参院選新潟選挙区(改選1)は、“安倍麻生忖度道路”忖度発言で有名になった塚田一郎候補と脱・忖度政治を訴える人権派弁護士の「うち越さくら」(野党統一候補)候補の事実上の一騎打ちです。
3年前の参院選で接戦の末に野党統一候補の森ゆうこ氏に敗れた自民党は「重点区」に指定して、安倍首相、麻生財務相を始め、菅官房長官、二階幹事長さらには小泉進次郎議員などが入れ替わり立ち代わりで来県し、必死に塚田氏を応援する姿はまさに「安倍政権の意向を忖度する議員は絶対に落選させない」と言わんばかりです。
実際、安倍・麻生の両氏が共に関係している忖度道路に関連することで、塚田氏を落選させては沽券にかかわると思っているのでしょう。
ジャーナリスト・横田一氏のシリーズ「ニッポン抑圧と腐敗の現場」No61「安倍首相が激戦新潟で“安倍麻生道路”忖度発言の塚田一郎候補を大応援! ~ 」がLITERAに載りました。
横田氏は、櫻井よしこ氏が6月25日の塚田氏の集会のため来県し、演説の中で「うち越さくら」氏に事実を歪曲した攻撃を加えたことに関する記事を、3日のLITERAに寄稿しています。
今回の記事でもそのことについて簡単に記されているので、デマ宣伝の概要を知ることが出来ます。
櫻井氏が著書や演説でそうしたデマを述べることに関しては定評があり、薬害エイズ問題でデビューしたときも、出世作である『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』には重大な虚偽があることを指摘され絶版になりました(その後文庫版で出版された経緯は不明です)。
安倍首相と波長が合うのはなんと何となくわかるような気がします。
LITERAの記事を紹介します。
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横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」61
安倍首相が激戦新潟で“安倍麻生道路”忖度発言の塚田一郎候補を大応援!
やっぱり安倍首相は忖度議員を贔屓にしていた
LITERA 2019.07.18
「令和を忖度政治の時代するのか」が問われているように見えるのが、参院選新潟選挙区(改選1)。“安倍麻生忖度道路”発言で国交副大臣を辞任した現職の塚田一郎候補と、脱・忖度政治を訴える野党統一候補の打越さく良候補が激突する注目選挙区だが、「忖度議員は絶対に落選させない」と言わんばかりの安倍政権の姿勢が伝わってくるのだ。
告示日(4日)とその翌日(5日)には、忖度された側の麻生太郎・財務大臣(自民党副総裁)と安倍首相が駆け付けたかと思うと、翌々日(6日)には政権ナンバー2の菅官房長官、そしてラストサンデー(14日)には人気抜群の小泉進次郎・厚労部会長が応援演説をしたのだ。
自民党大物議員の連日の新潟入りにも驚くが、なりふり構わぬ応援演説にもビックリ仰天だ。5日の街宣で安倍首相がまず訪れたのは、山形県沖地震被災地の新潟県村上市。そしてライフライン復旧などの震災復興に取り組むことを約束、市内の温泉地で宿泊キャンセルが相次いでいることを受けて宿泊代や観光消費への割引対策実施を表明した直後、「皆さんの力を塚田一郎に結集をしていただくようによろしくお願いします」と訴えたのだ。
国家予算の私物化(選挙対策への流用)ではないか。国政選挙とは関係なしに実施すべき震災復興対策を“人質”にして、自民党公認候補への投票を呼び掛けたからだ。
16日にも安倍首相は2回目の新潟入りをして4カ所で応援演説。ここでは、山形県沖地震に伴う宿泊キャンセルが県内全域に及んでいると強調した上で、先の割引対策実施を紹介、その直後に塚田氏への支持を訴えた。
参院選向け集会で「選挙で頑張ったところには予算をつける」と発言した二階俊博幹事長と安倍首相がぴったりと重なり合う。「全国土地改良事業団体連合会」会長の二階氏は、民主党政権が戸別所得補償制度導入で減らした「土地改良事業」(農業土木事業)予算を、第二次安倍政権下で増やした“剛腕利益誘導型族議員”だが、重要な選挙での得意技は、農業土木予算増の恩恵を受ける土地改良区関係者に自民系候補への投票を呼び掛けることだ。これを今回の参院選でも実践、6月29日の徳島での発言を毎日新聞が「二階幹事長「選挙やってくれたら予算つけるのは当たり前」」と題して報じたのだが、その6日後に二階氏を直撃して「選挙応援と予算が一体の発言を撤回しないのか」と聞いたが、「そんなことはない」と拒否した。
安倍首相が野党候補にデマ攻撃の櫻井よしこを使って塚田候補を応援
土地改良事業費と震災復興費の違いはあるが、国家予算を私物化して選挙対策に流用、自民党支援者に優先的に回す姿勢は、二階氏も安倍首相も同じといえるのだ。
ちなみに“安倍麻生道路”(下関北九州道路=第二関門橋)に関する忖度発言が塚田氏の口から飛び出したのも、福岡県知事選の集会。「麻生氏も推す安倍政権とパイプのある自民党推薦候補が当選すると、地元が切望する『下関北九州道路』が進みますよ」という主旨の利益誘導発言だったのだ。下関市が選挙区の安倍首相と、北九州市が中選挙区時代の選挙区だった麻生大臣を忖度した塚田氏もまた、選挙応援と予算付けの一体化を当然とする古き自民党利益誘導政治の継承者のようにみえるのだ。
5日と16日に新潟入りした安倍首相は両日とも、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が塚田氏の応援演説に駆け付けたことを紹介。5日の応援演説では、櫻井氏について「辛口で滅多に人を褒めない」「基本的に国会議員の選挙応援はしない」と強調、「その櫻井さんが拉致問題の解決する上においては、『塚田一郎は絶対に必要だ』という思いで、この前、新潟に来てくれた」と続けた。
しかし、櫻井氏が新潟市の集会で塚田氏への支持を訴えたのは6月25日で、公選法に抵触の恐れもある“フェイク発言”をしたことはリテラの記事ですでに紹介した通り。打越氏が自衛隊解消や天皇制廃止を訴えているかのような虚偽の発言を櫻井氏はしたのだが、打越氏は「専門家でないので自衛隊解消や天皇制廃止を訴えてはいない。公約にもしていない」と事実無根と否定。そこで、7月14日に新潟県上越市で2回目の応援演説をした櫻井氏を直撃、「打越氏が自衛隊解消をいつ言ったのか」「ジャーナリストが嘘を言っていいのか」と聞くと、「『共産党が』と言った」と答えた。
先のリテラの記事で問題にした櫻井氏が口にした打越氏発言(自衛隊解消と天皇制廃止)は、6月25日の集会における同氏の応援演説を録音・活字化したものだが、そのことを櫻井氏は忘れてしまったようなのだ。打越氏が言っていないことをまるで事実であるかのようにでっち上げて、それを指摘されると共産党の発言とすり替える櫻井氏は、「ジャーナリストの肩書きを使った煽動型選挙運動家」と呼ばれても仕方がないのではないか。
そんな櫻井氏の応援演説を日本国の最高権力者である安倍首相が紹介、塚田氏の支持を呼びかけてもいた。16日の街宣でも安倍首相は、櫻井氏の過去2回の応援演説を紹介したのに続いて「(投開票日前日の)20日にも櫻井さんは新潟に来る」と3回目の新潟入りを予告したのだ。「安倍首相は『法律違反疑惑など関係ない。勝てば官軍だ』という考えなのか」という疑問が湧いてきたのはこのためだ。
激戦区・新潟は「忖度政治」をこのままつづけるのかどうかが争点!
6日に新潟入りして塚田氏支持を訴えた菅義偉官房長官も櫻井氏の応援演説を紹介、首相と足並みを揃えた。「令和おじさん」として人気急上昇の菅氏は、安倍首相の令和命名の思いを「国民の皆様は生まれながらにして持っている小さなつぼみを大きく花咲かせられる時代をつくっていきたい」と紹介してもいたので、街宣後に直撃では「令和は忖度(議員を増やすため)の時代ですか」と声をかけたが、一言も反論しないまま新幹線に乗り込んだ。
一方の北海道・旭川出身の打越氏は「新潟生まれ、新潟育ち」を強調する塚田陣営に対抗すべく、人権派弁護士として弱者救済に取り組んできた実績をアピールした上で、中央や官邸のほうを向く忖度議員よりも県民に寄り添えると切り返し、安倍政治との政策の違いも訴えていた。
消費増税反対はもちろん、「本気の原発ゼロ」を掲げて原発再稼動に反対。「中央から押し付けられた最たるものが柏崎刈羽原発。再生可能エネルギーの利用促進で地域経済が発展する可能性がある」と訴え、県内を回るなかで耳にした戸別所得補償制度復活を望む農家の声も紹介。二階幹事長主導で土地改良事業費が増額されたために廃止された戸別所得補償制度復活も、目玉政策のひとつとして強調していたのだ。
12日には立憲民主党の枝野幸男代表が駆けつけて「隠蔽・改竄の安倍忖度政治を安定させていいのか」と応援演説をすると、14日にも地元選出の野党国会議員が勢揃いをして脱・忖度政治を訴えた。
「令和の時代に忖度政治を続けるのか否か」が争点に急浮上した新潟選挙区の結果が注目される。 (横田一)