2018年4月2日月曜日

02- 金正恩の「電撃訪中」は中国を用心棒にするため

 米大統領北朝鮮の金正恩委員長との会談に応じることをホワイトハウス認めた3月8日で、穏健派のティラーソン国務長官を更迭し後任CIA長官のマイク・ポンペオを指名し、強硬派で知られるジョン・ボルトンを大統領補佐官に任命したのはその後の13日でした。
 それまで中国からの訪中要請を無視していた金正恩氏が突然訪中したのは、そういう米大統領側の強硬な陣容に恐怖を抱いたからだと言われています。
 コリア・レポートの辺真一氏は、北朝鮮は中国を後ろ盾にすることで米による攻撃を回避したかったとして、近く露のプーチン氏とも会うのではないかと見ています。

 戦争をいとわない米国が相手ですから北朝鮮もそれなりに周到な準備が必要ということです。
 日刊ゲンダイの記事を紹介します。

 (関係記事)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
中国を用心棒に 金正恩「電撃訪中」で米朝会談どうなる?
日刊ゲンダイ 2018年3月30日
 北朝鮮の金正恩委員長が中国を訪問、習近平国家主席と会談したニュースに世界はビックリだ。突然の訪中の裏には金正恩の米国への“恐怖”があったようだ。

 今月13日、米トランプ大統領は穏健派のティラーソン国務長官を更迭し、CIA長官のマイク・ポンペオを後任に指名した。マクマスター補佐官を解任し、ジョン・ボルトンを後任に充てる方針も打ち出した。ポンペオもボルトンも北朝鮮に対する強硬派だ。トランプがこの2人を抜擢したことで、金正恩が米軍の攻撃に怯えたのは間違いない。

 コリア・レポート編集長の辺真一氏が言う。
「金正恩委員長が『私の電撃的な訪問』と語ったことから、今回の訪中は1週間くらいで急きょ決まったものと思われます。習近平主席の再選にわずか3行の祝電しか打たなかった金委員長がいきなり妻同伴で訪中した理由は、中国を“用心棒”にしたかったからでしょう。5月に開催されるという米朝首脳会談を前に、中国との良好な関係をトランプ大統領に見せつけようとしたのだと思う。金委員長は近くロシアのプーチン大統領とも会うはずです」
 これまで金正恩は国内から一歩も出ることなく、“引きこもり”状態だった。理由は暗殺を恐れているとも、不在時にクーデターが起きるのを警戒しているとも言われた。それが君子豹変。外交舞台に躍り出たことになる。

 金正恩は米朝会談の前に韓国とも南北首脳会談を行う予定だ。その前後にプーチンとも会うとなれば、国際情勢は大きく変わる。気になるのは、トランプがどう出てくるのかだ。
トランプ大統領にとって心配の種が増えたことになります。これまで中国は味方だと思っていたのに、金委員長と握手して寝返ってしまったと、かなりの心理的プレッシャーを受けているはずです」(辺真一氏)

 ほんの3カ月前、国際社会で孤立していた北朝鮮は、一気に中、ロ、韓の3カ国に接近している。北がこの3カ国を抱き込んで連合体となり、トランプがその威勢を警戒して米朝会談で妥協すれば、日本だけが取り残されることになる。圧力一辺倒でやってきた“安倍外交”は、また失敗に終わる可能性がある。