2018年4月29日日曜日

29- 天木直人氏がメディアの「総安倍首相化」を怒る

 27日の南北朝鮮の統一に向かう両首脳の見事な外交に、元外交官の天木直人氏は血が騒ぎ、その歴史的な光景を見ているうちに無意識のうちに泣けて来たということです。
 そして翌日には、各メディアは「非核化の道筋は見えてこないとか、宣言を現実のものにする努力こそ問われるなどと、したり顔をした専門家や外交評論家の解説を載せるだろうと予想しました。
 
 翌28日の各紙紙面はまさにその通りで、天木氏は、産経や読売が「これで前進したと思うのは大間違いだ」などと書くのには驚かないが、リベラル護憲安倍批判の朝日、東京、毎日までもこぞって警戒的な論調で、「国際制裁を緩めるのは適切ではない」などと書くのでは、産経、読売と同列だと断じました
 
 そして北朝鮮問題の責任の一端は日本にもあるのだから、日本は朝鮮半島の平和構築に参加して、その感動を共有するだけでなく、作り出す努力をしなければいけないのに、いま世界に見せている姿は一億総安倍首相化」の姿で、あまりにも鈍感に過ぎるとしましたいわれてみればその通りで、鋭い指摘です。
 
追記)なお天木氏は、どの新聞を探しても各党首の談話が見つからないと嘆きましたが、少なくともしんぶん赤旗は、志位委員長の「歴史的な南北首脳会談と板門店宣言を心から歓迎する」という談話を掲載しています。
 同紙の電子版の更新は、他紙が早朝なのにいつも10時前後なので、ブログ発行時には見当たらなかったものと思われます。
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あらゆる解説が邪魔になる「朝鮮半島で歴史が動いた...
天木直人のブログ 2018年4月27日
 予想通り、朝鮮半島の不可逆的な平和実現の一日となった。
 南北首脳と朝鮮半島の民族以外の誰もが入り込む余地のない歴史的な一日だった。
 その光景を見ながら、無意識のうちに泣けて来た。
 不思議だ。私には南北統一に対する特別の入れ込みはない。利害損得は何もない。
 関係者に知り合いもいなければ、北朝鮮や韓国に対する好きとか嫌いとかの特別の感情もない。
 
 しかし、なぜか涙が出たのだ。おそらくとてつもない感動を無意識のうちにしていたのだ。何に対する感動なのか。歴史が動いた瞬間を目撃した感動なのだ。
 ついこの間まで、あれほど敵対していた南北朝鮮が、首脳の決断でここまで和解できる事に感動したのだ。
 戦争を起こすのも人間なら戦争を二度と起こさないと決意するのも人間なのだ。
 そして、この二人の見事な外交に、外交官だった私の血が無意識のうちに騒いだのだ。
 これこそが憲法9条の神髄であり、憲法9条を掲げる外交である。
 
 明日からのメディアは、非核化の道筋は見えてこないとか、宣言を現実のものにする努力こそ問われるなどと、したり顔をした専門家や外交評論家の解説であふれるだろう。
 しかし、関係のない我々が何を言っても、むなしく、みっともないだけだ。
 
 ましてや日本は北朝鮮問題については一億総安倍首相になって邪魔ばかりしてきた
 余計な事を言わずに黙って、素直に、感動を共有するだけでいいのだ。
 そして、日本は気づくべきだ。先を越されてしまったが、まだ遅くはない。
 いまこそ日本は憲法9条を持っている事に感謝し、それを誇りにして、世界の平和実現の為に、両首脳の偉業の後に続くべきだ。
 その事を大きな声で主張する政治家や有識者が出て来なくてはいけない。
 出て来なければ私が言う。そして行動を起こす。
 新党憲法9条を、この国のどうしようもない政治の中に実現しなければいけないのである(了)
 
 
感動を共有できない 日本の不幸 ー憲法9条が泣いている
  天木直人のブログ 2018年4月28日
 一夜明けて、私は今朝の各紙の社説を真っ先に読んだ。そして、予想していたとはいえ、悲しくなった。
 産経が、「これで前進したと思うのは大間違いだ、圧力を緩めるな」と書き、読売が「非核化の道筋は見えない」と書くのには驚かない。
 しかし、リベラル、護憲、安倍批判の朝日、東京、毎日までも、こぞって警戒的だ。
 「2007年の前回に出た南北共同宣言から大きな進展はなかった」(朝日」と書き、「北朝鮮は自国だけの非核化を拒否しているとも受け取られる」(東京)と書き、「北朝鮮の非核化に向けた具体的な行動が盛り込まれなかったのは残念だ」(毎日)と書いている。
 朝日に至っては「国際制裁を緩めるのは適切ではない」と書き、東京は「核保有国宣言であり、核は放棄しないと受け取る見方もある」とまで書いている。
 産経、読売とまったく同じだ。メディアの総安倍首相化だ。
 
 そして私が驚いたのは、どの新聞を探しても、各党首の談話が見つからない。
 安倍首相以外に談話を出す党首はいなかったのか。
 それとも、出していたがメディアが無視したのか。
 この歴史的南北首脳会談に見せた日本の反応は、あまりにも失望的であり、噴飯物ですらある。
 なぜなら北朝鮮問題の責任の一端は日本にもあり、そして日本は戦後復興のきっかけとなる朝鮮特需から利益を得て来た国だからだ。
 朝鮮半島の平和構築に参加して、その感動を共有するだけでなく、作り出す努力をしなければいけないのだ。
 
 しかし、いま日本が世界に見せる姿は一億総安倍首相化だ。
 あまりにも無策だ。あまりにも鈍感だ。
 憲法9条が泣いている(了)
 
 
歴史的な南北首脳会談と「板門店宣言」を心から歓迎する
日本共産党幹部会委員長 志位 和夫
しんぶん赤旗 2018年4月28日
 日本共産党の志位和夫委員長は27日、韓国・板門店で行われた南北首脳会談について、次の談話を発表しました。
 一、韓国(大韓民国)の文在寅大統領と、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の金正恩国務委員長が本日、板門店の韓国側施設で南北首脳会談を行った。
 金委員長が北朝鮮指導者として歴史上初めて韓国側に足を踏み入れ、文大統領は、そのことによって「板門店は分断の象徴ではなく、平和の象徴になった」と述べた。今回の南北首脳会談は、文字通りの歴史的会談となった。
 一、両首脳は、「板門店宣言」に署名し、その中で「完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現する」「(朝鮮戦争の)終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換し、恒久的で堅固な平和体制構築のための南北米3者または南北米中4者会談の開催を積極的に推進していく」「民族的和解と平和繁栄の新たな時代を立ち起こし、南北関係をいっそう積極的に改善し発展させていく」ことなどに合意した。
 「板門店宣言」は、朝鮮半島の非核化と、北東アジアの平和体制の構築に向けた大きな前進である。日本共産党はそれを心から歓迎する。
 一、今回の合意が履行され、73年間に及ぶ南北分断と対立が解消に向かい、南北の人々が平和と繁栄のなかで暮らせるようになり、統一に向かうことを心より願う。
 文大統領自身が、今回の首脳会談を米朝首脳会談への「道案内」と位置づけているように、南北、米朝の二つの首脳会談は密接につながっている。南北首脳会談の成果を踏まえ、米朝首脳会談が大きな成功をおさめることを、強く期待する。