2019年7月20日土曜日

20- 本当に消費増税実施でいいのか

新聞が書いているように与党が楽々過半数を取るのなら、(消費増税が実施されて)この秋、日本経済は奈落の底に沈むだろう
 
専門家が指摘する消費税の狂気と悪魔性、その影響。個人消費が冷え込んでいるのに、なぜ、庶民は自ら自分の首を絞めるのか
 
 上記は、日刊ゲンダイの紙面でサブタイトル的に表示されているものです。
 電子版には載っていませんが消費増税を容認する庶民に対して発した警告です。
 
 消費税は、所得税や法人税を払った上で、さらに消費に対して課税される二重課税制度であり、自国の経済を徐々に衰退させる“悪魔の税制”と呼ばれます。そして低所得者に、より過酷な負担を強いる「逆進性」があります。
 消費税率は仮に10%にアップされてもそれで税収が賄える訳ではないので、いずれ最終的に25%程に上げないとバランスしないと言われています。
 
 かつては日本に消費税は存在しませんでした。主たる税収は所得税と法人税で、当時の日本の財政は「極めて健全」でした。
 それが外国では消費税制度が用いられているからとして、財界の意向を尊重した国が「直間比率」(直接税と間接税の比率)云々という欺瞞の概念を用いて、強引に消費税を導入したのでした。
 不正義な消費税は一刻も早く廃止し、以前の税率に倣った所得税と法人税中心の税制に戻すべきです。
 
 日刊ゲンダイの記事「参院選がラストチャンス 本当に消費増税実施でいいのか」を紹介します。
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参院選がラストチャンス 本当に消費増税実施でいいのか
日刊ゲンダイ 2019/07/19
  阿修羅文字起こしより転載
 参院選の投開票日まであと2日と迫る中、主要メディアの世論調査による終盤情勢が続々と報じられている。
「自民、公明両党は改選124議席の過半数63議席を超える勢いをみせている」(日経新聞)
「自民、公明の与党は改選定数の過半数を超える勢いだ」(読売新聞)
「自民、公明両党は改選124議席の過半数63を超え70台に乗せる勢いを保つ」(共同通信)
 どの調査も与党がラクラク過半数に達し、安倍首相が目指す改憲議席(3分の2)も視野に入ってきたかのようだ。
 
「未来に向かって議論を進める政党を選ぶのか、責任を放棄して議論しない政党を選ぶのか」「自民党は憲法に『自衛隊』をしっかり明記する」。世論調査の結果に気を良くしたのか。安倍が選挙終盤の街頭演説で、繰り返し訴えているのが憲法改正の必要性だ。首相として6回目となる国政選挙で改憲を前面に打ち出したのは今回が初めて。参院選で勝利すれば、今秋以降の国会発議に向けて野党に対して「国民の信を得た」などと主張するのは容易に想像がつくが、狡猾な安倍政権の狙いはそれだけじゃない。あえて改憲や年金問題に目を向けさせることで、今選挙で最も重要な争点を隠せると考えているからだろう。「消費税増税」の是非だ
 
世論調査で消費増税に反対する声は6割
 財務省が18日に発表した2019年上半期(1~6月)の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8888億円の赤字。赤字は18年下半期に続いて2期連続で、対中輸出が前年同期比8・2%減と5期ぶりにマイナスとなったことが響いた。
 米中貿易摩擦による中国経済の減速がジワジワ影響を及ぼし始めた格好で、外需に支えられてきた日本経済をいよいよ直撃するのも時間の問題だ。先行きの不透明さから、消費者心理を示す内閣府調査(6月)の消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整済み)も前月より0・7ポイント減少し、水準は2014年11月以来、4年7カ月ぶりの低さ。実質賃金(5月)も前年同月を5カ月連続で下回るなど、今や国内外の景気に暗雲が広がっているのは誰が見ても明らかで、そんな最悪の状況で10月に消費税10%への引き上げを強行しようとしているのが安倍政権なのだ。
 
「10月消費税10%ストップ!ネットワーク」呼びかけ人のひとりである醍醐聰・東大名誉教授がこう言う。
「今の経済状況で消費税増税など論外でしょう。大体、東京新聞の世論調査でも消費税増税に反対する声が『消費税自体を廃止すべき(7・1%)』という声も含めて6割近くもいるのです。安倍首相は街頭演説で『過去最高の税収』をアピールしていますが、税収構成は法人税や所得税が減り、その減収分以上を引き上げられた消費税がカバーしているだけ。社会保障に財源が必要というのであれば、負担するのは消費税でなくてもいいワケで、必要財源=消費税しかないと国民に刷り込んでいるのが与党であり、安倍政権なのです」
 
増税の是非を判断できる景気条項を削除したのは安倍政権だ 
〈今こそ全ての日本国民に問います〉――。NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」の決まり文句じゃないが、本当にこのまま参院選で与党過半数を許し、予定通り10%の消費増税を強行させていいのか。そもそも各メディアの世論調査では消費増税に反対の声が圧倒的多数を占めているのだ。それなのによりによって、その消費増税を公約に掲げている自民党を支持する有権者の割合が多いというからワケが分からない
 
 元内閣官房参与の藤井聡・京大大学院教授は月刊誌「世界」(岩波書店)8月号の「消費増税愚策論」で〈消費増税に反対する世論の方が支配的であるにもかかわらず、増税を推進する与党が国民の支持を受けている最大の理由は、消費増税がどれほど恐ろしい被害をもたらすのか、ということが十分に共有されていないという点にこそある〉と説いていた。おそらく国民の多くは「消費増税10%」は与野党が12年に「社会保障と税の一体改革」で合意した政策であり、今さら反対しても「しょうがない」と思い込んでいるのだろう。しかし、そんなことは決してない。
「世界」で藤井教授が指摘している通り、〈我々日本国民は、財政についての主権を有している〉のであり、〈法律は国会の審議を経て、文字通り「任意」に改定できる(略)消費税の増税を延期、凍結、さらに減税することも、まったくもって可能〉なのだ。
 
 立正大客員教授の浦野広明氏(税法学)がこう言う。
「議員立法によって国会で法律をつくれば延期、中止はもちろん可能であり、あきらめる必要はない。そもそも与野党が合意した消費増税法には、国会に諮らず、景気情勢によって増税を停止、凍結、延期を判断できる(付則の)景気条項がありました。しかし、安倍政権は15年に景気条項を削除してしまったのです。つまり、経済情勢や国民生活がどれほど悪化していてもお構いなし、というのが今の政権の考え方であり、こういう傲慢で強権的な姿勢の与党を大勝させてはなりません」
 
消費増税しても米国の武器を大量に買うだけ
〈正気の沙汰とは思えぬほどの愚策〉。前出の藤井教授が強く懸念しているのが、〈経済が成長していない時期の消費増税は、経済に破壊的なダメージをもたらす〉ということだ。その理由として〈消費税は消費に対する「罰金」として機能する〉〈経済全体の約6割を占める消費が冷え込めば、経済全体の15%を占める投資も下落。消費が冷え込めば必然的に経済全体が大きく停滞する〉の2点を挙げているのだが、まさに今の日本経済の状況は消費増税にとって最悪のタイミングにあると言っていい。
 
 米中貿易戦争や韓国に対する輸出規制の厳格化、英国のEU離脱問題によってタダでさえ景気悪化が見込まれる中、10月の消費増税前に期待されていた7~9月の駆け込み需要も「冷夏」の影響で空振りになる可能性が高い。第一生命経済研究所の発表によると、〈冷夏が長期化すると、日本では経験則的に個人消費の悪影響が及びやすくなる〉というから、GDP(国内総生産)の6割を占める個人消費はメタメタだろう。すでに悪化を予想しているのか、18日の東京株式市場の日経平均株価も前日比422円安と令和に入って最大の下落幅となり、心理的節目とされる2万1000円を一時割り込んだ。
 消費も心理も冷え込んでいる中で消費増税に踏み切れば日本経済は奈落の底に一直線。政府が打ち出す小手先の軽減税率の導入など、クソの役にも立たない。
 
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「これまでも安倍政権は社会保障に充てる、といって消費税を引き上げてきましたが、福祉政策などにはほとんど使われていません。消費増税の理由は口実に過ぎないのです。おそらく増税しても米国の武器を大量に買うだけ。そんな政権与党を勝たせてはならない。あきらめたら、今以上にウソとゴマカシの暴政を認めることになる。今からでも遅くない。きちんと『NO』を突きつけるべきです」
 
 与党を大勝させたら庶民は自分のクビを自分で絞めるのと同じ。まさに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」だ。