2018年4月15日日曜日

15- OPCWのチームが調査を始める直前に米英仏はシリアをミサイル攻撃

 (15日よりブログの更新を再開しました。どうぞよろしくお願いいたします。)
 
 アメリカ、イギリス、フランスの3カ国は14日早朝シリアをミサイル攻撃しました。
 シリア政府軍が化学兵器を使用したからという口実ですが、シリア政府は化学兵器の使用を否定していて、そうした事実はなかった可能性が高いとされています。
 これまでも同様な非難が何度か行われてきましたが、いずれも嘘だったことが判明しています。
 今回、米英仏の主張が正しいかどうかを検証するため、OPCW(化学兵器禁止機関)のチームがダマスカスへ入ったところでした。何故調査結果を待てなかったのか、調査されると何か不利なことがあったのか、なぜ100基ものミサイルを無差別に撃ち込んだのか、米国側は説明する義務があります。
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OPCWのチームが調査を始める直前、米英仏はシリアをミサイル攻撃
櫻井ジャーナル 2018年4月14日
 アメリカ、イギリス、フランスの3カ国はシリアを4月14日早朝に攻撃した。詳細は不明だが、100基程度のミサイルを撃ち込み、そのうち15基程度は撃墜され、相当数はコースを外れたとも伝えられている。
 これらの国々は2011年3月からシリアを侵略、バシャール・アル・アサド政権の打倒を目指してきたが、送り込んだジハード傭兵は敗走、新たな手先にしたクルドとの関係も微妙で、リビアと同じように直接的な軍事侵攻を目論んできた。
 今回の攻撃は「化学兵器の使用」だが、そうした事実はなかった可能性が高い。過去、何度か同じ主張をしているが、いずれも嘘だったことが判明している。今回、米英仏の主張が正しいかどうかを検証するため、OPCW(化学兵器禁止機関)のチームがダマスカスへ入ったところだった。
 
 この機関をアメリカは完全にコントロールできていないようで、調査が行われればアメリカ側の嘘が明らかになったと見られている。ロシア政府は化学兵器を使った偽旗作戦にイギリスの情報機関が関与していると主張していた。攻撃には証拠隠滅の狙いもあるだろう。
 当初の見通しでは、伝えられている攻撃状況が正しいなら、ロシアからの反撃がないだろうという規模なのだが、それを否定するコメントがロシア側から出ていた。米英仏はグレーゾーンでの攻撃を実施したとも言える。イスラエルやサウジアラビアからの圧力もあり、アメリカの国務省やCIAは戦争を始めたがっていた。こうした勢力が国防総省を押し切った形だ。
 アメリカ軍は好戦派をなだめるために攻撃してみせただけだという見方もあるが、今回、ロシアが自重すれば米英仏は増長して好戦的な政策をさらに進め、ロシアが反撃すれば大規模な戦争に発展する可能性がある。偽情報を掲げながらイラクを先制攻撃した際、統合参謀本部の抵抗で開戦が1年ほど延びたと言われている。アメリカで最も好戦的な勢力は「肘掛け椅子」に腰掛けながら机上で戦争を妄想している「文民」だ。
 
 
ロシア大使「国際法違反」  米大使「また毒ガスなら臨戦態勢も」
NHK NEWS WEB 2018年4月15日
ロシアのネベンジャ国連大使はアメリカなどによる軍事攻撃について「アメリカとその同盟国は安保理常任理事国であるにもかかわらず目に余る国際法違反を見せ続けている。それを正当化するとは恥ずべきことだ」と述べて改めて非難しました。
そのうえで、「わが国の専門家が現地を調べたところ化学兵器が使用された痕跡はなかった。この攻撃は外国の情報機関が仕組んだものだ」と述べて、化学兵器の使用自体を否定する従来の見解を繰り返しました。
そしてアメリカなどによる軍事行動がシリアの停戦プロセスを破壊しようとしているとして「アメリカとその同盟国は直ちに侵略的な行動をやめ、将来にわたって自制するよう求める」と述べました。
 
一方で、アメリカのヘイリー国連大使は「きのうの軍事行動はアサド政権が化学兵器を使用し続けることは許さないというアメリカの明確なメッセージだ」と述べました。
そのうえで「ロシアは必死に焦点をそらそうとしているが、事実を変えることにはならない。多くの情報がシリア政府が化学兵器を使用したことを示している。けさトランプ大統領は『シリア政府がまた毒ガスを使うようなことがあればアメリカは臨戦態勢をとる』と話していた」と述べ、状況次第ではさらなる軍事攻撃も準備していることを示唆し、アサド政権に警告しました。
 
 
シリア国営通信 “破壊されたのはガン研究の施設”
NHK NEWS WEB 2018年4月15日
アサド政権は14日、今回、アメリカなどから攻撃を受けたと主張する首都ダマスカス近郊のバルザにある科学研究センターに各国のメディアの記者を案内しました。
 
シリア国営通信は、センターの実験施設などが入る建物1棟が破壊されたと伝えていて、AP通信が撮影した映像では、鉄筋コンクリート製とみられる建物が原形をとどめないほど壊れ、がれきが一帯に散らばっています。
黒く焦げた壁の近くでは煙が上がっているほか、建物の近くに見えるバスのような大型の車両は窓が吹き飛んでいます。
 
シリア国営通信は、この科学研究センターについてガンの治療薬の研究などを行う施設だと伝えていて、ここに各国のメディアの記者を案内することで、化学兵器と関係のない施設が攻撃されたとアピールしたいというアサド政権の思惑も透けて見えます。