参院選中は触れようともしなかったホルムズ海峡の関する米国の有志連合への参加呼びかけが、ポンぺオ国務長官から日本に対してあったことが27日に一斉に報じられました。
正義に適うものであれば呼びかけの有無くらいは明らかにすべきだったと思われますが、傲慢な安倍政権でもさすがにその確信がなかったのでしょう。
この事態を招いたのは偏にトランプ米大統領であって、そもそも有志連合は国連安保理決議などを経ずに行う軍事行動です。
オバマ米政権時代の15年7月にイランと米英仏中ロ独の6カ国間で結ばれたイラン核合意は、イランが核開発を大幅に制限する見返りに制裁を解除するというもので、イランは原油輸出などができるようなりました。それをトランプは18年5月に一方的に核合意から脱退し制裁を全面復活したのですから、イランが反発するのは当然のことです。
安倍首相がイラン訪問の最中に起きた日本のタンカーへの攻撃は、イランが行ったと米国はその直後から大いに宣伝しましたが、イランにそうした動機があるとは信じられず他の国々も納得していません。
いずれにしてもそんな有志連合に参加すべきでありません。それは憲法違反であるし、違憲立法である安保法のいうところの「存立危機事態」にも当たりません。
何よりもまずはイランと日本の友誼を説いて断るべきです。日本の役割は、国際社会と歩調を合わせ、イランだけでなくトランプ大統領にも自制を促すことです。
天木直人氏が27日と28日に二つのブログを発表しました。
一つは「有志連合参加問題は安倍外交の最大の試練となる」というもので、もう一つは「トランプの有志連合に対抗するプーチンのペルシャ湾安保構想」というものです。
後者は、国連安保理の決議に基いて「反テロ連合」を形成し、ペルシャ湾での平和維持活動を行うというもので、既にロシアはアラブ諸国やイラン、トルコ、国連安保理事国、欧州連合(EU)などに提示したということです。
これが米国の有志連合と決定的に違うのは、国連の安保理決議を無視したイラン包囲網という敵視政策ではないという点です。
天木氏は、安倍首相は直ちにプーチン大統領に参加の意向を伝えるべきだと述べています。
天木氏は、安倍首相は直ちにプーチン大統領に参加の意向を伝えるべきだと述べています。
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安倍外交の最大の試練となる有志連合参加問題
天木直人のブログ 2019-07-27
きょう7月27日の各紙が一斉に報じた。米国が日本に有志連合に参加するよう要請したと。
なぜこの事が大ニュースになるのか。それは、日本政府がごまかそうとして来た有志連合への日本参加問題について、ついにポンぺオ国務長官が米国フォックスニュースで日本への参加要請を明らかにしたからだ。
もはや日本政府は逃げられない。果たして日本は参加するのか。その場合、どのような形で参加するのか。
この二つを巡って、これから毎日のように安倍政権は頭を痛めることになる。
そしてメディアはその事について連日報じ続けることになる。
安倍政権発足以来6年半の、最大の外交試練である。
参加しないなら安倍首相は批判される。なぜなら最大の原油輸入国の日本はペルシャ湾の安全の最大の受益国だからだ。
しかし、参加すれば友好国イランの反発は必至だ。しかも日本はイラン合意は守られて来たという立場を表明して来た。イランを敵視する理由はどこにもない。
しかし、最大の同盟国である米国の要請である。しかも対イラン制裁強化はトランプ政権の最重要政策だ。断れるはずがない。
だから参加せざるを得ない。しかし、参加する場合に二つの大きな問題がある。
ひとつは憲法9条違反のおそれだ。
もうひとつはイラン革命隊と自衛隊が交戦し、自衛隊員に犠牲者が出るおそれだ。
安倍首相にはそのいずれについても覚悟はない。
だから、これまでどおり、後方支援や経済貢献でお茶を濁す事になる。
「外交の安倍」のはずが、これまでの首相と何も変わらない逃げの首相であることがばれる。
唯一の救いは、そんな安倍首相をメディアが叩かないことである。そして野党が安倍外交を追及できない事である。
この二つに救われて、安倍外交の迷走はさらに続くことになる(了)
トランプの有志連合に対抗するプーチンのペルシャ湾安保構想
天木直人のブログ 2019-07-28
きょう7月28日の産経新聞がモスクワ発小田野雄一記者の記事で教えてくれた。
ロシア外務省は27日までに、「ペルシャ湾での集団安全保障構想」と題する政策文書を発表したと。
この構想は、国連安保理の決議に基づいて「反テロ連合」を形成し、ペルシャ湾での平和維持活動を行うというものだと。
既にロシアはこの構想をアラブ諸国やイラン、トルコ、国連安保理事国、欧州連合(EU)などに提示したと。
そして中国の報道官は25日、この提案を歓迎し、賛意を示したというのだ。
この動きは、間違いなく、トランプ大統領の「イラン沖警護有志連合」に対抗するプーチン大統領のけん制の動きだ。
この動きが、直ちに、有志連合の動きにとって代わることにはならないだろう。
しかし、間違いなく、有志連合の結成を遅らせる効果を持つ。
なにしろ、国連の安保理決議に基づいて進められる集団安全保障構想という合法的体裁をとっているからだ。
国連の安保理決議を無視したイラン包囲網という敵視政策ではないからだ。
ペルシャ湾を脅かすのはイランではなくテロ組織であり、だからこそ「反テロ連合」が必要だと主張するこの構想は、より説得力がある。
ただでさえ参加に慎重な国が多い米国主導の有志連合だ。
このロシアの「ペルシャ湾安保構想」が米国主導の有志連合の進展を遅らせる事になれば、日本にとっても都合がいいはずだ。
産経新聞によれば日本には声がかかっていないようだが、安倍首相は直ちにプーチン大統領に参加の意向を伝えるべきだ。それぐらいの独自外交が出来ないようでは「外交の安倍」が泣く。
それぐらいの独自外交を許してもらえないようでは、安倍・トランプの「親密」な関係がウソだと言う事になる。
ロシアのペルシャ湾安保構想に対して果たして安倍首相はどのような対応を見せるのか。
メディアはそのことを大きく報じ国民の関心を高めるべきである(了)