2019年7月5日金曜日

国民騙しの美辞麗句 安倍自民の公約は嘘ばかり (日刊ゲンダイ)

 参院選が始まりました。今度の選挙でも自民党は露骨な「国民騙し」と「争点隠し」に必死です。
 まず「老後資産2000万円問題」では 自民の応援団が「最初から分かっていた」ことであるかのような言い方をしています。確かに社会保障国民会議がこの問題で社会保障の機能強化が必須とする報告書を出したのは08で、その認識は2度の政権交代後も共有されてきましたがそれを根底から覆したのが12年に登場した安倍政権でした。高齢化が進めば社会保障費のGDP上昇するのが当然なのに、それが下がっている例は他国にはありません(大沢真理東大名誉教授
 また消費増税問題があたかも既定の事実であるかのようにして、マスコミが自民党と共々触れないようにしているのは極めて異常です。
 日刊ゲンダイは、6年半に及ぶ詐欺師政権に国民はまた騙されるのか。それとも今度こそ詐欺に気付き目を覚ますのかそれこそが最大の争点であると述べています。
 
 4日付の日刊ゲンダイが「 ~ 国民騙しの美辞麗句 安倍自民の公約は嘘ばかり」とする長文の巻頭特集を出しました。全文を紹介します。
 ( 電子版はそれを(上)(中)(下)に3分割して掲載しました。ただし全文公開は(上)のみで、(中)と(下)は有料記事になっていて最初の数行だけが公開されました。幸いに「阿修羅」に(中)と(下)の「文字起こし」が載りましたのでそれを転載します。)
 
 実質賃金の大幅低下に対して「総雇用者所得増えている」と反論したり、あるいは「就職氷河期世代支援」「幼児教育・保育の無償化」「女性の活躍」「女性が輝く社会」などと聞こえのいいスローガンを並べ立てていますが、すべては安倍政権の常套手段である“言葉のゴマカシ”に過ぎず、実態とは大いにかけ離れたものであることが記載されています。
 さらに北方領土問題は完全に破綻しているのは明々白々なのに、安倍政権はこの期に及んでも『日ロ交渉を加速』を公約に掲げているに至っては噴飯ものです。なぜ国民はそんな政権に愛想を尽かさないのでしょうか。
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巻頭特集  
露骨な国民騙しの美辞麗句 安倍自民の公約は嘘ばかり <上>
日刊ゲンダイ 2019/07/04
 第25回参院選が4日公示され、21日の投開票に向け、17日間の“選挙の夏”が始まった。
 安倍首相は「政治の安定」を訴え、改憲の争点化に躍起だが、冗談じゃない。もっと言えば今回の争点は、野党が強調する「老後資産2000万円問題」や「消費増税」でもない。これらのテーマも重要だが、もっと大事な焦点がある。
 6年半に及ぶ「嘘も100回つけば真実になる」を地で行く詐欺師政権に、国民はまた騙されるのか。それとも今度こそ詐欺に気付き、目を覚ますのか。それこそが、最大の争点である。
 今度の選挙でも露骨な「国民騙し」と「争点隠し」のオンパレード。ペテン政権の公約はハッキリ言って、「全て詐欺かイカサマだ」と言っていい。
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■「学者の会」が列挙した安倍政権の社会保障はウソだらけ
 どの世論調査でも「重視して欲しい政策」でトップの「年金など社会保障」も自民の公約は嘘だらけ。堂々と「高齢者の皆さんが安心して暮らせる社会保障」とうたうが、それが絵空事だと露呈したのが「2000万円問題」ではないか。
 麻生金融担当相は「政府の政策スタンスと異なる」と問題の報告書の受け取りを拒否したが、これに「年金の給付水準が下がっていくことは、2004年の年金改革の際、すでにデザインされていた」と、毎日新聞の2日付夕刊で指摘したのは社会保障に詳しい東大名誉教授の大沢真理氏だ。
 大沢氏は「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人。将来の給付が減るからこそ政府の社会保障国民会議は08年、「社会保障の機能強化」を図り、年金制度への信頼回復が必要との報告書をまとめた
 その認識は2度の政権交代後も共有されてきたが、安倍政権は根底から覆した
 昨年の「骨太の方針」で、機能強化から「基盤強化」に方針転換。費用の抑制や適正化・効率化など、信頼回復とは正反対の身勝手な内容だ。
 社会保障給付費の対GDP比も、2012年度の22・06%から2016年度は21・68%と安倍政権下で低下。
 
 前出の毎日記事で、大沢氏は〈高齢化が進み、対GDP比への上昇圧力となるのに、下がっている。こんな事態は他国に例を見ません〉と批判。今年の「骨太の方針」の社会保障政策についても、〈書いてあることは「70歳まで働け」「病気になるな」「要介護になるな」「お上に頼るな」の4点に要約できます〉と語っていた。
 「学者の会」の大沢氏が列挙した事実だけでも、「高齢者の安心」なんて公約は真っ赤な嘘。安倍政権の弱い者いじめの実態がよ~く分かる。
 
就職超氷河期支援の欺瞞、偽善
 選挙直前に今年の「骨太の方針」に盛り込んだ「就職氷河期世代支援」も欺瞞に満ちている
 氷河期世代を「人生再設計第一世代」と言い換える「上から目線」がネット炎上したように、多くの国民は安倍政権に「おまえらが言うな」と怒っている。その上、氷河期世代の正規雇用化の数値目標は、3年間で30万人増。昨年の非正規労働者の数は前年比84万人増の2120万人に上る。今さら30万人増なんてスズメの涙にもならない。
 そもそも氷河期世代は長期不況下に、小泉政権の製造業への派遣解禁で生み出された“国策の犠牲者”だ。その小泉政権で幹事長や官房長官など要職を歴任、総理に駆け上がったのが安倍である。氷河期世代の生活をメタメタにした張本人が救済者気取りの「印象操作」とはヘドが出る。
 労働問題に詳しい法大教授の上西充子氏はこう言う。
「安倍首相は以前、『この国から非正規という言葉を一掃する』と豪語しましたが、その決意の結果が低いハードルとは情けない。達成可能な数字で“やっている感”を演出している感じです。氷河期世代の暮らしを安定させるなら、公営住宅の整備や非正規から正規への転換を促進すべき。少なくとも有期雇用の非正規の無期転換ルールを強化し、『雇い止め』の恐怖を取り除けば非正規の発言力は必ず増す。何もしない政権の救済方針は氷河期世代をビジネスの道具にしているように見えます。規制緩和で派遣労働者を増やし、大手製造業や派遣会社を儲けさせ、今度は安定した職に就くための職業訓練と称して派遣会社に国の予算を回す。そのカネを不安定な雇用環境の人々に直接、渡した方がよっぽど救われます。これでは氷河期世代を食い物にした二重搾取です」
 救済者の顔をした“銭ゲバ”に騙されてはいけない。 
 
 自民が公約に掲げる「子供の未来・安全に、大胆に投資」の目玉策「幼児教育・保育の無償化」もデタラメの極みだ。
 無償化で入園希望者が殺到すれば待機児童問題はさらに深刻化し、恩恵を受けられるのは運良く子供を預けられた世帯だけとなりかねない。
 待機児童を抱え、本当に苦しい世帯は、恩恵ゼロだ。
 しかも、年間7764億円もの予算が投入するのに、その恩恵は富裕層に偏る
 保育所の利用料などは既に保護者の所得に応じて減免されているためで、内閣府の試算によると、低所得の住民税非課税世帯には、予算の1%しか配分されない仕組みなのだ。
 「安倍政権の弱者救済策は“誇大広告”ばかり。たとえば『同一労働同一賃金』は、厚労省が『正規と非正規の労働者の間で不合理な格差があってはならない』と定めたガイドラインに法的拘束力はない。2年前に定めた『全国平均の最低賃金1000円』も、ずっと『早期に』と目標を立てながら、いまだ達成できていません。家計第一で、暮らしと労働の安定を訴える野党に“ウチらもやっています”とポーズを示す『争点隠し』を図っているのでしょう。こうした言葉のゴマカシ”は安倍政権の常套手段とはいえ、あまりにも姑息すぎます」(上西充子氏=前出)
 中身スカスカの暮らしの救済策で、「弱者の味方」ヅラとは本当に許しがたい。
 
 
露骨な国民騙しの美辞麗句 安倍自民の公約は嘘ばかり<中>
日刊ゲンダイ 2019/07/04
阿修羅文字起こしより転載
改憲争点と言いながら、勝敗ラインは過半数という身勝手 
「目標が〈与党で過半数〉でどうやって改憲できるのか」――。
 3日の日本記者クラブ主催の党首討論会で代表記者に突っ込まれた安倍は、「与党ということではなくて、与野党で3分の2を形成する努力をしていきたいと言っている」とグニャグニャ。
 安倍は、参院選で改憲を公約に掲げ、憲法審査会での国会審議に応じない野党をヤリ玉に挙げて、「議論しない政党か、正々堂々と議論する政党か、それを選ぶ選挙だ」とエラソーにブチ上げたクセに、勝敗ラインは、非改選含め与党で過半数。公明党が目標の13議席取ると仮定すると、自民は改選67議席から27減らしても到達可能だ。改憲発議に必要な3分の2(86議席)に遠く及ばない。
 40議席でも勝利という低いハードル設定は自信のなさの表れ。議席を減らした後の“安倍降ろし”への予防線だが、本気で改憲を目指すなら、有権者に堂々と訴え、3分の2議席維持を訴えたらどうだ。
 
「争点の年金問題は安倍首相にとっての“鬼門”。そこで改憲論議を持ち出し、争点隠しを狙っているのでしょう。それに手を貸しているのがメディアで、討論会などで、必ず改憲をテーマに取り上げます。国民の関心が高い年金や消費税などのテーマの時間を削って改憲を扱うのは、安倍首相の争点隠しに加担していることにもなります」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
 安倍の身勝手さを許してはいけない。
 
非正規、中小企業にとっては地獄の1丁目から2丁目に 
 党首討論会でアベノミクスの行き詰まりを問われた安倍は、「380万人の雇用を新たにつくった。金融政策によって雇用がつくられた」と強弁。公約集にも性懲りもなく「アベノミクス6年の実績」を列挙しているが、安倍政権下で庶民生活が苦しくなったのは周知の事実だ。
 実質賃金は0.7%下落。非正規雇用は220万人も増え、年収200万円以下のワーキングプアも100万人以上増えている。賃金は下がり、不安定雇用を増やしただけなのだ。
 その批判に、安倍はこれまで総雇用者所得が増えたと反論してきたが、2日発表の「国民生活基礎調査」によると、17年の1世帯当たりの平均所得は前年比8万円も減っている。生活が苦しくて働きに出ても世帯所得は減っているのが実態なのである。
 
 さらに、今、中小企業は完全に失速している。世界経済減速、消費低迷、人手不足、賃上げ圧力、原材料高騰――。6月日銀短観の中小企業・製造業の業況判断指数は7ポイント悪化のマイナス1に。16年9月以来のマイナス圏に落ちてしまった
 安倍が株価をつり上げ“好景気”を演出しても、非正規や中小企業はすでに「地獄の1丁目」に立たされている。
 
「このタイミングで消費税を10%に上げると大変なことになります。昨年来の値上げラッシュで悲鳴を上げている中の増税で、ワーキングプアの方は生きていくのも大変になる不況下で、真っ先にクビを切られるのも非正規です。輸出・大企業は外需で乗り越えられても、体力のない中小企業は太刀打ちできないでしょう」(経済評論家・斎藤満氏)
 非正規や中小企業は「地獄の2丁目」行きを余儀なくされる。
 
明治への憧憬政権が女性活躍とうたう大笑い 
 安倍は口を開けば「女性の活躍」「女性が輝く社会」と女性が喜びそうなスローガンを連発し、参院選の公約パンフレットにも「指導的地位に占める女性の割合を3割にする」などと掲げている。
 しかし、本気で「女性活躍」など考えていないことは明らかだ。
 ホンネが表れたのが先月30日に行われたネット党首討論だ。立憲民主の枝野代表に「選択的夫婦別姓は女性の社会参画に不可欠ではないか」と詰め寄られるや、「(夫婦別姓の是非は)いわば経済成長とは関わりがないというふうに考えています」と明言を避けた。
 さすがにこの安倍発言には、ネット上で批判が噴出。〈経済成長の役に立たないのなら女性の権利はどうでもいいと思ってるわけですね〉〈選択的夫婦別姓という人権で考えないとならない問題を、「経済成長としての課題ではない」という理由でまともに対応しない人物が推進する男女共同参画社会とは〉と痛烈だ。
 
「安倍首相の正体見たりです」とは元衆院議員で政治学者の横山北斗氏。
彼のホンネは経済界のために女性を働かせて労働力不足を補いたいということ。何でもいいから女性に働きに出てもらいたいのです。そのために『女性の活躍』みたいな進歩的に聞こえる言葉を使い、女性票の獲得にも利用しようという魂胆です」
 安倍自民党の本音は時代の進歩ではなく、歴史の逆戻りなのだ。
「自民党議員の多くは、女性より男のほうが上だという考えが意識の根底にあるのです。だから妻が夫の姓を名乗る社会を存続させたい。江戸時代や明治時代のような女性が男に帰属する社会に戻したいというのが本音です」(横山北斗氏)
 3日の党首討論では「選択的夫婦別姓を認める」という項目で、安倍だけが手を挙げなかった。「女性活躍」は歴史の大ウソ。騙されてはならない。 
 
 
露骨な国民騙しの美辞麗句 安倍自民の公約は嘘ばかり<下>
日刊ゲンダイ 2019/07/04
  阿修羅文字起こしより転載
仰天、参院選パンフに北方領土問題解決とは 
 外交公約もイカサマのオンパレードだ。
 トランプ大統領から、「日米安保条約は不平等だ。この6カ月間、安倍首相にも伝えてきた」と、日米関係を変更すべきだと訴えられても、「日米同盟は強固だ」と有権者に訴えているのだからもう漫画である。しかも、トランプとは「無二の親友」のはずなのに、先月30日に行われた「米朝電撃会談」について一切、事前に知らされなかったのだから話にならない。「盟友」ならば、真っ先に伝えられるのではないか。
 一体、どこが「強固な同盟」なのか。なのに、NHKを筆頭とする応援団メディアは「世界のリーダー」などと持ち上げているのだから、どうかしている。
 
 仰天なのは、参院選の公約に堂々と「ロシアとは領土問題を解決し、日ロ平和条約の締結を目指します」と掲げていることだ。北方領土の返還交渉が行き詰まったことは、子供だって知っているのに、この詐欺師政権は、堂々と嘘をつけば国民を騙せると考えているのだから信じがたい。
 
「北方領土の返還交渉は、日本の完敗でした。昨年11月の日ロ首脳会談以降、日本は一方的に譲歩を重ねてきた。『4島返還』や『固有の領土』という従来の主張を封印してしまった。
 その一方、ロシア側は『4島をロシア領と認めない限り交渉しない』などと、どんどんハードルを上げていった。結局、4島どころか2島も返らず、経済支援をさせられただけでした。これほど国益を損ねた外交があったのでしょうか。いったん2島返還で譲歩したため、もう4島返還を訴えることもできなくなってしまった。安倍首相は国民に説明し、謝罪すべきですよ。ところが、この期に及んで『日ロ交渉を加速』を公約に掲げているのだから、神経を疑いますよ」(筑波大教授の中村逸郎氏=ロシア政治)
 ペテン首相は選挙中も、トコトン外交で“やっている感”を演出するつもりだ。 
 
韓国叩きで得票をもくろむ卑しさ 
 安倍政権の薄汚さがよくわかったのが、わざわざ参院選の直前に、韓国に対する「輸出規制」を打ち出したことだ。
 半導体製造に使われる化学製品3品目について、韓国への輸出規制を強めると発表。と同時に、安全保障上、問題のない国として輸出手続きを簡略化する「ホワイト国」のリストから、韓国を外すことも明らかにした。
 この3品目の供給を断たれたら半導体の製造は不可能。半導体が基幹産業である韓国には大打撃だ。
 さすがに今回の日本の対応には、国際社会から批判の声が上がっている。WTOのルールにも反しかねないから当たり前だ。
 
 しかも、G20サミット議長国として「自由で公平かつ無差別な貿易」を宣言にまとめた2日後に発表したのだから、国際社会が不信の目を向けるのも当然というものだ。
 この時期に「韓国叩き」に走った理由は、“得票狙い”が目当てなのは明らかだ。
 経済アナリストの菊池英博氏はこう言う。
「日本経済にとって、韓国に対する輸出規制は、メリットは何もありません。マイナスばかりです。将来的には韓国企業が供給元を日本企業から変える可能性がある。それでも安倍政権が、韓国イジメを始めたのは、参院選で票を集めるためでしょう。2017年の衆院選の時、安倍政権は北朝鮮の脅威を煽り、“国難突破解散”と名付けて大勝した。麻生大臣は『北朝鮮のおかげで勝てた』と正直に話しています。でも、米朝会談が行われ、もう“北風”は使えない。そこで、今回は、ネトウヨを中心に広がる“嫌韓感情”に火をつけるつもりなのでしょう。安倍支持者は、中国叩き、韓国イジメをすると喜びますからね。それもこれも、安倍政権には他に訴える材料がないからです。年金2000万円問題、消費増税から国民の目をそらす狙いもあるでしょう」
 
 安倍政権の露骨な「国民騙し」「争点隠し」は、いずれ有権者から批判を浴び、裏目に出る可能性もあるのではないか。