参院選で「れいわ新選組」山本太郎氏が訴え聴衆を感動させた政策
1.消費税廃止へ
2.最低賃金全国一律1500円政府補償
3.奨学金徳政令
4.一次産業戸別所得補償
5.最低保障年金確立
は、植草一秀氏が代表を務める「オールジャパン平和と共生」が昨年4月に提示した日本の経済政策刷新の提案をそのまま受け入れたもので、この政策が、参院選が終わったいま日本で大きな広がりを見せています(植草氏は「れいわリベラリズム」と呼んでいます)。それは政策の正しさに山本太郎氏の弁舌の熱さ(熱情)が重なってもたらされたものといえます。
国家の最大の役割は、すべての主権者の最低生活を保障することであり、「最低賃金全国一律1500円」、「最低補償年金の確立」がその具体的施策です。「担税能力に応じた課税」の原則に反し、「所得」がゼロの人からも税金を巻き上げ生存権を破壊する税制を止める「消費税廃止」も勿論その発想に基いています。
その意味でも、基本的に消費税制度を肯定し、税率のアップを肯定するマスコミ人や「学識」者たちが多少のことを言ったとしても、それは「リベラルを騙るもの」の誹りを免れません。
2001年に登場した小泉・竹中(平蔵)政権が行った新自由主義、市場原理主義政策は、経済的弱者は自己責任であるとして所得の再分配で救済することを否定するもので、「リバータリアニズム」と呼ばれるものです。それは経済活動が必然的にもたらす弱肉強食を是認するものです。
政治経済学者の植草一秀氏が30日、「れいわリベラリズムVSリバータリアニズム」と題する記事を発表しました。
29日に発表した記事「『れいわ』政策土台としての『平和と共生』政策提言」を併せて紹介します。
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れいわリベラリズムVSリバータリアニズム
植草一秀の「知られざる真実」 2019年7月30日
「オールジャパン平和と共生」が昨年4月に提示した日本の経済政策刷新の提案。
私たちは
1.消費税廃止へ
2.最低賃金全国一律1500円政府補償
3.奨学金徳政令
4.一次産業戸別所得補償
5.最低保障年金確立
この五つの政策を提言した。
⇒ メルマガ記事「「分かち合う経済政策」=「シェアノミクス」提唱」
この政策が、いま日本で大きな広がりを示している。
課税の基本に「能力に応じた課税」を置くべきである。これが財政の所得再分配機能を発揮させる税制になる。
国家の最大の役割は、すべての主権者の最低生活を保障することである。その最低保障ラインを拡充する施策が最低賃金全国一律1500円の提案だ。
全国一律にすると、地方における最低賃金が輝きを放つ。地方経済の発展を実現できる。
「オールジャパン平和と共生」の提案は「リベラリズム」の政治哲学に基づく。
人が生まれながらにして、どのような境遇を得るのかは定かでない。
誰しも厳しい境遇に生を受ける可能性はある。その厳しい境遇のために不幸を背負わされることは理不尽である。
これを国家の責任において是正しようとするのがリベラリズムの発想だ。
これを国家が実現するには資金が必要だ。その資金は、社会のなかにおける、相対的に経済力の強い者に負担してもらうしかない。
それ以外に、すべての主権者に最低生活を保障する方法はない。
ここから発生するのが「能力に応じた課税」の考え方だ。
基本的人権には歴史的な発展の系譜がある。
18世紀的基本権と呼ばれる自由権、19世紀的基本権と呼ばれる参政権、そして、20世紀的基本権と呼ばれる生存権である。
リベラリズムは生存権を保障することを重視し、これを実現することを目指す政治哲学である。
この対極にある考え方が、「リバータリアニズム」である。「リバータリアニズム」は経済活動への政府の介入を非とする考え方だ。「リベラリズム」は国家の責任において、すべての主権者に最低保障を行う。これに対して「リバータリアニズム」は、経済活動の結果について、国家は介入するべきではないとの立場を取る。
相対的に経済力の強い経済主体に高率課税を行い、その課税によって獲得した資金で相対的な経済弱者に給付を行う施策を否定する。
自然界の基本法則は「弱肉強食」であり、その自然の摂理に対して国家が介入して資源配分を変えることを非とする。
2001年に日本で小泉純一郎政権が誕生した。これ以降、日本においても政府の所得再分配政策、最低保障引き上げ政策を否定する風潮が強まってきた。
新自由主義、市場原理主義などの言葉が用いられてきたが、これを政治哲学の言葉に置き換えるなら「リバータリアニズム」ということになる。
「オールジャパン平和と共生」は「リベラリズム」の哲学に基づいて五つの政策を提示した。国家がすべての主権者に保障する最低ラインを引き上げることを提唱したのである。
この提案を良い意味で丸呑みしたのが「れいわ新選組」である。
その一方で、日本においても、政府による最低保障ラインの引き上げに反対する「リバータリアニズム」の主張が強まってきた。
最終的には、日本の主権者がどちらの思想、哲学を選択するのかという問題になる。
私たちは主権者が連帯して「リベラリズム」経済政策を選択するべきであると考えている。
(以下は有料ブログのため非公開)
「れいわ」政策土台としての「平和と共生」政策提言
植草一秀の「知られざる真実」 2019年7月29日
「オールジャパン平和と共生」が昨年4月に開いた学習会で、私は新しい経済政策の提案を発表した。「分かち合う経済政策」の提案だ。
⇒ メルマガ記事「「分かち合う経済政策」=「シェアノミクス」提唱」
消費税廃止へ
最低賃金全国一律1500円政府補償
奨学金徳政令
一次産業戸別所得補償
最低保障年金確立
この五つの政策を提言した。次の国政選挙に向けて、この政策の旗の下に主権者が結集することを呼びかけた。しかし、既存の政党で、日本政治刷新を牽引する存在が見当たらない。
主権者が主導する新党の結成が必要不可欠であるとの判断を示した。
私たちのこの声に呼応して創設されたのが「れいわ新選組」である。私たちの提案を、ほぼそのまま丸呑みしてくれた。
安倍内閣は本年10月に消費税率を現行の8%から10%に引き上げる。
その影響が深刻に広がることは間違いない。
増税規模は一部品目の据え置き税率、たばこ増税などの影響を含めて、平年度ベース5.2兆円である。
日本では単年度の増税規模を数値として用いるが適正でない。10年単位の影響で考察するべきだ。10年単位では52兆円増税ということになる。巨大増税なのだ。
安倍内閣は景気対策を講じるとしているが、その規模はわずかに2兆円強である。
10年単位で考えれば、景気対策分を差し引いても50兆円規模の増税になる。
この増税が日本経済に深刻な影響を与えぬわけがない。
さらに重大な問題がある。分配の格差が益々拡大することだ。
2013年度から2018年度までの6年間に、企業収益はほぼ倍増した。大企業は史上空前の利益を計上している。内部留保は450兆円規模に膨れ上がっている。
その一方で、労働者一人当たりの実質賃金は、同じ期間に、約5%も減った。
大資本だけが栄えて、労働者は下流へ下流へと押し流されている。
民間給与実態調査を見ると、労働者の半分以上が年収400万円以下の階層に含まれる。
所得税の場合、夫婦子二人で片働きの場合、年収約350万円までは所得税負担が生じない。
収入から生存に必要な経費を差し引いた金額が課税対象の所得になるが、上記ケースでは、年収350万円が課税所得ゼロの水準になるからだ。
日本国憲法は「生存権」を基本的人権として保障しており、このために、所得税制度においては、一定水準の収入までを所得税非課税の対象としている。
ところが、消費税はまったく違う。所得の少ない人だけでなく、所得がゼロの人からも税金を巻き上げる。収入金額に対する税額の負担率は、所得の少ない人ほど大きくなる。
所得の少ない人は収入のすべてを消費に回さざるを得ない。
そうなると、収入金額全体に消費税率10%の負担がかかることになる。まさに、生存権を破壊する税制なのだ。その負担は、給料1ヵ月分を超える。
所得が少ないから、所得税負担が免除されているのに、消費税の場合には、1ヵ月分の給料全額以上のお金が税金で巻き上げられる。この消費税の残酷さを認識しなければならない。
日本財政の抜本的な改革を進めて、消費税減税、消費税廃止を実現しなければならない。
そのための、主権者主導の運動が本格始動することになる。
(以下は有料ブログのため非公開)