防衛省で「存在しない」とされてきた日報がまた出てきました。新たに「見つかった」イラク派遣部隊の日報は2004年から06年にかけての376日分、約1万4000ページに及ぶものでした。
当初は、日報は今年1月までに見つかっていたが防衛大臣に報告されなかったと発表しましたが、その後昨年3月に見つかっていたことが明らかにされました。当時は南スーダンへのPKO日報の隠蔽と派遣自体の是非が国会で大問題になっていた最中で、とても発表できるタイミングではなかったので隠蔽したであろうことは容易に想像されます。
日刊ゲンダイが、「底なし沼の政治腐敗 “犯罪の巣窟”と化してきた安倍政権」のタイトルで、この「イラク派遣部隊の日報問題」をはじめ、いまや犯罪の巣窟と化した感じのある安倍政権が「国家を蝕んでいる」現状を取り上げました。
記事は、「5年前までは想像もできなかったが、日本の統治機構はもはや末期症状と言ってよく、国家としてのあり方、民主主義の土台が音を立てて崩れつつある(五十嵐仁氏)」、あるいは「安倍首相は、北朝鮮の脅威や中国の軍拡など国外に国民の目をそらして国家改造を進めようとしているが、日本国民は自国の方がよほど大変な状況に陥っていることに気づかなければならない(本澤二郎氏)」などの批判を紹介し、ここまで嘘と暴言が常態化し行政の不祥事が発覚してもトップが責任を取ろうとしない安倍政権に対して、国民は退陣を叫ばなければウソだと述べています。
それとは別に、仏フィガロ紙の東京特派員は、
「森友スキャンダルは日本の官僚が文書を改ざんすることを示したが、こういった行為が処罰されなければ、もはや政府を信頼することなどできなくなる」
「改ざんにかかわった官僚の自殺、といった由々しき事態が起これば、その時点で国を率いている政権が崩壊することは避けられない」
「もしも今の政府がこの事件を乗り切ることができたとしたら、もう日本の民主主義は終わりだ」
「北東アジアの外国通信特派員はみな、韓国の民主主義が、いかに活気があるか、そして日本の民主主義がいかに意気地なしになっていたかに気がついた」「私は昨年冬、韓国で毎週100万もの人がマイナス15度の寒さもものともせずに集まり、朴大統領の辞任を要求していたのをこの目で見た。この日韓の格差は驚異的だ」
と述べています。
まことに日本の現状は、「政治は人民のレベルに応じて行われる」ことの例かもしれません。
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底なし沼の政治腐敗 “犯罪の巣窟”と化してきた安倍政権
日刊ゲンダイ 2018年4月4日
(阿修羅 文字起こしから転載)
この政権はどこまで腐敗しているのか。まるで底なし沼だ。財務省の公文書改ざん、厚労省のデータ捏造に続き、今度はまた防衛省で「存在しない」はずの日報が出てきた。新たに「見つかった」のは、イラク派遣部隊の日報。2004年から06年にかけて、延べ376日分、約1万4000ページにおよぶ陸上自衛隊の文書だ。
(中 略)
■公文書は民主主義の根幹で国民の財産
(中 略)
■トップがひどいと国家はここまで蝕まれてしまうのか
「財務省の森友文書は改ざんされ、防衛省の日報は隠蔽され、少なくともこの一年、嘘とデタラメを基に国会審議が行われていたことになる。恐ろしいのは、いま問題になっているのは氷山の一角に過ぎず、安倍政権の5年間、ずっと国会と国民がだまされてきた可能性さえあることです。平気で嘘をつく政権だということは分かっていましたが、その嘘に合わせて、公文書の改ざんまでしていたとは、日本の統治機構はもはや末期症状と言っていい。国家としてのあり方、民主主義の土台が音を立てて崩れつつある。5年前まで、こんな悲惨な状況は想像もできませんでした。トップがひどいと、国家はここまで蝕まれてしまうのか。嘘とゴマカシ、権力をカサにきた恫喝で、戦前の過ちが繰り返されようとしている。1強支配による中央集権体制の中心に、独裁的性質の安倍首相が座ってしまったことによる悲劇です」(五十嵐仁氏=前出)
この独裁政権は、民主主義のルールを理解していないのか、分かった上で無視しているのか。いずれにせよ、統治機構を預かる資格はない。こういう破廉恥政権だから、解釈改憲などという法治国家としてあるまじき暴挙にも、躊躇なく突き進んできた。
「安全保障をつかさどる役所でも、財政を管理する役所でも、公文書の改ざん、隠蔽が行われていた。これではもう、この政府がやることは何ひとつ信用できません。政権にとって都合の悪いことはすべて隠され、国民に知らされない独裁三流国家だということが国際社会にも知られ、恥をさらした。信用ゼロの政権が、自分たちの犯罪的行為を隠して居座ろうとすれば、ますます嘘の上塗りが進むだけです。民主主義国家として危機的なところに来ている。一刻も早く安倍政治をやめさせないと、大日本帝国の時代に逆戻りしてしまいます。安倍政権が明治以降の近現代の歴史検証を加速させていることも不気味です」(政治評論家・本澤二郎氏)
■自分たちに都合よく歴史を改ざん
自民党が近現代史の歴史検証を目的とした「歴史を学び未来を考える本部」を発足したのは15年。当時の稲田政調会長が主導した。背後に安倍の存在があるのは明らかで、安倍や稲田の歴史修正主義を警戒する声が国内外で広がった。
当初は谷垣幹事長が本部長に就くことで中立性を演出していたが、昨年末に安倍と思想が近い下村元文科相が本部長に就任。「通常国会が終わるまでに一連の議論を終了させたい」と言っていた。今後は会合の頻度を増やし、満州事変や第2次世界大戦、東京裁判などをテーマに議論が行われる予定だ。
「祖父の岸信介を崇拝する安倍首相は、旧日本軍の戦争は侵略ではなく、アジア解放のための戦いだったと歴史を書き換えるつもりなのでしょう。そういう歴史教育をしたいとも考えている。だから、教育勅語を教える森友学園の籠池前理事長とも手を結んだのです。内政では歴史修正主義を推し進め、縁故政治の大日本帝国に戻ろうとする。外交でも国益を差し出す売国行為を繰り返す。この政権は犯罪の巣窟と言うほかありません。今すぐ解体して、新たに清廉な政権が組織や公文書をチェックしないと、取り返しのつかないことになる。安倍首相は、北朝鮮の脅威や中国の軍拡など国外に国民の目をそらして国家改造を進めようとしていますが、日本国民は、自国の方がよほど大変な状況に陥っていることに気づかなければなりません。今にも民主主義が崩壊させられようとしているのですよ」(本澤二郎氏=前出)
かつて政治家は、ひとつの嘘でも辞任を余儀なくされたものだ。それが、今はどうだ。この政権は嘘も暴言も常態化し、行政の不祥事が発覚してもトップは責任を取らない。国民に隠して悪事を進め、それをまた隠すために歴史を書き換えるえげつなさ。解散総選挙でコトを有利に運ぶためには、公文書の隠蔽・改ざんもいとわない。ここまで民主主義を破壊する歴史冒涜政権には、即刻退陣してもらう必要がある。愛国者こそ、安倍退陣を叫ばなければウソだ。
外国人からみて日本の民主主義は絶滅寸前だ
森友スキャンダルが映す日本の本当の闇
レジス・アルノー 東洋経済オンライン 2018年03月23日
『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員
日本のメディアはここのところ、森友学園スキャンダルが世界における日本のイメージに影響を与えるのではないかと懸念している。テレビの政治番組では、海外の新聞数紙に掲載された記事を引用しており、そこには仏ル・フィガロ紙に掲載された筆者の記事も含まれていた。
だが実のところ、森友スキャンダルは外国の報道機関ではほとんど取り上げられていない。この事件を特に取り上げた記事は昨年1年で12本というところだろうか。筆者が見つけた記事では、米ニューヨーク・タイムズ紙で1年に2本、ワシントンポスト紙で1本だった。
日本の国会は「老人ホーム」さながら
自分に関して言うと、ル・フィガロの編集者になぜこの事件に関する記事が重要なのかを丁寧に説明したうえで、掲載してくれないかと頼み込まなければならなかったくらいだ。今日、もしニューヨークやパリの街頭で森友に関するアンケートを行ったとしても、99%の人が、それが何なのか知らないと答えるだろう。
なぜこの事件に無関心なのか、理由は2、3ある。1つには、外国の報道機関における日本関係のニュースがかつてにくらべてかなり少なくなっている、ということがある。日本駐在の外国特派員の数もだんだん減ってきている。森友スキャンダルは、世界のニュースで見出しを飾るほど「面白い」ニュースではない。
また、日本の政治をニュースで扱うのは容易なことではない。これは昔も今も変わっていない。日本の政治家のほとんどが50歳以上の男性で、英語が話せないうえ、外国の要人ともつながりが薄いため、国際的なレーダーにひっかかることがほとんどないのだ。政治家たちのもめごとの多くが個人的なものであり、知的なものではない。外から見ると、日本の国会はまるで老人ホームのようだ。そこにいる老人たちが時折けんかをするところも似ている。
日本の政治家がイデオロギーを戦わせることはまずない。政権交代によって突然、政策が変わることはない。仮に安倍晋三首相に変わって、石破茂氏が首相になったとして、何か変わることがあるだろうか。はっきり言ってないだろう。
こうした中、数少ない報道が、日本にぶざまなイメージを与えている。政府は、対外的には、日本では「法の支配」が貫徹していると説明し、これを誇ってきたが、森友スキャンダルは日本の官僚が文書を改ざんする根性を持っているというだけでなく、(これまでのところ)処罰からも逃れられる、ということを示しているのだ。
スキャンダルそのものより「悪い」のは
こういった行為が処罰されなければ、もはや政府を信頼することなどできなくなる。「もしフランスで官僚が森友問題と同じ手口で公文書を改ざんしたとしたら、公務員から解雇され、刑務所に送られるだろう。処罰は迅速かつ容赦ないものとなることは間違いない」と、フランスの上級外交官は話す。
また、改ざんにかかわった官僚の自殺、といった由々しき事態が起これば、その時点で国を率いている政権が崩壊することは避けられない。しかし、どちらも日本ではこれまでに起こっていない。麻生太郎財務相と安倍首相は、このまま権力を維持すると明言している。
日本の政治について報道することもある外国人ジャーナリストにとって、森友スキャンダルは結局のところはささいなケースにすぎない。関与した金額もそれほど大きくはないし、関係した人物の中に私腹を肥やした人物もいないようだ。
しかし、スキャンダルそのものより悪いのは、政府と官僚がスキャンダルを隠蔽しようとしたことだ。だがその隠蔽よりさらに悪いのは、隠蔽に対する国民の反応だ。ほかの国々から見ると、森友問題によって日本社会がどれほど政治に無関心になったかが示されたことになる。
「今の政府がこの事件を乗り切ることができたとしたら、もう日本の民主主義は終わりだね」と、日本に住むベテラン外国人ロビイストは嘆く。そして政府は実際に乗り切るかもしれないのだ。森友スキャンダルでは、首相官邸と国会周辺に小規模なデモが起こっただけだ。集会にわざわざ出掛けて怒りを口にしようという人の数は、多くてもせいぜい数千人だ。
数多くのニュース動画に映っている人を見ると、デモの参加者よりも警察官のほうが多い。仕事場での会話でも、日本人はスキャンダル全体に関し嫌悪感を抱いているというより、むしろ無関心のように見える。
日韓の政治問題に対する差は驚異的
日本の状況は、2016年と2017年のデモによって昨年朴槿恵(パク・クネ)政権を倒すことに成功した韓国とはひどく対照的だ。北東アジアの外国通信特派員はみな、韓国の民主主義が、いかに活気があるか、そして日本の民主主義がいかに意気地なしになっていたかに気がついた。
たとえば、昨年の韓国朴デモを担当したレゼコー(Les Échos、フランスで日本経済新聞に相当する報道機関) の日本特派員、ヤン・ルソー記者はこう話す。
「驚くべきことは、森友問題に対する日本の世論の結集力が非常に低いことだ。もちろん抗議行動の形は国によってそれぞれだが、私は昨年冬、韓国で毎週100万もの人がマイナス15度の寒さもものともせずに集まり、朴大統領の辞任を要求していたのをこの目で見た。朴氏のほうが安倍首相より重い刑事処分の対象となっていたのは確かだが、それでもこの日韓の格差は驚異的だ」
20世紀の初めに民主主義の道を開いた人口1億2000万人の国、日本は、今では休止状態だ。一方、民主主義を発見したのがわずか30年前にすぎない人口5100万人の国、韓国は、デモ活動をする権利を、総力を挙げて守っている。この状況を日本人は心配したほうがいい。
米国のドナルド・トランプ大統領、中国の習近平国家主席、フィリピンのロドリゴ・デゥテルテ大統領……。世界には、次々と「強い」リーダーが現れている。そして、強いリーダーが意味するのは、弱い民衆である。
メキシコで活躍した農民出身の革命家エミリアーノ・サパタの半生を描いた『革命児サパタ』では、マーロン・ブランド扮するサパタがこう言っている。「強い民衆だけが、不変の強さだ」。日本人もこの精神を思い出し、政治的無関心から脱却してもらいたい。