2018年4月21日土曜日

嘘で固めた「安倍一強支配」 見るも無残に自壊の必然 <上・中>

 安倍政権はいよいよ末期の様相を呈して来ました。
 日刊ゲンダイが、「嘘で固めた安倍一強支配  見るも無残に自壊の必然 <上・中・下>」の記事を出しました。
 ウソと無法で塗り固められた安倍政権5年余を総括するもので、実際にこれほどの身勝手さはかつてなく、ごく一部のネトウヨの支持と応援の下で如何に酷い「政治」が行われてきたのかが分かります。
 
 3部作の構成になっている記事の<上>と<中>を紹介します。
 <中>は、日刊ゲンダイの電子版には冒頭の部分しか載っていないので、「阿修羅」の記事を転載します。
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 嘘で固めた「安倍一強支配」 見るも無残に自壊の必然 <上> 
なぜバレる嘘をつき続けるのか、正気を失っている政権の迷走
日刊ゲンダイ 2018年4月20日
財務次官の恥の上塗りと最強官庁が聞いて呆れる危機管理 
 セクハラ問題が炸裂した財務次官が、決定的な証拠を突き付けられても認めず、みっともない強弁を続ける。安倍強権政治の無残な末路を見る思いである。
 19日未明、財務省の福田淳一事務次官からセクハラ被害を受けたのは、テレビ朝日の女性社員だと分かった。同社は音声データも確認し、セクハラを認定。ところがそれでも、福田氏はセクハラ行為を認めず、「全体としてみればセクハラに該当しない」とのたまった。
 一般の感覚からいえば、理解不能だ。「胸触っていい?」の一言だけでアウト。言われた相手がそう感じたら、即セクハラなのだ。「太ったね。妊娠したの?」でもダメだという声もあるほどで、「胸触っていい?」なんて言語道断。国民の感覚からズレまくっている
 そのうえ、一昨日まで「自分の体を通してなので、自分の声なのかわからない」と屁理屈を言って音声データを認めていなかったのに、「全体としてみれば」という発言は、自分の声だと認めていることになる。
 麻生財務相も同類で、省を挙げて次官を守り、女性記者に「名乗り出ろ」と恫喝。それだけでも唖然なのに、福田氏も財務省もやっていることが支離滅裂で、恥の上塗りでしかない。最強官庁が聞いて呆れる。
 
「財務省はもともと古い体質を引きずった官庁なんです。建物内の廊下には、いまだに赤じゅうたんが敷いてありますからね。そのうえトップの大臣とナンバー2の事務次官がセクハラに対して化石みたいな感覚ですから、誰も鈴をつける人がいない状況。大臣と次官の対応が結果的に傷口を広げ、財務省への批判が高まるのは明らかなのに、誰も責任を取りたくないから、大臣や次官に何も言えない。組織としてのガバナンスが機能していないのです」(元経産官僚の古賀茂明氏)
 史上最低政権の最悪官庁の実態があらわになったということだ。
 
なぜバレる嘘をつき続けるのか、正気を失っている政権の迷走 
 東大卒がうじゃうじゃいる優秀な霞が関の官僚たちが、一体なぜ、子供でも分かるような嘘をつき続けるのか。
 財務省は次官のセクハラ問題だけじゃない。森友問題での決裁文書改ざんもそうだし、「パソコン上のデータは短期間で自動的に消去されて復元できないシステム」などと腰を抜かす国会答弁もあった。
 
 厚労省による裁量労働制のデータ捏造、防衛省の日報隠蔽、そして加計学園の獣医学部新設をめぐる柳瀬唯夫元首相秘書官の「首相案件」発言。愛媛県の文書に官邸を訪問して柳瀬氏に会った記述があるのに、「記憶にない」と言い張る。いずれもみな、すぐバレる嘘なのに、官僚たちは“完璧”に隠せていると思い込んでいる。その感覚がすでに正気を失っているとしか言いようがない。
 
「嘘で塗り固めるというのはこの5年間の安倍首相の政治手法であり、その下で出世する官僚は皆それを真似るようになっていったのではないか。私は安倍手法について、街頭演説での『こんな人たちに負けるわけにはいかない』と、国会で当時の佐川宣寿理財局長にメモで渡したとされる『もっと強気で行け』という2つの発言が象徴的だと思っています。つまり、自分にとって不都合な人は力で制圧し、事実は二の次で突っ込む。証拠を突き付けられても、認めない。盲信的なネトウヨそのもので、そこにまっとうな議論はありません。残念ながら、霞が関にもそれが浸透したということでしょう」(上智大教授の中野晃一氏=政治学)
 安倍政治はまさに悪魔のサンプルだ。
 
 
嘘で固めた「安倍一強支配」 見るも無残に自壊の必然 <中>
日刊ゲンダイ 2018年4月20日
 (阿修羅 赤かぶ 文字起こしより転載)
安倍5年間で失われた役所のガバナンスと良識 
 それにしても、怒涛のような2カ月だ。森友文書の改ざんが発覚したのが3月2日。それ以降、次から次へと不祥事が表ざたになる動きが止まらない。鉄壁の官僚機構が自ら音を立てて崩れ、安倍政権などしょせん、砂上の楼閣だったことが、国民の目にも連日、くっきり映し出された。
 ここへきて、一気に膿が噴き出したのはなぜなのか。前出の古賀茂明氏はこう見る
「安倍1強に陰りが見えてきたことが背景にあるでしょうが、官僚心理には、佐川前国税庁長官の悲惨な姿が影響していると思います。森友問題で財務省の決裁文書改ざんが見つかり、佐川氏の『交渉関連の文書は廃棄した』という国会答弁が虚偽だったことが明らかになりました。佐川氏がそこまでして安倍首相を守っても、結局、更迭され、官邸にも財務省にも切り捨てられた。霞が関の官僚たちは、『隠すと後で大変なことになる。勢いを失った政権は自分を守ってくれない』という恐怖感を抱き、隠すのをやめたのです。安倍首相のために愛媛県職員らと面会したことを否定している柳瀬元首相秘書官も、この先どうなるのかわからなくなっていますしね」
 
 膿が出たのは不幸中の幸いだが、それでも5年は長い。この間、全体に奉仕する「公僕」という意識が薄れ、ヒラメのように上を見て、“アベ様”のために仕事する官僚ばかりになってしまった。役所のガバナンスと良識が失われてしまった。安倍本人がそういう官僚を望んだからであり、破廉恥極まりない。
 
文科省と自衛官が垣間見せた反安倍狩りこそ、この政権の正体 
 犬は飼い主に似るというが、国政を動かす政権が狂っていれば、支える政治家も仕える官僚も、それ相応の人間の吹きだまりになっていく。
 前文科次官の前川喜平氏の講演に政治介入した問題は露骨だった。前川氏は安倍首相の“腹心の友”が進めた加計学園の獣医学部新設をめぐり、「総理のご意向で行政が歪められた」と告発した“政権の敵”だ。名古屋市立中学が授業の一環で依頼した講演について、文科省が市教育委員会に経緯から内容に至る詳細な報告を要求。文教族の2人の“安倍チルドレン”による圧力の結果だった。
 
 現職自衛官の暴走も起きた。防衛省統合幕僚監部に所属する30代の男性3等空佐が、ジョギング中に鉢合わせた民進党の小西洋之参院議員を恫喝。再三の警告を無視し、「おまえは国民の敵だ」「おまえの議員活動は気持ち悪い」などと20分間にわたって罵声を浴びせ続けた。選挙権行使を除く政治的行為を制限し、信用失墜行為を禁じる自衛隊法に反するのは言うまでもないが、民間人の振る舞いとしても許されない行為だ。
 元文科省大臣官房審議官の寺脇研氏は言う。
「彼らに共通するのは、安倍政権に盾突く人間は許さないという思想です。安倍首相シンパが秘密警察のごとく周囲を監視し、恣意的に動き回るさまは異常としか言いようがない。前川氏の一件もトンデモないですが、3等空佐のような行動を霞が関の官僚が取ったらどうなると思いますか。輪を掛ける騒ぎになって、即刻厳罰処分が下されるでしょう。それぐらいの一大事なのに、〈若い隊員なのでさまざまな思いがある〉などと容認するような発言をした小野寺防衛相の見識を疑います」
 まさに、腐ったリンゴの方程式だ。
 
安倍政治5年間、法制局から財務省までの死屍累々 
 安倍政治の5年間で霞が関に、異常な「忖度」の嵐が吹き荒れるようになった要因はひとつ。安倍政権の常軌を逸した人事権の乱用である。
 12年に政権に返り咲いた当初から、内閣からの独立性や中立性を無視し日銀総裁や内閣法制局を「わが意」をくんだ人物にすげ替え、やりたい放題。安倍の注文通りの異次元緩和で黒田日銀の国債保有量は450兆円に達し、今や発行全体の約4割を占める。歴代政権の解釈通り集団的自衛権は違憲とする法制局長官も「合憲」と言い張る外務官僚に差し替え、解釈改憲を断行と、人事をテコに禁じ手に次ぐ禁じ手の繰り返しだ。
 
 3年前には元首相秘書官で“お気に入り”の財務省の田中一穂氏を強引に事務次官にネジ込んだ一方で、官邸に盾突いた官僚は必ず飛ばされる。ふるさと納税創設をめぐる規制緩和に反対した総務省幹部、官邸の人事介入に抵抗した外務省幹部、TPPで農家側に立った農水省の次官候補……。昨年は知人との会合の席で政権の方針に不満を漏らしただけで、釜山総領事が更迭された。まさに壁に耳あり、密告奨励の恐怖支配で、霞が関は死屍累々のありさまだ。
安倍政権の尋常ではない人事権の乱用が官僚の誇りやモラルを引き裂き、ゴマスリ、嘘つきがのさばる惨状を招いたのです。常に官邸の顔色をうかがう官僚だけが厚遇された末、ついに財務官僚は民主主義の根幹を破壊する公文書改ざんという大罪にまで手を染めた。その財務省トップは、かつて見たこともない下品な官僚だったのです」(政治評論家・森田実氏)
 この国の中枢は安倍政権によって堕落、腐敗しきっている。
 
こんな首相にひれ伏していた自民党がポスト安倍争いの笑止千万 
 政権浮揚をかけた訪米で主が留守の最中、安倍1強のもと押し黙っていた自民党が“ポスト安倍”をにらんで動きを活発化させている。失笑噴飯モノである。
 禅譲待ちと冷やかされ、渡米前の安倍と高級焼き肉をつついていた岸田文雄政調会長は態度を一変。18日の岸田派パーティーで「私自身は飛べない男と揶揄されることもあるが、国難に立ち向かい、国を動かす決意を新たにしなければならない」と気炎。会場で配布した政策集も反アベ一色で、9月の総裁選への意欲を見せた。
 
 政治評論家の野上忠興氏が言う。
「安倍首相は死に体だという党内の認識が強まったのを受けて、岸田氏もようやく腰を上げたのでしょう。安倍1強を支えてきた麻生財務相の辞任は時間の問題ですし、政権を去った麻生氏が総裁選へのスタンスを見直す可能性は大。第2派閥の麻生派が動けば、安倍首相を取り巻く派閥地図はガラリと変わる。それを織り込み、ポスト安倍争いの激化は必至です」
 きのうも「総理のおっしゃる〈膿は徹底的に出し切る〉をどう実践していくかだ」ともチクチクやった石破茂元幹事長は、「私どもと似た方向になっている」と岸田派の政策骨子を評価。反アベ勢力の形成に向けて秋波を送る。
 野田総務相もかまびすしい。セクハラ疑惑で財務省が被害者に協力を求めたことについて、「セクハラは被害者の保護、救済が最優先の中で取り組みが違うのではないか」と批判。麻生の進退をめぐっては、「麻生氏の任命権者である安倍首相が判断されること」と突き放した。
 いずれも念頭にあるのは、週末に実施される報道各社の次期首相を問う世論調査だ。安倍にひれ伏し、傍若無人を助長させた連中がゴーマン政権が自壊に差し掛かるや、こぞってポスト安倍争いとは……。その鉄面皮には愕然とする。