財務省の発表(2日)によると、18年度の税収は60兆3563億円とバブル期の1990年度(60兆1058億円)を超え過去最高になりました。
安倍首相は早速「鬼の首を取った」かのように、選挙演説で「私たちは経済を強くしています。経済を強くすれば税収は増える。今年の税収は過去最高になった。あのバブル時代も超えたのです」と述べ立てました。
しかし、日本の経済は強くなってなどいません。1人当たりのGDPの推移を見ても、むしろ民主党政権時代の2012年より大幅にダウンしています。韓国に追い抜かれるのは時間の問題です。(グラフはブログ「世に倦む日々」19.6.26より転載)
日刊ゲンダイが安倍演説の悪辣なトリックをバラしました。
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安倍首相「経済強くなった」演説アピールの悪辣トリック
日刊ゲンダイ 2019/07/06
選挙戦の演説で、安倍首相は「過去最高の税収」をやたらとアピールしている。
「私たちは経済を強くしています。経済を強くすれば税収は増える。今年(2018年度)の税収は過去最高になった。あのバブル時代も超えたのです」(福島市での第一声=4日)
素直に聞けば〈安倍政権がバブル時代を超えるような“強い経済”を築き、その結果、過去最高の税収を実現した〉という意味になるが、ペテン首相の巧言に引っ掛かってはいけない。
確かに、財務省が2日に発表した一般会計決算によると、18年度の税収は60兆3563億円と過去最高で、バブル期の1990年度(60兆1058億円)を超えた。しかし、〈経済が強くなった〉というのは大ウソだ。
1990年度と2018年度の「基幹3税」の税収の増減を見れば一目瞭然(別表)。低所得者ほど負担がキツい逆進性の極みと言える「消費税」が13兆円も増え、逆に「法人税」や「所得税」は計12兆円も減っている。庶民の負担を増やした主犯は、安倍政権だ。
1990年度
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2018年度
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増 減
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消 費 税
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4.6兆円
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(3%)
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17.7兆円
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(8%)
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+13.1兆円
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法 人 税
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18.4兆円
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(49.9%)
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12.3兆円
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(29.74%)
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ー6.1兆円
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所 得 税
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26 兆円
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(10~50%)
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19.9兆円
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(5~45%)
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ー6.1兆円
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(カッコ内は税率)
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14年に消費税を5%から8%に引き上げた一方、政権発足前は37%だった法人税を段階的に引き下げ、18年度は29.74%になった。15年度には所得税の最高税率を50%から45%に引き下げた。
つまり、企業や富裕層の税を軽減し、低所得者の薄い財布から消費税をふんだくった結果、最高の税収に達したのである。安倍の税収増のアピールは、「こんなに弱い者いじめをしました」と自慢しているようなものだ。
■庶民の負担が激増しただけ
「バブル時代を超えるような“強い経済”を今、どこの誰が実感しているのか。バブル末期の90年度は、景気が過熱気味だったため、金利(公定歩合)が6%に引き上げられました。一方、安倍政権下で金利はゼロからマイナスに踏み込みました。“弱い経済”が一向に強くならないからです。強い経済で税収が増えたわけでは決してない。低所得者に過大な負担を押し付けた結果を、アベノミクスの成果にすり替えているのだから、悪辣です。野党やメディアはもっと突っ込むべきです」(立正大客員教授の浦野広明氏=税法学)
このまま、消費税が10%にアップすると、5兆円超の税収増。それでも安倍は「強い経済で税収が増えた」と自慢する気なのか。参院選で、ペテン首相を引きずり降ろすしかない。