2018年4月8日日曜日

働き方改革関連法案を閣議決定

 政府は6日の閣議で、時間外労働に上限規制を設ける一方、高収入の一部専門職を対象に働いた時間ではなく成果で評価するとして労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」を導入することなどを盛り込んだ働き方改革関連法案を決定しました。

「高プロ制度」が労働者のためなどでないことは、経営者団体である財界が早期実施を熱望していることからも明瞭です。
 一応時間外労働上限規制はついていますがそれは年間720時間以内、月100時間未満など「あって無きに等しい」もので、しかも残業代はゼロです。「成果で評価する」ことがどんなに空虚で、恣意的なものであるかは、勤務した人なら等しく経験しているところです。
 当初は年収1075万円以上の証券アナリストや医薬品開発の研究者、経営コンサルタントらが対象とされていますが、最終的に年収要件や対象の職種をどうするかは、法案が成立したあと国会の審議を経ない厚生労働省の省令で定めるので、対象が大幅に広げられる可能性が大です。

 また安倍首相が謳いあげた「同一労働同一賃金」法案は同一労働同一賃金の実現に向けて、正社員とパートや契約社員などの非正規労働者の間の格差を是正するため、企業に対し不合理な待遇の差を禁止するほか、待遇に差が出る場合には、理由の詳細などを非正規労働者に説明することを義務づけ非正規労働者が正社員と待遇の差が出た理由などについて企業側に説明を求めた場合に、不利益な取り扱いをすることも禁止しています。

 それ自体は別に悪いことではありませんが、こんな「説明義務を課す」ことだけで同一労働同一賃金が実現する筈がありません。首相が大見えを切ったのでなんとか体裁だけでも整えようと、それらしく役人が作文したものとしか思えません。
 もっと政府が10倍も100倍も力を入れないことには、到底非正規労働者の劣悪な待遇は改善されません。

 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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「残業代ゼロ」制度狙う 「働き方」法案 閣議決定
しんぶん赤旗 2018年4月7日
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 安倍内閣は6日、「働き方改革」一括法案を閣議決定し、国会に提出しました。国民と野党のたたかいに押されて裁量労働制の対象拡大を削除し、2カ月も提出が遅くなる事態に追い込まれました。
 法案では、裁量労働制拡大は削除したものの、労働時間規制を適用除外とし、長時間労働を野放しにする「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度)はそのまま盛り込むなど財界の要求に応える「働かせ方改悪」となっています。
 残業時間は、過労死ラインの「月100時間未満」「2~6カ月平均で月80時間」まで容認。中小企業については、違反しても自主的な改善指導にとどめ、名ばかりの規制をさらに骨抜きにします。

 正規・非正規雇用の格差について、同じ仕事でも「昇進コース」などが違えば賃金など格差を容認・拡大する内容となっています。

 国の労働施策に「生産性向上」や「多様な就業形態の普及」を盛り込むことも規定。労働強化や労働法で保護されない「働き方」を広げる姿勢です。
 国会と国民をあざむく安倍内閣に退陣を求める声が広がっており、「『働き方』法案を提出する資格などない」「安倍内閣も『働き方』法案も葬り去ろう」との声が広がっています。


ねつ造・隠蔽で二重に根拠が崩壊
「働き方改革」法案 撤回を強く求める
しんぶん赤旗 2018年4月7日
志位委員長が表明
 日本共産党の志位和夫委員長は6日、国会内で記者会見し、政府が同日、「働き方改革」一括法案の閣議決定を強行したことについて問われ、「この法案は、裁量労働制の拡大をめぐるデータねつ造、野村不動産社員の過労自殺の隠蔽(いんぺい)によって二重に根拠が崩壊している」と指摘し、法案の撤回を強く求めると表明しました。

 志位氏は「政府はこれまで、『裁量労働制を拡大しても大丈夫だ』とする論拠として“裁量労働制では一般労働者より労働時間が短い”とのデータと、野村不動産への『特別指導』をあげてきたが、二つとも崩壊している」と指摘しました。

 法案からは裁量制拡大が削除されましたが、「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度)が盛り込まれています。志位氏は、「この期に及んで、根拠が崩壊した裁量労働制と同根で、過労死促進という点ではさらに危険な『高プロ』を持ち出すのは言語道断だ」と批判しました。

 その上で、日本共産党の対案として、「『残業は週15時間、月45時間、年360時間まで』とした大臣告示を法制化し、例外は認めないという残業規制をやるべきだ」と述べました