで、日本はもはや完全に蚊帳の外」状態です。
 安倍首相と安倍政権は、1月に入ってからも必死に南北宥和の実現を妨害して来ました。その間の言動をLITERAがまとめました。
 
 安倍首相は1月の南北閣僚級会談後、バルト3国+東欧3国を訪問した際にも“北朝鮮の脅威”を喧伝して回りました。
 2に韓国五輪開会式に臨んだ日韓首脳会談では、文大統領に「米韓合同軍事演習を予定通り進めることが重要だ」と内政干渉しただけでなく、五輪開催中日米電話会談において「北朝鮮に最大限の圧力をかけつづけていく点で完全に一致した」と敢えて公表しました。
 その後韓国が南北首脳会談実現に向けて動き出すと、外務省を通じて韓国に「まだ時期が早い」「思いとどまるべき」と、再三にわたって圧力をかけ続けまし
 3月になって南北首脳会談開催の合意が公表され、その後の米朝首脳会談や平和的解決への流れが決定的になったあとも、その態度を変えませんでした。
 菅官房長官は、南北首脳会談合意について「対話のための対話であっては意味がない」などと非難し、河野外相「経済制裁で困っているので、(は)必死にほほ笑み外交をやっている」と挑発しました。
 安倍首相も参院予算委で「対話に応じたからといって対話に対して対価を与えるということがあってはならない核・ミサイル計画を放棄させるため圧力を最大限まで高めていく」と述べました。この段階でこんな発言をしたのは世界中で安倍政権くらいでした。
 さらに、正恩委員長と習近平国家主席の電撃的な首脳会談がわれた際には、やはり参院予算委で、「圧力を最大限まで高めるわが国の方針を、国際社会の方針にするためにリーダーシップを取ってきた結果だ」と述べましたまさに「裸の王様」です。
 
 要するに安倍政権はこれまで北朝鮮危機を煽ることで政権浮揚を図ってきたのであって、改憲を進めるためには、朝鮮半島情勢が安定し非核化が実現することは「あってはならない事態」だったのでした。これでは安倍政権が世界の孤児になるのは当然の成り行きです。
 それなのに今月22に開かれた「政府に今年中の全被害者救出を再度求める国民大集会は、「南北、そして米朝首脳会談の際に、拉致問題が前進するよう私が司令塔となって全力で取り組んでいく」と挨拶しました。「機を見る敏」という言葉がありますが、これはあまりにも実態から遊離していることなので開いた口が塞がらないというしかありません。
 
 LITERAは、「これ以上、この男をリーダーにしていれば、どんどん世界から孤立を深めていくだけだ」とまとめています
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南北会談“蚊帳の外”安倍首相がイタすぎる! 
会談実現を妨害したのに「私が司令塔」、トランプにも無視され…
LITERA 2018年4月27日
 きょう、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領による南北首脳会談がおこなわれ、史上初めて北朝鮮の指導者が軍事境界線を越えて韓国入りした。
 分断された南北のリーダーが軍事境界線を越えて両国の地で握手を交わし合う光景はまさしく歴史的瞬間と言えるものだったが、肝心の共同宣言も、「完全な非核化を通じ、核なき半島の実現を目標にする」「休戦協定締結から65年になる今年に終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換する」「南と北は一切の敵対行為を全面的に中止する」「南北とアメリカの3者、または南北と米中の4者会談の開催を積極的に推進する」と、平和に向けて大きく前進する内容だった。
 さらに、共同宣言署名後には共同発表がおこなわれ、カメラの前で金委員長が「合意したことは、過去のように死文化した歴史を繰り返さないよう、ひざを突き合わせて協議した。必ず成し遂げられるよう努力していく」と発言。北朝鮮への警戒は今後もつづくことになるだろうが、今回の南北首脳会談が大きな一歩になったことは確かだろう。
 
 だが、この世界が注目する動きから完全に蚊帳の外に置かれているのが、日本だ。
 しかも、蚊帳の外に置かれているにもかかわらず、安倍首相は共同宣言を受けて、こんなコメントを発表した。
「北朝鮮の非核化等について真剣に議論したことを、北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的な解決に向けた前向きな動きと歓迎する」
 「今回の会談の実現に至るまでの韓国政府の努力を称賛したい」
 さらに、記者から「日本が蚊帳の外に置かれるという懸念があるが」と質問されると「それはない」と躍起になって否定した。
「歓迎します」「韓国の努力を称賛したい」とは、よくもまあ厚顔無恥にも程があることを言えたものだ。なぜなら、この歴史的な南北の対話をなんとか潰そうと必死になってきたのが日本政府だからだ。
 
 そもそも、南北対話の動きは年明けからはじまっていた。今年の元旦には金委員長が平昌五輪に代表団を送る用意があると表明、その後おこなわれた南北閣僚級会談は国際的にも評価され、韓国の外交も奏功し、北朝鮮選手団の参加にくわえ応援団の訪韓実現に至った。
 ところが、安倍首相は1月の南北閣僚級会談を尻目に、外遊先で“北朝鮮の脅威”言いふらしてまわった
 
国際社会が平和的解決に努力を続けるなか、水を差し続けた安倍首相
 2月の五輪開会式に際した日韓首脳会談では、文大統領に「米韓合同軍事演習を予定通り進めることが重要だ」と内政干渉的なことまで言い出して融和ムードへ冷や水を浴びせかけ、五輪開催中の日米電話会談後には「北朝鮮に最大限の圧力をかけつづけていく点で完全に一致した」などと発言。さらに、韓国が南北首脳会談実現に向けて動くと、外務省を通じて韓国に「まだ時期が早い」「思いとどまるべき」と、再三にわたって圧力をかけつづけたのである。
 まさに米韓の足を引っ張り、北朝鮮との対話を食い止めようと必死で動き回っていたのだ。
 
 さらに驚いたのは、3月になって韓国大統領府が韓国の文在寅大統領と金正恩委員長の南北首脳会談の合意を発表し、その後の米朝首脳会談や平和的解決への流れが決定的になったあとも、その態度を変えなかったことだ。
 たとえば、菅義偉官房長官は、南北首脳会談合意について「対話のための対話であっては意味がない」などと非難に近いコメントを発表し、河野太郎外相も「経済制裁で困っているので、(金委員長は)必死にほほ笑み外交をやっているのだろう」と挑発した。
 そして、安倍首相も、3月8日の参院予算委員会で対話路線を完全否定し、「圧力を最大限まで高める」と言い放った。
「対話に応じたからといって、たとえば制裁を緩める対価を与える、対話に対して対価を与えるということがあってはならない」
 「核・ミサイル計画を放棄させるため、安保理決議の完全な(制裁)履行など、あらゆる方法で、圧力を最大現まで高めていく考えであります」
 
 はっきり言うが、こんな態度を示したのは、世界中で日本の政府くらいだ。南北首脳会談合意のあと、トランプ大統領はすぐに「世界にとって素晴らしいことだ」と言明し、対話に意欲を示したことを「北朝鮮は真剣だと思う」と評価。そのほかロシアや中国、EUも歓迎姿勢を示した。ところが、日本政府と安倍首相だけは交渉の進展を期待するようなコメントは一言も出さず「対話に対して対価を与えるな」「まだまだ圧力を高めるぞ」と息巻きつづけた。
 
 その上、金委員長と習近平国家主席の電撃的な首脳会談がおこなわれた際には、安倍首相も河野外務相もまったく情報を得ていなかったことが露呈。挙げ句、3月28日の参院予算委員会では、安倍首相は「北朝鮮の側から対話を求めてきた。圧力を最大限まで高めるわが国の方針を、国際社会の方針にするためにリーダーシップを取ってきた結果だ」と宣ったのである。
 完全に孤立状態なのに「俺の成果」と言わんばかりに勝ち誇る──。まさに「裸の王様」としか言いようがないが、忘れてはいけないのは、安倍首相は北朝鮮問題を「国難」と呼んできたことだ。
 
南北対話の足を引っ張り続けたくせに、「私が司令塔」と言い出す厚顔
 しかし、今回の南北首脳会談では、金委員長は弾道ミサイルの発射について「(未明に)もう叩き起こさない。私が確約する」と述べた、というのである。
 ご存じの通り、安倍首相は昨年9月、「北朝鮮問題への対応について国民に問いたい」などと言い出し、北朝鮮問題を「国難」と呼んで解散総選挙をおこなったが、その「国難」は足を引っ張りつづけた南北の対話によって突破の道を切り拓かれようとしているのである。悪い冗談のような話だ。
 ようするに、安倍政権はこれまで北朝鮮問題の解決や非核化の実現を目指していたのではなく、ただ北朝鮮危機を煽ることで政権浮揚をはかってきただけ。改憲を推し進めてきた安倍政権にとって、朝鮮半島情勢が安定し非核化が実現することは、むしろあってはならない事態だったのだ。
 
 ところが、対話による平和的解決に米韓をはじめ国際社会が本格的に向かうと、安倍首相は今度は政権浮揚の道具に拉致問題をもち出しはじめ、今月22日におこなわれた拉致被害者家族会などが開いた国民大集会の場では、鼻息荒くこう述べた。
「南北、そして米朝首脳会談の際に、拉致問題が前進するよう私が司令塔となって全力で取り組んでいく」
 まったく開いた口が塞がらない。この「私が司令塔」発言に対しては、拉致被害者家族である蓮池透氏も〈司令塔? この期に及んで。どうやって?〉とツイートしたが、至極ごもっともだ。
 
 現に、先日おこなわれた日米首脳会談の共同記者会見で安倍首相は「ドナルド、あのときのあなたの言葉は、マール・ア・ラーゴで過ごした素晴らしい思い出とともにいまなお、私の胸に深く刻まれている」などと気持ちの悪い親密アピールを繰り出したが、対するトランプ大統領は安倍首相を見放しており、海外メディアも“安倍首相はトランプから見捨てられた”と伝えた。つまり、安倍首相の対北朝鮮外交はすべて失敗し、挙げ句は部外者扱いで拉致問題も文大統領やトランプ大統領任せという体たらく。きょうにしても「文大統領からの電話待ち」という状態で、それで「私が司令塔」とは片腹痛い。
 
 しかも、トランプ大統領は南北首脳会談を受け〈朝鮮戦争が終結へ!〉などと興奮気味に祝福ツイートしたのに続き、中国の習近平主席についても〈私の良き友人・習近平主席の多大な尽力を忘れないでください〉〈彼がいなければ、もっと長く厳しい道のりだっただろう〉と謝辞をツイート。一方、「司令塔」で「リーダーシップをとってきた」らしい安倍首相については、今のところ一言も触れられていない。
 
 改憲という自分の悲願のために危機を煽り、平和的解決を認めないような言動を繰り返した挙げ句、蚊帳の外に置かれているのにもかかわらず、いまだにあたかも自分の成果のように誇る。これぞまさに「外交の私物化」と言うべきだろう。これ以上、この男をリーダーにしていれば、どんどん世界から孤立を深めていくだけだ。(編集部)

「板門店宣言」 日本語全訳

 ハフィントンポストに「板門店宣言」に日本語全訳が掲載されましたので、紹介します。
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「板門店宣言」の全文を、取り急ぎ日本語に訳してみました
韓国・文在寅大統領と北朝鮮・金正恩氏が4月27日、署名して発表
ハフィントンポスト 2018年04月27日
ハフポスト日本版編集部 
韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は4月27日、朝鮮半島の「完全な非核化」を目標とする「板門店宣言」に署名し、発表した。その全文をハフポスト日本版で試訳した。全文は以下の通り。
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韓半島の平和と繁栄、統一に向けた板門店宣言
 
大韓民国の文在寅大統領と朝鮮民主主義人民共和国の金正恩国務委員長は、平和と繁栄、統一を願う全同胞のひたむきな意向を込めて、韓半島で歴史的な転換が起きている意味深い時期に、2018年4月27日、板門店の平和の家で、南北首脳会談を行った。
 
両首脳は、韓半島にこれ以上戦争はなく、新たな平和の時代が開かれたことを8千万の我が同胞と全世界に厳粛に宣言した。
 
両首脳は冷戦の産物である長年の分断と対決を一日も早く終息させ、民族的和解と平和繁栄の新しい時代を果敢に向かって行き、南北関係をより積極的に改善して発展させていくべきだという確固たる意志を込めて、歴史の地・板門店で次のように宣言した。
 
1.南と北は、南北関係の全面的・画期的な改善と発展を成し遂げることで、途切れた民族の血脈をつないで共同繁栄と自主統一の未来を早めていく。
南北関係を改善して発展させることは、すべての同胞の一途な望みであり、これ以上先送りできない時代の切迫した要求だ。
 
ⓛ南と北は、わが民族の運命は自ら決定するという民族自主の原則を確認しており、すでに採択された南北宣言とすべての合意を徹底的に履行することで、関係改善と発展の転換的局面を切り開いていくことにした。
②南と北は、高官級会談をはじめとする各分野の対話と交渉を早期に開催して、首脳会談で合意された問題を実践するための積極的な対策を打ち立てていくことにした。
③南と北は、当局間協議を緊密にし、民間交流と協力を円満に保障するために、双方の当局者が常駐する南北共同連絡事務所を開城地域に設置することにした。
④南と北は、民族的和解と団結の雰囲気を高めていくために、各界各層の多方面的な協力と交流、往来と接触を活性化することにした。
内部では6.15をはじめ、南と北の両方に意義がある日を契機に、当局と国会、政党、地方自治体、民間団体など各界各層が参加する民族共同行事を積極的に推進し、和解や協力の雰囲気を高めながら、外部では2018年アジア競技大会をはじめ、国際試合に共同で進出し、民族の知恵と才能、団結した姿を全世界に誇示することにした。
⑤南と北は、民族分断により発生した人道的問題を早急に解決するために努力し、南北赤十字会談を開催して離散家族・親戚の再会を含む諸問題を協議し、解決していくことにした。
来たる8.15をきっかけに、離散家族・親戚の再会を進めることにした。
⑥南と北は、民族経済の均衡的発展と共同繁栄を実現するために、10.4宣言で合意された事業を積極的に推進していき、1次的に東海線および京義線鉄道と道路を連結し、現代化して活用するための実践的対策を取っていくことにした。
 
2.南と北は、韓半島で先鋭化する軍事的緊張状態を緩和し、戦争の危険を実質的に解消するため、共同で努力していく。
 
①南と北は、地上と海上、空中を含むすべての空間で、軍事的緊張と衝突の根源となっている相手側に対する一切の敵対行為を全面中止することにした。
来たる5月1日から軍事境界線付近で、拡声器放送とビラ散布を含むすべての敵対行為を中止して、その手段を撤廃し、今後の非武装地帯を実質的な平和地帯にしていくことにした。
②南と北は、西海の北方境界線一帯を平和水域にし、偶発的な軍事的衝突を防止し、安全な漁労活動を保障するための実際的な対策を打ち立てていくことにした。
③南と北は、相互協力と交流、往来と接触が活性化されることによる様々な軍事的保障対策を取ることにした。
南と北は、双方の間で提起される軍事的な問題を、滞りなく協議・解決するために、国防部長官会談をはじめとする軍事当局者会談を自主開催し、5月中に将官級軍事会談を開くことにした。
 
3.南と北は、韓半島の恒久的で強固な平和体制構築に向けて、積極的に協力していく。
韓半島で、正常とはいえない、現在の休戦状態を終息させ、確固たる平和体制を樹立することは、これ以上先送りできない歴史的課題である。
 
①南と北は、いかなる形の武力も互いに使用しないことに対する不可侵合意を再確認し、厳しく遵守していくことにした。
②南と北は、軍事的緊張が解消されて、互いの軍事的信頼が実質的に構築されることによって段階的に軍縮を実現していくことにした。
③南と北は、休戦協定締結65年になる今年に終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制構築に向けた南・北・米三者または南・北・米・中四者会談の開催を積極的に推進していくことにした。
④南と北は、完全な非核化を通じて核のない韓半島を実現するという共同の目標を確認した。
南と北は、北朝鮮側が取っている主導的な措置が韓半島の非核化に向けて非常に有意義で重大な措置だという認識を共にして、これからそれぞれ自身の責任と役割を果たすことにした。
 
南と北は、韓半島の非核化に向けた国際社会の支持と協力のために積極的に努力することにした。
両首脳は、定期的な会談とホットラインを通じて、民族の重大事を随時、真摯に議論して信頼を厚くし、南北関係の持続的な発展と韓半島の平和と繁栄、統一に向けた良い流れをさらに拡大していくために、共に努力することにした。
文在寅大統領は、今年秋に平壌を訪問することにした。
2018年4月27日
板 門 店
 
大韓民国大統領 文在寅・朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長 金正恩

28- 蚊帳の外に置かれている安倍外交の現実(植草一秀氏)

 植草一秀氏のブログ:「蚊帳の外に置かれている安倍外交の現実」を紹介します。
 
 ここでは、はじめに北朝鮮分断の経緯と拉致問題に触れています。
 韓国にも日本をはるかに上回る、北による拉致被害者が存在します。しかし韓国はその問題には一切触れずに南北宥和に向けて努力し、ついに27日に南北首脳会議と「板門店宣言」を実現しました。
 韓国としては完全な南北宥和が実現した後に、解決に向けて動き出せばいいと判断したものと思われます。南北はもともと一つの国家だったので、日本での受け止めとはまた違う点があるのでしょう。
 
 いずれにしても北に拉致されたことを日本が知ってから既に20年近くも経っているのに、この間無作為に過ごしてきただけでなく、安倍政権になってからは、ことごとに北朝鮮を悪しざまに言い、世界に向かって北に対する制裁の強化を訴え続けて来ました。しかし、そんなことでは拉致問題が進展する筈はないので、一体、拉致問題を真剣に解決する積りがあったのか大いに疑われます。
 これから最善を尽くすにしても、先ずは安倍政権が退陣することが最も肝要な前提になる様に思われます。
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蚊帳の外に置かれている安倍外交の現実
植草一秀の「知られざる真実」 2018年4月28日
日本には拉致問題があるために南北朝鮮の首脳会談開催について無条件でこれを歓迎できない事情がある。
しかし、拉致は連合国軍と北朝鮮が戦争状態にある下で発生した事案であり、国交関係を有する友好国間において発生した事案ではない点には留意が必要である。
 
1月20日付ブログ記事、メルマガ記事でも紹介したが、「アリの一言」ブログ主宰者が、北朝鮮分断の経緯についての情報を提供されている。
同ブログは、北朝鮮分断の経緯について文献から、奈良女子大名誉教授中塚明氏とオーストラリア国立大教授ガバン・マコーマック氏の指摘を紹介している。
改めて転載させていただく。
 
「一九四五年八月十五日、日本が敗北するとすぐさま朝鮮建国準備委員会(委員長・呂運亨)が結成され、八月末まで朝鮮全国各地に一四五もの人民委員会がつくられる勢いでした。九月六日には、朝鮮人民共和国の樹立が宣言されました。首席にアメリカで活動していた李承晩、副首相に呂運亨という布陣で、幅ひろい組織をめざしました。
しかし、アメリカは南朝鮮に軍政を施行し、朝鮮人民共和国を認めず、きびしく弾圧しました。
 
 …朝鮮人自身による独立政府樹立の運動がつづく中…
 
アメリカは、一九四七年、創設まもない国連に朝鮮問題を持ち込み、国連監視下の南北朝鮮の総選挙を可決、翌年には南朝鮮だけの単独選挙実施方針を示しました」(中塚明奈良女子大名誉教授『日本と韓国・朝鮮の歴史』高文研)
 
「そもそも朝鮮の分断は、アメリカの一方的決定によるものであった。
 
 …終戦直後の一九四五年九月、朝鮮に上陸し、朝鮮南部に軍事的支配を樹立したアメリカは、すでにその行政区域内に育っていた朝鮮人自身の萌芽的共和国(呂運亨主導下の朝鮮人民共和国)とその草の根の組織である人民委員会の承認を拒否した。…
 
日本の植民地体制と植民地統治が崩壊し、代わりにアメリカ支配が始まってから、莫大な富と権力がアメリカ人の手に渡った」(ガバン・マコーマック・オーストラリア国立大教授『侵略の舞台裏 朝鮮戦争の真実』影書房)
 
朝鮮分断は米国が主導したものであるとの見立てが正鵠を射ていることが分かる。
朝鮮半島の最大の問題、悲劇は、朝鮮が他国の力によって南北に分断され続けてきたという点にある。
南北の融和、南北の統一こそ、目指すべき目標である。
その南北の分断、韓国に対する支配を確保し、手放さずに来たのが米国なのである。
米国の韓国支配は韓国のためのものではなく、米国のためのものである。
その米国の支配下にある日本は、日本や韓国のための外交ではなく、米国の利益を守るための外交を展開していると言わざるを得ない。
 
安倍首相は平昌五輪開会式への出席を見送ろうとした。しかし、自民党内からの異論を受けて開会式出席を受け入れた。
そして、韓国の文在寅大統領との会談で五輪後の米韓軍事演習を督促する発言を示し、文在寅大統領から内政干渉であるとの批判を受けた。
今回、南北朝鮮の首脳会談が実現したが、会談実現は文在寅大統領の指導力によるところが大きい。
文在寅大統領は米国のトランプ大統領にも積極的な働きかけを行い、その結果として米朝首脳会談が実現する流れが生み出された。
 
こうした「対話」を軸とする朝鮮問題の解決については、中国、ロシア首脳も歓迎の意向を明示し、ただ一人、安倍首相だけが「圧力一点張りの主張」を続けてきたために蚊帳の外に置かれる事態が生じている。
安倍首相は訪米してトランプ大統領と首脳会談を行ったと弁明するが、トランプ大統領の対日外交のスタンスは、基本的に隷属国に対するものである。
トランプ大統領が昨年11月に訪日した際、入国の戸口になったのは横田基地である。
トランプ氏は訪日後の最初の演説を、星条旗を背景に行った。
日本に対して独立国訪問の儀礼を踏まずに訪日し、そのまま横田基地から日本を離れたのである。
安倍首相はトランプ大統領のマイアミの別荘を二度訪問しているが、安倍首相を招いての夕食の会場は、二度ともファミレスのような食堂である。
安倍首相はゴルフをプレーしていることを宣伝するが、外交においては、どのクラスの接遇を受けるのかが極めて重要なのである。
トランプ大統領は安倍首相と親しく接してはいるが、独立国家の首相として対応しているというよりも、隷属国の総督と対応していることを「形式」によって明示していると見られる。
4月24日に訪米したフランスのマクロン大統領は、トランプ大統領就任後、米国が招く初めての国賓となった。
習近平氏夫妻が訪米した際には、安倍首相と同じマイアミの別荘を訪問しているが、夕食は格式の高い晩餐会会場であった。
つまり、日本は完全に格下の扱いを受けているのである。
 
南北朝鮮の問題についても、両国は南北朝鮮と米国、そして中国と協議して今後の対応を進めることを明言した。
安倍外交の孤立無援ぶりが改めて明らかになったと言わざるを得ない。
 
拉致問題を抱えている日本であればこそ、関係各国から重視される発言力を確保しなければならないのだが、安倍外交にはその力が完全に欠落していると言わざるを得ない。
(以下は有料ブログのため非公開)
 
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2018年4月27日金曜日

「拉致問題についてはトランプ大統領に頼んであるから」でいいのか

 安倍首相は『拉致問題の安倍』ということで首相にまで上り詰めた人間です
 もともと拉致問題は日本と北朝鮮の間の問題で、本来は日朝で交渉を積み重ねて決着させるべき事柄です。それなのに安倍首相はこの5年間、『拉致は最重要課題』と口癖のようにいはしても、実際には何も取り組んで来ませんでした。
 実際にしてきたことは、ことあるごとに率先して北朝鮮を非難することで、いわば日朝間の感情的対立を高めることでした。それはメディアの論調にも反映され、最近は北朝鮮も日本を名指しで非難するようになりました。。
 
 それが思いもかけずに、米・朝間で対立解消の合意が成立するかもしれないという展開になったため、安倍首相としては、「拉致被害者救済についてはトランプ大統領に頼んであるから」という話に逃げるしかなくなりました。
 だからと言って「トランプ頼りで拉致被害者が帰ってくるかの幻想を振りまくのは、あまりに罪深い」とジャーナリストの高野孟氏は述べています。
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 永田町の裏を読む  
拉致被害者が帰ってくるかのような幻想を振りまく罪深さ
高野孟 日刊ゲンダイ 2018年4月26日
 安倍晋三首相が22日、北朝鮮による拉致被害者の家族の方々と面会した際に、先の日米首脳会談で「トランプ米大統領は『拉致被害者の早期帰国のために可能な限りすべてのことをして、日本に帰国させる』と明言した」と説明したという報道に接して、私は「あーっ、またその場限りの希望的観測のようなことを口にして、家族や支援者を裏切ることにならないか」と暗たんたる気分に陥った。
 
  拉致議連の元幹部だった某自民党政治家と久しぶりに電話で話すと、彼もまったく同じ心配を抱いていた。「だってそうでしょう」と彼が言う。
 「拉致問題の解決は日本と北朝鮮の間の問題で、日朝で交渉を積み重ねて最終的には日朝首脳会談を実現して、そこで勝負すべき事柄です。ましてや安倍は『拉致の安倍』ということで売り出して総理にまで上り詰めた男ですから、自分で血路を開かなければならない。しかしどうですか、この5年間、彼は口癖のようにして『拉致は最重要課題』と言うけれども、本気で北と交渉できるような環境整備には何も取り組んでいない。事態は1ミリも動いていないどころか、むしろ逆で、米国の一部タカ派と調子を合わせて、米日韓の軍事協力で北を抑えつけるんだというような時代錯誤のことばかり言ってきた。それで方策を失って、しかし家族や支援者から突き上げられることを恐れ、『いまトランプに頼んでいるので、ちょっと待って』という話に逃げるしかない」
 
 言うまでもないことであるけれども、いま金正恩、文在寅、習近平、トランプ、そしてやや後景にいるプーチンも含めて、北東アジアの関係諸国を挙げて取り組んでいるのは、北の核の脅威というこの地域の最大の危機要因をデフューズ拡散して、1953年以来の懸案である朝鮮半島の和平を達成するかという、とてつもない難題で、関係諸国は言わば命懸けでこれに挑んでいる。
 
 その時に安倍が「ちょっと待って。日本は拉致という最重要問題を抱えていて、これも議題にのせて下さい」とお願いに行って、普通なら「何を言っているんだ。それは日朝間でやれよ」と言われるに決まっている。トランプは安倍のゴルフ友達なので、そうは言わずに「分かった。できるだけのことはしよう」と言ったのだろう。しかし、トランプが拉致問題を持ち出したとして、金正恩がその議論に時間を割くことは100%あり得ない。トランプ頼りで拉致被害者が帰ってくるかの幻想を振りまくのは、あまりに罪深い。 
 
 高野孟  ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。

辺野古工事で重大不正発覚 ジュゴン訴訟でも米専門家チームが異論

 LITERAが沖縄・辺野古工事着工から1年の節目に、2つの重大問題があることを取り上げました。
 
 ひとつは、14年6月に防衛省が発注した総工費59億円の桟橋などの仮設工事大成建設受注)で、その契約に含まれていた新基地建設反対運動に対する海上警備で、警備会社ライジング社)が警備人員の人数を水増しして約7億4000万円を過大請求したことに関連するものです。
 これは16年1月に内部通報があったため水増し分は減額されましたが、沖縄防衛局は大成建設に注意をしただけで、その後もライジング社と契約を続けてました
 ライジング社はテロ対策への進出なども視野に入れている会社で八木均社長は自衛隊や右派にも太いパイプをもつ人物だということです
 
 もうひとつは、日米の環境保護団体が03年に米連邦地裁に起こした「沖縄ジュゴン訴訟」に関するものです。
 新基地建設工事によって国の天然記念物であり絶滅危惧種のジュゴンに影響を与えるという原告の指摘に対し、米国防総省は沖縄防衛局が09年にまとめた環境影響評価や米国防総省の専門家による報告書を根拠に「影響なし」と結論づけました。
 しかし、その環境影響評価準備書のジュゴンに関する内容を巡り、米国防総省の専門家チームが10年の報告書で、(1)調査者の経験や能力に疑問がある(2)生息密度など量的数値を把握する調査がない(3)季節の違いが考慮されていない(4)文献の引用が適切に示されていない・・・などの調査の不適切さを指摘し、「ほとんど価値を持たない」との見解を示していたことが分かりました。
 沖縄県や環境団体が長年訴えてきたアセスの不備が裏付けられたもので、訴訟原告団は、近く本格審理に入る「差し戻し審」で、国防総省にジュゴンへの影響を否定した根拠や経緯を追及するということです。
 
 LITERA、時事通信、沖縄タイムスの記事を紹介します。
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辺野古工事着工から1年の節目に重大不正発覚!
反対派に対する警備代7億円水増し請求と防衛省の黙認が意味するもの
LITERA 2018年4月25日
 辺野古への新基地建設で政府が護岸工事に着工して、きょうで1年を迎える。そしてきょうも辺野古キャンプ・シュワブゲート前では新基地建設に反対する市民たち約300人が抗議活動をおこない、海でも「海上大行動」としてカヌーから「海を壊すな」「工事をやめろ」と抗議。対する機動隊や海上保安官は市民を次々に強制排除、拘束していった。
 
 沖縄の民意を無視し、力づくで市民を抑え込む安倍政権の強権的な姿勢は言語道断と言わざるを得ないが、そんななか、とんでもない問題が発覚した。
 なんと、防衛省が発注していた基地反対派に対する警備代が、約7億4000万円も過大請求されていたというのだ。
 問題となっているのは2014年6月に防衛省沖縄防衛局が発注した桟橋などの仮設工事で、大成建設が約59億円でこれを受注。その契約には新基地建設反対運動の海上警備が含まれていたといい、大成建設は渋谷区に本社を置く警備会社・ライジングサンセキュリティーサービスに警備を委託した。そして、このライジング社が、警備にあたった人数を水増しして約7億4000万円を過大請求したのである。
 
 だが、驚くべきはこのあと。この過大請求は2016年1月に沖縄防衛局に内部通報があり、大成建設が調査して事実と判明。契約額から水増し請求分を減額したが、沖縄防衛局は大成建設に注意をしただけで、ライジング社との契約を解除させることもなく、その後もライジング社と契約をつづけていたのだ。
 
 しかも、このライジング社の100%子会社で実際に海上警備にあたっていたマリンセキュリティーをめぐっては、燃料を海に廃棄していたことが発覚しており、そのほかにも警備艇船長による暴言や嫌がらせといったパワハラ行為、船内での飲酒、従業員への月最大200時間以上の残業代未払いなどが問題となってきた。その上、不正な請求をした会社と契約をつづけるという異常な事態に、防衛省や政治家の介入があったのではないかと指摘する声も出ている。
 実際、ライジング社は海外での民間武装警備の訓練にも参加するなど、テロ対策への進出なども視野に入れている会社で、同社の八木均社長は、自衛隊や右派にも太いパイプをもつ人物といわれている。
 
 いずれにしても、この背後には“不正があろうがなんだろうが、工事さえ進めるなら手段を選ばない”というなりふり構わない安倍政権の姿勢があるのは明らかで、辺野古新基地工事にはこうした不正がほかにも山ほどあるのではないかともいわれている。
 だいたい、水増し請求額が約7億4000万円ということは、この額よりはるかに超える警備費が海上だけでも投入されているということ。そんな巨額の国民の血税を使って市民を排除するための警備をおこなっていること自体が許しがたいものだ。
 
「新基地建設工事はジュゴンに影響なし」の環境アセスメントも嘘だった
 しかも、ここにきて、新基地建設工事の妥当性にも疑問が出てきた。新基地建設工事によって国の天然記念物であり絶滅危惧種のジュゴンに影響を与えるという指摘に対し、米国防総省は「影響なし」と結論づけ、その根拠に沖縄防衛局がまとめた環境影響評価(アセスメント)や米国防総省の専門家による報告書を挙げてきたが、18日付の沖縄タイムスのスクープによれば、2009年に沖縄防衛局がまとめたアセスの土台となった準備書に記されたジュゴンの調査について、翌2010年、国防総省の専門家チームによる報告書では同調査の不適切さを指摘し「ほとんど価値を持たない」という見解を示していたというのだ。
 
 国防総省の専門家チームによる報告書では、「ジュゴンの生息地であり(新基地建設は)餌場の海草藻場にも直接影響を与える」とし、基地建設がジュゴンの減少・絶滅の一因になることは「明白だ」と断じている。さらに、専門家のひとり、海洋哺乳類学者トーマス・ジェファーソン氏は米海兵隊に対し、「アセスは非常に不十分で科学的検証に耐えられるものではない」「ジュゴンへの影響が予想される」とメールで沖縄防衛局のアセスを批判していたという(琉球新報19日付)。にもかかわらず、国防総省は「影響なし」と結論づけ、日本は工事を進めてきたのだ。
 隠蔽体質は日本だけではなくアメリカも同じということだが、これによって、アセスの不備および工事の妥当性は揺らぐことになる。今後、アメリカでおこなわれているジュゴン訴訟の動きによっては基地建設にも影響が出るだろう。
 
 今週、辺野古では、少しでも工事を遅らせることで海を守ろうと、ゲート前に多くの市民が集まり、身を挺して抗議をおこなっている。公文書改ざんをはじめとする安倍政権による民主主義の破壊行為の最前線は、沖縄にある。いまこそ「本土」が沖縄とともに抵抗を示していかなくてはいけないだろう。 (編集部)
 
 
辺野古警備、人数水増し=発覚後も契約継続―防衛省
時事通信 2018年4月26日
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事をめぐり、受注した大成建設から海上警備を委託された警備会社が、人数を水増しして人件費約7億4000万円を過大請求しようとしていたことが26日、防衛省への取材で分かった。内部通報を受け対処したため損害はなかったが、同省は問題発覚後もこの警備会社と契約を続けていた。
 
 同省によると、大成建設が2014年8月、「ライジングサンセキュリティーサービス」(東京都渋谷区)に警備業務を委託。ライジング社はこの警備費用について、業務に当たった人数を水増しした報告書を提出しようとしていた。
 16年1月、同省沖縄防衛局にライジング社従業員から警備状況が契約と異なるという内部通報があり発覚。同局と大成建設が契約を見直し、過大請求はされず、過払いはなかったという。
 
 
「ほとんど価値ない」 辺野古アセスを疑問視 米国防総省の専門家チーム
沖縄タイムス 2018年4月18日
 名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局が2009年にまとめた環境影響評価(アセスメント)準備書のジュゴンに関する内容を巡り、米国防総省の専門家チームが10年の報告書で調査の不適切さを指摘し、「ほとんど価値を持たない」との見解を示していたことが分かった。係争中の「沖縄ジュゴン訴訟」で同省が米連邦地裁に行政記録として提出していた。専門家の一人が米海兵隊司令部に「(アセスは)非常に不十分で科学的検証に耐えられない」と指摘したメールも開示されており、県や環境団体が長年訴えてきたアセスの不備が裏付けられた格好だ
 一方、同省は14年の「推奨報告書」で、専門家チームの報告書やアセスを踏まえ「ジュゴンへの悪影響はない」と結論付けたが、その判断の妥当性にも疑義が生じかねない。 訴訟原告団は、近く本格審理に入る「差し戻し審」で、同省にジュゴンへの影響を否定した根拠や経緯を追及する見通し。
 
 278ページある報告書は「沖縄のジュゴンの人類学的調査」。同省の委託した考古学や文化人類学者、海洋哺乳類の専門家5人が、日米の文献資料410点の分析や、沖縄での聞き取りを基に作成した。
 報告書は、アセス準備書の問題点として(1)調査者(観察者)の経験や能力に疑問がある(2)生息密度など量的数値を把握する調査がない(3)季節の違いが考慮されていない(4)文献の引用が適切に示されていない-などを挙げた。
(後 略)