2018年4月24日火曜日

拉致被害者集会で異変 安倍首相に「もう帰るのか」と

 安倍首相は米国に出発する直前の15日に、横浜の病院に入院中の横田滋氏を見舞いました。家族にとって、当人の病状や体調によっては他人に会わせたくない場合があるものです。実は横田家サイド「体調がすぐれないので、遠慮して欲しい」と伝えていましたが、安倍氏は国民受けが良くなるとでも考えたのか、家族の意向を無視しメディアを引き連れて「見舞い」を強行したのでした。
 
 安倍首相は22日、都内で開かれた拉致被害者家族会や支援団体「救う会」などが主催する「国民大集会」に参加し「南北、米朝首脳会談の際に拉致問題が前進するよう、私が司令塔となって全力で取り組む」と決意を語ったということです
 安倍氏は、日米首脳会談でトランプ氏が米朝首脳会談で拉致問題を取り上げることを確約したことを強調し、「米国から提起されても、北朝鮮がどのように受け止め、実際に行動していくかだ」と逃げも打ちつつ、「日米で緊密に連携し、拉致被害者の即時帰国に向け、北朝鮮への働きかけをいっそう強化していく」と述べました
 
 それにしてもこの段階で「働きかけを強化する」とはまた何と空しい言葉でしょうか。
 それは2002年の「日朝平壌宣言」の段階でスタートさせるべき事柄でした。拉致被害者家族会代表の飯塚氏が「(これから取り組むということではなくて、もはや)直ちに全員を帰すというものでなければならない」と述べているのはそうした思いからです。
 
 集会には1000人近くが集まったということですが、その大半は支援団体と称される「救う会」のメンバーだったと思われます。彼らは強烈な安倍シンパの集まりで、絶えずその立場から「政府は蔭で拉致被害者の救済に努力しているから」と幻想を振り撒きながら、「被害者家族会」の言動を掣肘して来ました。
 そんな人たちの集会でも、首相が挨拶を終え退席しようとすると会場から『なんだ、もう帰るのか』『最後まで席にいろよ』とヤジが飛んだということですそれこそは安倍氏のこれまでの『取り組み』の無さを象徴するものです。
 
 日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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拉致被害者集会で異変 安倍首相に「もう帰るのか」とヤジ
日刊ゲンダイ 2018年4月23日
 安倍首相は22日、都内で開かれた北朝鮮による拉致被害者の救出を求める「国民大集会」に出席。「即時帰国に向け北朝鮮への働き掛けを一層強化する」と意気込んだ。
 
 今月27日に予定される韓国と北朝鮮の南北首脳会談、その後の米朝首脳会談と北朝鮮情勢は激動の渦にある。ただ、メインテーマは「非核化」で、安倍首相が拉致被害者帰国へ「働き掛けを強化」と言っても、すべてトランプ大統領頼みの体たらくだ。集会出席者にも苛立ちがあるのだろう。安倍首相が挨拶を終え、退席しようとすると、会場からヤジが飛んだという。
 
「司会が『安倍首相は政務のためお帰りになります』と告げ、安倍首相は壇上に座る家族会代表の飯塚繁雄さんや横田めぐみさんの母親の早紀江さんなどと握手をして立ち去ろうとした時でした。1000人弱が座る会場から、男性の声で『なんだ、もう帰るのか』『最後まで席にいろよ』とヤジが飛んだのです。安倍首相は苦々しい顔をして帰っていきました」(現場にいたメディア関係者)
 集会出席者はほとんどが安倍シンパだ。トランプが米朝会談で拉致問題を議題にすると約束し、本来なら解決への期待感が高まっているはずだが、冷ややかな空気も少なからずあるようだ。
 
 元家族会事務局長の蓮池透氏がこう言う。
「拉致問題を米朝首脳会談で扱って欲しいとトランプ大統領に頼みにいくということは、日本政府としては“お手上げ”ということです。それはさすがに安倍首相のシンパにも分かる。嫌気が差している人も少なくないと思います。被害者家族にいつまでも“幻想”を与え続ける安倍首相は罪つくりです。もし、トランプ大統領が金正恩委員長から『拉致問題は解決済みだ。戦後賠償を要求する』と言われたと伝えてきたら、安倍首相はどうするつもりでしょう」
 
 安倍首相は訪米直前の今月15日に、入院中の横田滋氏を見舞ったが、実は横田家サイドが「体調がすぐれないので、遠慮して下さい」と伝えていたのに強行したらしい。安倍首相はどこまでも拉致を“利用”する。
「政務」のため先に退席したはずの安倍首相は、私邸に直行。訪問客もなかった。