昨年2月17日(金)は、安倍首相が衆院予算委で「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」と発言した日として有名になりましたが、当日は、野党から「約8億円の値引きの根拠となったゴミを実際に撤去するとなるとダンプカー4000台分ぐらいになる」として、佐川宣寿理財局長に対し「4000台のダンプカーが行き交いすれば、当然やっていることはわかるが、実際に工事をやったかどうかは確認したのか」と質問された日でもありました。
その場では、佐川氏は「適正な価格で売っている」と言い張りました(明白な虚偽答弁)が、土・日を挟んだ3日後の2月20日(月)に理財局の職員が森友に電話をして、「トラックを何千台も使ってゴミを撤去したと言ってほしい」と迫りました。学園側は「事実と違うのでその説明はできない」などと断りました(NHKによると、この一連のやり取りについて職員がメールで財務省内の複数の関係者に報告していたことを検察は把握済みとのことです)。
すると財務省は籠池夫妻に10日間ほど身を隠すように言い、夫妻は20日の深夜に自宅を出てホテルに身を隠しました。そして財務省はその日(20日)から大々的に決裁文書の改ざんを開始したのでした。
こうした財務省の動きの根源には、17日に激昂した安倍首相の「総理も国会議員も辞める」発言があり、それに青ざめた官邸が、安倍夫妻の関与を示す文言を全て削除するように指示し、財務省がそれに従ったものであろうことを示しています。
この案件に安倍夫妻が関与していることは明らかですが、昭恵夫人の関与が明白になった時安倍首相は、「国有地の値引きの前のことだから関与ではない」という驚くべき弁解をしました。これでは「辞める」約束が実行されることはありません。
いみじくも古賀茂明氏が「安倍政権の倫理観はものすごくて、直接的な指示のような、決定的な有罪の証拠がない限り何をやってもいいという感覚になっている※」と述べたとおりです。それにしても常人にはとても理解できないことです。
LITERAとNHKの記事を紹介します。
これまでNHKは政治部からの干渉が強くて、安倍政権に不利な事実はなかなか報道できないと言われていましたが、さすがにそのタガは少し緩んできたようです。
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財務省が森友学園に口裏合わせを要求していた!
安倍首相「私や妻が関係していれば辞める」発言の直後に
LITERA 2018年4月4日
文書の改ざんにつづいて今度は口裏合わせの事実があきらかになった。NHKが先ほど報じたところによると、昨年2月20日に、財務省理財局が森友学園側に嘘の説明を強要していたというのだ。
事の発端は昨年2月17日の衆院予算委員会。民進党の議員だった福島伸享氏が、約8億円の値引きの根拠となったゴミの撤去について、実際に撤去するとなると「ダンプカー4000台分ぐらい」になると指摘。佐川宣寿理財局長に対し、「4000台のダンプカーが行き交いすれば、当然やっていることはわかりますけれども、実際に工事をやったかどうかは確認されておりますか」と質問した。
このときも佐川理財局長は「適正な価格で売っている」と言い張ったのだが、問題はこのあと。3日後の2月20日に理財局の職員が森友に電話をし、こう迫ったというのだ。
「トラックを何千台も使ってゴミを撤去したと言ってほしい」
学園側は「事実と違うのでその説明はできない」と断ったというが、これはつまり、財務省理財局は8億円分のゴミなど地中にないことを知っており、そのためにこんな嘘を森友側に強要しようとした、ということだろう。
しかも、重要なのは、この嘘の説明を強要しようとした件は、文書改ざん問題とも密接にかかわる問題だということだ。
じつは、この「ダンプカー4000台」について追及した福島氏の質問の直後に、安倍首相は例の「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」という発言をおこなっているのだ。
財務省が籠池氏に身を隠せと指示したのも3月20日!
すべて安倍首相“辞任”発言が端緒
文書を改ざんせざるを得なくなったのは、この安倍首相の進退をかけた発言だったと目されているが、実際にこの日の国会でのやりとりを端緒にして、森友側に嘘の説明を求めていた。やはり、この17日の安倍首相の国会発言をきっかけにして、文書の改ざんや口裏合わせといった“アリバイづくり”に動き出したのではないか。
しかも、財務省の嘘をつかせようとした昨年2月20日には、もうひとつ動きがあった日だ。籠池泰典理事長は、昨年2月に顧問弁護士だった酒井康生氏を通じて財務省が籠池理事長に10日ほど隠れるようにと指示したと証言していたが、著述家の菅野完氏によれば、籠池夫妻が姿を消したのはまさにこの日、昨年2月20日月曜の深夜だという。
ようするに、こういうことだ。17日金曜に安倍首相の口から飛び出した「総理も国会議員も辞める」発言で青ざめた官邸は、急いで森友学園と安倍夫妻のかかわりを指し示す文書の改ざんをはじめ、それと合わせたかたちの今後の答弁作成に動き出した。そして、週明けの月曜に森友側へ嘘の説明を求め、さらには当事者である籠池理事長がマスコミの前で勝手なことを喋らせないために、口封じ目的で雲隠れを命じた──。そうとしか考えられない。
NHKは今晩22時から放送の『クローズアップ現代+』でも森友文書改ざん問題を特集する予定だが、この放送でも新たな情報は飛び出すのか。要注目である。 (編集部)
財務省が森友学園側に口裏合わせ求めた疑い 国有地売却問題で
NHK NEWS WEB 2018年4月4日
森友学園に国有地がごみの撤去費用などとして8億円余り値引きされて売却された問題で、去年2月、財務省が学園側に口裏合わせを求めていた疑いが出てきました。当時、国会で財務省は野党側から「実際に大量のごみの撤去を確認したのか」などと追及されていましたが、そのさなか財務省の職員が学園側に対し「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などと、うその説明をするよう求めていたことが関係者への取材でわかりました。大阪地検特捜部はこうしたやり取りを把握していて詳しい経緯を捜査しています。
大阪・豊中市の国有地がごみの撤去費用などとして鑑定価格よりおよそ8億2000万円値引きされて森友学園に売却された問題は、去年2月に明らかになり、大阪地検特捜部は背任容疑での告発を受理し捜査を進めています。
当時、国会では「値引き額の算定の根拠があいまいだ」などと批判が相次ぎ、去年2月17日の衆議院予算委員会で財務省は「8億円かけてごみを撤去するとなればダンプカー4000台分ぐらいになる。実際に撤去されたか確認したのか」などと野党側から追及されていました。
その3日後の去年2月20日、国有地を管轄する財務省理財局の職員が学園側に電話し、「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などと、うその説明をするよう求めていたことが関係者への取材で新たにわかりました。
関係者によりますと学園側は「事実と違うのでその説明はできない」などと断ったということですが、こうした一連のやり取りについて職員はメールで財務省内の複数の関係者に報告していたということです。
関係者によりますと、特捜部はこうした学園側とのやり取りや省内のメールの存在を把握しているということで、特捜部は学園側にうその説明をするよう求めた詳しい経緯を捜査しています。
値引きの根拠と財務省の答弁
森友学園への国有地売却をめぐる問題は去年2月8日に発覚しました。
大阪・豊中市の国有地について財務省近畿財務局がおととし6月、鑑定価格の9億5600万円からごみの撤去費用などとしておよそ8億2000万円を値引きし、1億3400万円で学園側に売却していたことが明らかになりました。
国有地の地中に埋まったごみの撤去費用は通常、不動産鑑定士など民間の専門業者が見積もりを行いますが、財務省は小学校の開校時期が迫っていたなどとして国土交通省大阪航空局に見積もりを依頼する異例の対応を取りました。
大阪航空局は調査の結果として、くいを打つ場所は深さ9.9メートル、校舎などを建設する場所は深さ3.8メートルまでごみがあると推計しごみの撤去費用を8億2000万円と算定しました。
しかし、国会では値引き額の算定の根拠があいまいで不当な値引きではないかなどという質問が相次ぎました。
去年2月17日の衆議院予算委員会では、野党側が「8億円分のごみを撤去すると1万2200立方メートルの残土を搬出することになり、それをやるとダンプカー4000台分ぐらいになる。4000台のダンプカーが行き交うことになるが、財務省は実際に工事をやったかどうか確認したのか」などと質問しました。
また、財務省の職員が学園側に電話したとされる去年2月20日の衆議院予算委員会では、野党側が「8億円分の廃棄物を撤去する土の量を計算すると、およそ2万7000立方メートルになる。これを搬出するとなると10トントラック3460台分が必要になる。こういう作業が実際にやられているかどうか財務省は確認したのか」と質問しました。
これに対し佐川前理財局長は「学校を建設するにあたって必要な廃棄物の撤去を適切に行ったというのは近畿財務局で確認している」とか、「地下の埋設物については土地を売却したあとに学園側が適切に撤去したというふうに聞いているが、売却後なので具体的な撤去の状況は把握していない」などと答弁していました。
森友学園をめぐってはその後、決裁文書の改ざんが明らかになりましたが、その時期について財務省は、学園側への電話と同じ時期の去年2月下旬から始まったと説明しています。
値引き額の算定方法について会計検査院は去年11月、「十分な根拠を確認できず資料が保存されていないため十分な検証が行えない」などとする検査結果を国会に提出していました。