2019年7月28日日曜日

決して安くない日本の税率…「諸外国はもっと高い」を検証

 参院選で決定的な打撃までは受けなかった政府は、10月には世紀の愚策 消費税率10%へのアップを行うつもりです。そうなればアベノミクスの恩恵を受けたのは富裕層と大企業、輸出産業だけで、国民の実質所得(=購買力)は減退の一路を辿ってきた日本経済は奈落の底に落ち込みます。
 消費税自体乃至は消費増税の誤りについては、直近では藤井聡 京大教授による全17回シリーズ「消費税を凍結・減税すべし!」で明解に説明されました。
 これまで事実として消費税の税収は全て所得税と法人全の減税分に充てられてきたのですから、「社会保障を充実させるためには、あるいは財政を健全化させるためには消費税率のアップはやむを得ない」という間違った認識(=思考停止)からは一刻も早く脱却する必要があります。
 
 メディアは政府の意向を体して「諸外国の消費税率はもっと高い10%になっても、まだまだ低い」の宣伝を開始しています。政府、財界、それに高額所得者で構成される知識人やマスコミ人が大衆課税である消費税に拘るのは自分たちが「得」だからです。
 税収全体に占める消費税収の割合は税率8%の段階で既に348%に達しています。彼らはそれをさらに上げていこうとしているのです。
 この先も今の政府の考え方で進めば、最終的に消費税率を25%程度まで上げないことには「財政健全化」に寄与しません。税率10%で収まる筈がないのです。
 
 消費税は廃止して従来の所得税と法人税による税制度に戻すべきです。直ぐには無理だというのであれば れいわ新選組党首・山本太郎氏が主張するようにまずは5%に戻すべきです。
 日刊ゲンダイの記事「決して安くない日本の税率…『諸外国はもっと高い』を検証」を紹介します。
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消費税廃止でニッポン復活  
決して安くない日本の税率…「諸外国はもっと高い」を検証
日刊ゲンダイ 2019/07/27
 参院選で改選議席を下回りながらも、勝敗ラインをクリアした安倍政権は、予定通り消費税率の引き上げを行う予定だ。これを軽減税率が適用される大新聞が「賛成一色」で後押しする構図。「諸外国はもっと高い」という解説もしばしば披露されるが、これ、真実ではない
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 参院選の結果を受けて、日本経済新聞は24日付朝刊の社説で、〈消費増税はある程度やむを得ないと考える国民が増えてきたことの表れではないか〉と都合のいい分析をしていた。
 定期契約がほとんどの同紙は、軽減税率の恩恵を受けられる。増税が売り上げに直接響かないだろうから、のんきな見方ができるのだろう。
 博報堂の「消費税対策研究プロジェクト」の調査では、前回2014年の増税よりも家計への負担を感じる人が7割を超えていた理由のトップは「収入減」。増税を受け入れられる余裕などないのだ。
 それでも〈デンマーク、スウェーデン、ノルウェーは税率が25%〉〈イギリス、フランスは20%〉などと欧州の付加価値税を引き合いに出し、「日本はまだマシだから我慢しろ」と言わんばかりの報道が目立つ。「10%になっても、まだまだ低い」と我慢を強いるのである。
 生活水準は国ごとに違う。給与や物価はもちろん、歴史、伝統、文化、人口もばらばらだ。税率の高い低いだけを比較することにどれだけの意味があるのか分からないが、するならするで詳細にまで踏み込んでみないと、日本の負担が重いのか軽いのかはハッキリしない。
 
 そこで各国の制度の中身を見てみると、確かに英国の付加価値税は標準課税が20%だが、ほとんどの食料品は0%だ。
 子供服、水道水、医療、教育、郵便、博物館や動物園の入場料、本、雑誌、バイク用ヘルメットも課税されない家庭用燃料や電力は5%に減額される。生きていくのに必要な分は考慮されているのだ
 
■サッカーの試合も軽減税率のドイツ
 標準課税が19%のドイツでも、医療、教育、郵便、不動産取引、金融、保険などは非課税。食料品には7%の軽減税率が適用される。サッカーの観戦チケット代も対象だから、日本代表の大迫が所属するブレーメンや元代表キャプテンの長谷部が最後列でゲームをコントロールするフランクフルトの試合も、安心して見られるだろう。
 高税率の代表格として例にされることが多いハンガリーも、標準税率は27%だが、牛乳、卵、鶏肉、豚肉、魚、医薬品は5%
 しかも、この国は個人所得税が一律15%と低い。消費税や付加価値税といった間接税だけを比較しても、暮らしの中の負担感は見えてこないのだ。
 
 日本金融財政研究所の所長で経済アナリストの菊池英博氏はこう言う
日本の消費税は生活のベースになるところにまでかけられています。これは欧米では異常な姿。ドイツ人の友人は『日本人はどうして黙っているのか?』と不思議がっていました。半年前にフランス全土で発生した大規模デモも、ガソリンや軽油の価格が上がって生活が圧迫されることへの抗議。『生活基盤にまで税金をかけるのか』とフランス人は怒ったのです。結局、マクロン大統領は法案を引っ込めましたが、これが民主国家。日本人はおとなし過ぎます」
 
■税率25%のスウェーデンと同水準
 税収全体に占める消費税収の割合を比較すると、おとなしい日本人もさすがに怒るだろう。日本は8%の段階(2015年度)で34.8%と、標準課税が25%のスウェーデン(36.7%)と同水準なのだ。それだけ消費税の負担は大きくなっているのである。
 それでも「やむを得ない」と考えられる人は、果たしてどれだけいるだろうか。