2018年4月22日日曜日

嘘で固めた「安倍一強支配」 見るも無残に自壊の必然 <下>

「~安倍一強支配 見るも無残に自壊の必然」の最終回です。
 副題は、「暗黒の官邸が5年間やってきた権力の私物化、乱用、粛清の悪事」とまさに酸鼻を極めるもので、文頭では、今回の日米会談に対する海外紙の、「~衰弱した日本のリーダーを迎える」(ワシントン・ポスト)、「スキャンダルまみれの安倍首相、トランプに会う」(ニューヨーク・タイムズ)、「安倍首相に大恥をかかせてはいけない」(英フィナンシャル・タイムズ)等の惨憺たる見出し(=見方)が紹介されています。
 
 そして日米会談はトランプ氏のワンサイドゲームに終わり、日本は今後過酷な経済的負担を負わざるを得なくなったとして、これを「迷走政権の亡国外交」と断じました。
 このまま政権の座に居続けるなどは「裸の王様」の所業であって、海外の人には到底理解できません。
 
 安倍政権はこの5年あまり、「お友だちのために権力を私物化し、右翼思想にかぶれ、数々の違憲立法をゴリ押し。民主主義をぶち壊し、憲法を破壊(森田実氏)」しました。官僚をあたかも私兵であるかのように使役し、あらゆる場面でウソを吐くことを全く愧じない政治を続けた罪は余りにも大きくて、破損された国のシステムは安倍政権が退場してもの回復するのは容易でないとしています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
嘘で固めた「安倍一強支配」 見るも無残に自壊の必然 <下> 
暗黒の官邸が5年間やってきた権力の私物化、乱用、粛清の悪事 
日刊ゲンダイ 2018年4月20日
(阿修羅 赤かぶ21日投稿より転載)
迷走政権「亡国外交」のツケはとてつもないものになる 
 北朝鮮問題で国際社会から“置き去り”にされ、焦った安倍が押しかけた形の日米首脳会談。不祥事続きでボロボロの安倍の訪米は、世界中の笑いものだった。
 
 米主要紙には、「イラつくトランプが」(ワシントン・ポスト=17日付)、「スキャンダルまみれの安倍首相、トランプに会う」(ニューヨーク・タイムズ=16日付)とコケにされ、英「フィナンシャル・タイムズ」(18日付社説)からは「安倍首相に大恥をかかせてはいけない」とお慈悲をかけられる始末だった。
 
 案の定、会談はワンサイドゲーム。19日の共同記者会見で、トランプ大統領は「拉致問題の重要性」に言及したが、安倍を喜ばせたのはそれだけ。次々と、日本に要求を畳みかけた。
「日本の防衛能力向上の手助けを早める」と米国製の武器を売り込む一方、鉄鋼・アルミの輸入制限の日本への適用除外は拒んだ。安倍が熱望する米国のTPP復帰は「私は2国間協議の方が好きだ」と一蹴。日米閣僚級の新しい通商協議をスタートすることになった
 
「トランプ大統領は現在、ロシア疑惑や女性問題などを抱え、追い詰められています。また、秋の中間選挙に向け、民主党が力を増している。そのタイミングで、サンドバッグのように、叩いても何も言わない日本の首相がやってきたわけです。米朝会談で拉致を取り上げるというイージーな一点と引き換えに、トランプ大統領は、日本にいくつも要求を突き付け、米国民にアピールできたわけです。閣僚級協議は明らかに日米FTA(自由貿易協定)を狙ったもの。米側のライトハイザー通商代表はタフネゴシエーター。今後、米国はますます厳しい要求で攻めてくるでしょう」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)
 
 亡国外交のツケを払わされるのは国民だ。 
 
腐った政権と官僚機構を立て直すことなどできるのか、何年かかるのか 
 安倍退陣で仮に岸田首相になれば、ハト派の宏池会出身だから揺り戻しがある、改憲も吹っ飛ぶ、などという見方もあるが甘い。安倍によるこの国の破壊は、そんな次元で修復できるものではない。無理が通れば道理が引っ込むで、政権も官僚機構も骨の髄まで腐ってしまった。嘘をつき続け、その嘘を通すために、公文書改ざんという犯罪まで犯し、この国の政治から「正義」が消えてしまったのだから。
 
 引責辞任の財務省の2人、福田・佐川両氏と同期入省だった自民党の片山さつき参院議員が、堕落した出身官庁について、19日、「落城1日、再築城は10年以上だ」と言っていたが、これは政権全体にも当てはまる。前出の中野晃一氏がこう言う。
「ただ安倍政権が倒れれば正常に戻るのかといえば違う。事実をねじ曲げるという安倍政治の異常性について、きちんと検証しなければ次には進めないでしょう。下手すれば、ネトウヨなどが、『朝日新聞の陰謀だ』などと言い出し、安倍政権の時代を美化しかねません。私たちは5年もの長期にわたって、嘘に慣らされ、民主主義を踏みにじられ、徐々に正常な感覚を麻痺させられてきた。正気を取り戻すためにも、『王様は裸だ』と言い続けなければなりません」
 
 ナチスの手口で強権を振りかざし、やりたい放題の政治が5年も続いた結果、国民は内政でも外交においても、嘘で塗り固めた幻想を見せられてきた。その間、官僚は独裁に怯え、忖度し、マトモな議論が通用しない国になってしまった。立て直しは容易ではない。 
 
もう蠢き出した小泉、小池百合子がかき回す政局も胡散臭さプンプン 
 政局ゴロも蠢動を始めた。その中心は、発売中の「週刊朝日」のインタビューで「安倍さんの引き際、今国会が終わる頃じゃないか。総裁選で3選はないね」と引導を渡した小泉元首相だ。小泉政権の同窓会という名目で18日に会合を持ち、小池都知事、自民党の二階幹事長、山崎拓元副総裁、武部勤元幹事長の5人で1年ぶりに卓を囲んだ。
 
 山崎によれば、疑惑と不祥事まみれの安倍政権について「人心一新のときがきている」という認識で一致。小泉は「安倍首相の3選は難しい」と繰り返したという。正論ではあるが、このタイミングでこの面々だ。どうも胡散臭さがプンプンする。
「小泉氏の安倍退陣論は一種のクセ球。陸上自衛隊のイラク日報隠蔽問題で、派遣決定当時の小泉首相が口にした〈自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ〉が虚偽答弁だった疑いが浮上している。世論に敏感な小泉氏の目くらましでしょう」(野上忠興氏=前出)
 
 小池は排除する側からされる側となり、存在感ゼロ。常にスポットライトを探し求めているし、二階にとっては格好の揺さぶり材料。公然と安倍批判を展開する会合への参加がさまざまな臆測を呼び、求心力が上がると計算ずくなのである。 
 
暗黒の官邸が5年間やってきた権力の私物化、乱用、粛清の悪事 
 この5年間、1強支配にあぐらをかいた暗黒の官邸は権力を完全に私物化。国家戦略特区を舞台として「利権屋」たちに規制緩和で滴り落ちた甘い蜜を吸い続けさせた。
 モリカケ疑惑にスパコン詐欺事件も根っこは同じ。安倍に近い“お友だち”同士で利権を分け合ってきたのだ。
 人事権をバックに強権を振るい、官邸の意向より国民の利益を重視する「公僕」には粛清の嵐。政権に逆らった前川前次官には辞めた後も「出会い系バー通い」のレッテル貼りで人格攻撃の粘着質である。
 安保法制などの重要法案は強行採決の連続。昨年は委員会審議を途中で打ち切る「中間報告」という禁じ手で、現代の治安維持法と呼ばれる共謀罪も成立させた。
 
 とにかく、一度決めたら、世論の批判には耳を貸さず、立憲主義など、どこ吹く風で、何もかも議会の数の力を頼りに押し通してきた。前出の森田実氏はこう言った。
「安倍政権は運だけに支えられてきた。衆参両院選挙で5連勝し、強大な権力を持ちえたのも、旧民主党政権の自壊とその後の野党分裂で政権交代の芽がついえたせいです。それでも“勝てば官軍”で襟を正すことなく、お友だちのために権力を私物化し、右翼思想にかぶれ、数々の違憲立法をゴリ押し。民主主義をぶち壊し、憲法を破壊しても平気の平左。新自由主義に根ざした無責任な経済政策で格差を広げ、生活を悪化させた揚げ句、官僚機構も腐敗させ、国民を諦めと絶望の淵に突き落とした。安倍政権は間違いなく、史上最悪の政権として歴史に名前を刻むことになる。この政権を即刻終わらせることが日本国民のためですよ」
 
 安倍辞任と内閣総辞職で「膿の源」を絶たなければ、この国の堕落と腐敗は止まらない。見るも無残な政権の空中分解の巻き添えになりたくなければ、国民は全力を挙げて安倍強権政治に一日も早く終止符を打つ必要がある。