2018年4月4日水曜日

「9条の会」が自民党改憲案に抗議声明

「九条の会」は30日、東京都内で記者会見し、自民党がまとめた憲法9条の改憲案に抗議する声明を発表しました。
 自民党の9条改憲案は、「現行の91項、2項を死文化してしまう。明記するのは、あの安保関連法で海外での武力行使に乗りだした自衛隊だ」と訴えました。
 そして市民団体「安倍9条改憲NO 全国市民アクション実行委員会」と協力して集める署名で3000万筆達成を目指し、署名への参加を呼びかけました。

 東京新聞の記事と、「  3000万署名達成へ 九条の会アピール」を紹介します。
 
 また井上達夫・東京大教授らが30日、都内で記者会見を開いて発表した「憲法改正の国民投票に関し、さまざまな九条改憲案の提示を呼び掛けるアピール」は、下記でご覧になれます。
      アピールのURL http://ref-info.com/18-0330/ 
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その改憲案「待った」「9条が死文化する」市民団体訴え
東京新聞 2018年3月31日
 護憲派の市民団体「九条の会」は三十日、東京都内で記者会見し、自民党がまとめた憲法九条の改憲案に抗議する声明を発表した。「現行の九条一項、二項を死文化してしまう。明記するのは、あの安保関連法で海外での武力行使に乗りだした自衛隊だ」と訴えた。

 会の呼び掛け人で戦前戦中を知る作家沢地久枝さん(87)は「戦争がどんなにむなしい、ひどいものか。憲法によって守られてきた戦後の私たちの成果を安倍首相は踏みにじろうとしている。この政治は覆さなければならない」と力説した。
 会の世話人の池内了(さとる)・名古屋大名誉教授(73)は「自衛隊の存在を認めるということは、必ず行動そして行動の結果まで認めることにまで拡大していく。戦前の軍隊も既成事実を積み重ね、どんどん行動を拡大していった」と主張した。

 会は、市民団体「安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会」と協力して集める署名で三千万筆達成を目指し、署名への参加も呼びかけた。 (辻渕智之)

◆東大教授ら「多様な案 提示を」
 法哲学者の井上達夫・東京大教授らが三十日、都内で記者会見を開き、憲法改正の国民投票に関し、さまざまな九条改憲案の提示を呼び掛けるアピールを発表した。

 アピールでは、戦力不保持を定めた二項を残して自衛隊を明記する自民党の九条改憲案について「明文改憲の手続きを踏んだ究極の解釈改憲」と批判。その上で、改憲派には、自民党の石破茂元幹事長らが主張する二項削除案、護憲派には、専守防衛の自衛隊を明確に位置付ける「護憲的改憲案」などの提示を促した。井上氏は「護憲派は発議阻止ではなく、代替案を出すべきだ」と主張した。

 アピールは井上氏のほか、伊勢崎賢治・東京外語大教授、堀茂樹・慶応大名誉教授、ジャーナリストの今井一氏が名を連ねた。各党や護憲、改憲両派の市民団体に提出する。 (佐藤圭)


安倍9条改憲NO  3000万署名達成へ 九条の会アピール

 安倍首相は25日、森友文書改ざん等への国民の大きな批判がまきおこっているさなか、自民党大会のあいさつで、あらためて「(9条に)自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打とうではありませんか」と9条改憲への強い決意を表明しました。自民党もこれを受け、改憲案の国会発議にむけ「改正案を示し、憲法改正の実現を目指す」との大会方針を決定しました。これは、民主主義の根本に対する許しがたい攻撃であり、日本国憲法はいま、戦後もっとも重大な岐路に直面させられています。

 具体的な条文案は野党や世論の反応をみながら最終確定するとしているものの、自民党がこれまでの論議を通じてまとめた9条改憲案は、安倍首相の提起をそのまま取り入れ、戦争放棄を定めた1項と戦力不保持を決めた2項を維持しながら、「9条の2」を新設し「前条の規定は…自衛のための措置を妨げず、そのための実力組織として…自衛隊を保持する」と明記することで現行の9条1項2項を死文化してしまおうとするものです。注目しなければならないのは、改憲案で保持が認められた自衛隊は、あの戦争法(安保関連法)で海外での武力行使に乗りだした自衛隊だという点です。それどころか、改憲案は、わざわざ「自衛のための」措置という文言を挿入することで、戦争法ですら認めなかった集団的自衛権の全面的な行使にまで道を拓こうとしています
 また、自民党の「緊急事態条項」に関する改憲案の危険性も9条改憲と連動して見逃せません。改憲案は、「大地震その他の異常かつ大規模な災害」の際の国会議員の任期延長に加え内閣による政令制定権を規定しています。この「緊急事態条項」は軍事的な緊急事態での政府権限の拡大や人権の制限にも適用される危険をはらんでいます。

 安倍政権は集団的自衛権行使の閣議決定や戦争法などによって、アメリカとともに地球的規模で「戦争する国」づくりへの道を切り拓いてきました。安倍9条改憲がその総仕上げとなることは明らかです。こうした9条改憲は朝鮮半島危機の武力による「解決」を鼓舞し、その平和的解決に逆行するばかりか、東北アジアの軍拡競争をあおり立てるものです。
 先の戦争における日本人310万人、日本の侵略によってもたらしたアジア諸国民2000万人という痛恨の犠牲への深い反省にたって定められた9条をこのような形で改悪することは絶対に容認できません。

 安倍政権は森友文書の改ざん問題をはじめとした数々の悪政により追い詰められ、改憲強行のスケジュールも大幅に後退を余儀なくされています。しかし、安倍政権が続く限り改憲の動きは止みません。この歴史逆行の企てを許さない保障は、いまおこなわれている森友問題糾弾の世論をさらに高めることとあわせ、九条の会も参加する「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が取り組む3000万署名を必ず達成し、9条改憲の国会発議を許さない大きな世論を作り上げることです。そして安倍首相を退陣に追い込むことです。
 すべての皆さんがこの歴史的な運動に参加されることを心からよびかけます。

2018330 九条の会