2019年7月21日日曜日

れいわ熱烈支持はなぜ?

 ようやく大手紙「毎日新聞」が「れいわ新選組・山本太郎」を取り上げました。
 さすがに具体的な声をベースにした取り上げ方をしていて、それを読むと「れいわ新選組・山本太郎」に一定の票が流れることを予感させます。
 
 WEB女性自身の記事も併せて紹介します。
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既成政党が届かない人たち れいわ熱烈支持はなぜ?
毎日新聞 2019年7月20日
 参院選(21日投開票)で、既存の野党各党の手が届かなくなった有権者の存在が注目を集めている。「与党の姿勢や政策には賛成できないが、いまの野党の訴えにも共感できない」という人たちで、「れいわ新選組」のような諸派を熱烈に支持する現象が起きているのだ。 
 
「与党は好きじゃない。野党は…」 
 15日夕、東京・JR吉祥寺駅前。立憲民主党の新人候補がマイクを握り、「当たり前の政治を取り戻したい」などと訴えていた。70人ほどの聴衆は真剣に耳を傾けていたが、商店街を歩く人たちの大半は足を止めることなく、素通りした。「熱心な支持者が盛り上がっているだけ、という感じがする。与党は好きじゃないけど、今の野党に世の中を変える力があるとは思えないよね」。離れた場所から演説をながめていた東京都武蔵野市の無職男性(70)はつぶやく。 
 
 毎日新聞が6月15、16両日に行った世論調査では「支持政党なし」は44%を占める。自民党の政党支持率29%に対し、立憲民主党や共産党など各野党の支持率は軒並み10%未満。勢力を拡大するには、無党派層を取り込むことが欠かせない。 
 
野党に危機感「侵食されている」 
 ところが今回の参院選では、無党派層の一部が既存の野党ではなく、「れいわ新選組」や「NHKから国民を守る党」などの諸派に流れつつあり、野党各党とも神経をとがらせる。 
 立憲幹部は「特に東京では相当、れいわに侵食されている」と危機感を募らせる。実際、この幹部の支持者の中にも「申し訳ないけど、今回はれいわを応援したい」と断ってきたケースがあるという。別の立憲関係者も「日本維新の会、共産党、社民党などほかの野党の票も奪っている」と分析している。 
 
 共産党候補の陣営責任者は「有権者の中では、民主党政権が行き詰まったことへの印象が非常に強い。当時、政権に入っていなかった私たちでさえ野党だというだけで『政権を任せるのはちょっと……』と思われている」とため息をつく。こうした見方は与党も共通しており、自民党幹部は「支持層が安定している与党よりも、野党の票が相当、れいわなどに流れている」とみる。 
 
野党の主張「エリートが考えた政策」 
 2017年衆院選では、誕生したばかりの立憲が躍進した。当時、立憲を「この党こそ私たちの代表だ」と熱心に支援したという東京都台東区の男性会社員(40)は今回、れいわに共鳴するという。男性は今の野党の主張について「エリートたちが考えた政策という感じがするんですよね。高学歴、高収入の人たちが『教えてあげるよ』と言ってるみたいに感じる」と語る。 
 男性は上司のパワハラ被害により会社を辞めた経験を持つ。「今の野党からは『上から目線』の雰囲気を感じてしまう。今まで政治にスルー(無視)されてきたと感じる人たちは、そういうことに敏感なんですよ」 
 無党派層が多いとされる30~40代は「就職氷河期世代」(ロストジェネレーション)と呼ばれ、今の政治に不満を抱く人も少なくない。こうした有権者層に、インターネットなどを使い徐々に浸透しているのも諸派の特徴だ。中でも「れいわ」は、4月の旗揚げから今月半ばまでに3億円以上の寄付を集めた。ホームページには「れいわ新選組は、ロスジェネを含む、全ての人々の暮らしを底上げします!」とうたい、現状に不満を抱く有権者の共感を呼ぼうとしている。 
 
れいわ、公約に「消費税廃止」 
 15日夜、新宿駅西口のれいわの街頭演説。代表の山本太郎参院議員の熱弁に1000人近くが耳を傾けた。東京都稲城市の男子大学生(4年)は大学の講義で山本氏の活動を知り、この日はツイッターで演説会の場所を確認して1人で演説を聴きに来た。山本氏が演説で「奨学金の返済に不安を抱える学生たち」や「住居費を用意できずに1人暮らしができない人たち」に触れるたび「自分の話をしてくれていると感じる」という。紅潮した顔で「他にも政党があるのは知っているけれど、山本さんは僕のために本気で戦ってくれそうだなと思った」と語った。 
 
 れいわは、最低賃金を1500円に引き上げる▽555万人分の奨学金の返済を国が肩代わり▽雇用の安定化のため公務員を増やす――などを掲げる。最低賃金1500円は共産、社民両党、奨学金免除も立憲や国民民主党の「給付型奨学金の拡充」など野党各党の政策に共通する。 
 最大の違いは、野党各党とも消費税率10%への引き上げには反対姿勢を示す中、れいわが「消費税の廃止」を打ち出したことだ。物価を下げ、実質賃金を上昇させ、景気回復をさせると掲げる。山本氏は「消費税の廃止」と「奨学金の肩代わり」には29兆円の財源が必要だとし、もうかっている企業から法人税を多く取ったり、収入の多い人から所得税を多く取ったりすることでまかなえると主張する。 
 
「欧米のポピュリズム戦略に類似」 
 立命館大の山本圭准教授(政治思想史)は「『持てる者』と『持たざる者』の対立を強調するのは、欧米で急速に支持が広がった左派ポピュリズムの戦略と似ています」と指摘する。 
 実際、左派ポピュリズムの代表格とされる米民主党の大統領候補の1人、バーニー・サンダース上院議員は株取引などに税金をかけ、その税収で奨学金の返済を全額免除すべきだと訴え、一定の支持を集めている。山本准教授は「経済格差が深刻になればなるほど、こうした主張が説得力を持つようになる。れいわが注目されるのは、日本の格差がそれだけ広がってきたからなのかもしれません」と話す。 
 
 消費税は12年、旧民主党と自民、公明両党が安定的な社会保障財源を確保するため、消費税率5%から10%への段階的な引き上げを決めた。れいわが主張する消費税廃止に対しては、少子高齢化が進む状況を踏まえ、各党とも懐疑的で、野党議員は「受けのいい政策を並べて訴えるのはどうかと思う」と不満を漏らす。また、法人税や所得税の増税で企業や資産が海外に逃げてしまい、結果的に国内の雇用などに悪影響を及ぼしかねないとの指摘もある。山本准教授は「ポピュリズムの意義は、従来の政治や経済に対する見方を問い直すような選択肢を示すこと。消費税はなくせるんだという大胆な発想をれいわは政策として掲げた。その結果、経済政策の面で存在感を示すことができた」と話す。 
 
 旧民主党の分裂により誕生した立憲や国民と、社民党は政権を担った経験から現実路線を重視せざるをえない。そうした姿勢に一部の有権者が離れ、各党が決して掲げない政策で耳目を集める諸派が新たな受け皿となりつつある――という構図のようだ。ただ、かつても「新党ブーム」はあったが、確固たる基盤を築けないまま消滅したり、大政党に吸収されたりするケースは目立った。エリート層への反発や経済格差の拡大を追い風に新たな勢力は根付くのか。それとも既存野党が息を吹き返すのか。参院選は、一つの分岐点となるかもしれない。【待鳥航志、斎藤有香、野間口陽、青木純】
 
 
山本太郎氏に注目集まる理由 消費税廃止が話題、本誌でも持論
WEB女性自身 2019年7月21日 0時10分
7月21日の参議院議員選挙を前に、れいわ新選組の山本太郎氏(44)が注目を集めている。山本氏が演説をすると人だかりができ、その様子はSNSを中心に拡散されるのだ。 
20日の産経ニュースによると、立憲民主党の関係者が「枝野幸男代表の10倍以上の聴衆が集まっている」と語るほどだという。 
YouTubeにアップされた山本氏の演説動画を見ると、その熱量がうかがえる。Twitterでもこんな感想が上がっている。 
選挙なんか行っても変わらんから適当でいいって考えやったけど、それが変わったのは山本太郎さんの演説見たから》 
山本太郎の街頭演説がすごく盛り上がってる。田中角栄の演説も聴衆がすごく集まったらしいけど、こんな感じなのかな》 
《れいわ新撰組に大きなうねりを感じる。これだけ心に響く演説は聞いたことがなかったし、山本太郎にかけてみたいと思う。ウソやごまかしはもうたくさん》 
 
れいわ新選組の擁立する候補者が個性豊かな点も、人々を惹きつけているようだ。元拉致被害者家族会副代表の蓮池透氏(64)や元派遣社員の渡辺照子氏(60)、また難病であるALSの当事者・舩後靖彦氏(61)や脳性まひで重度障害者である木村英子氏(54)といった顔ぶれが揃っている。 
れいわ新選組はホームページに「政権とったらすぐやります」「今、日本に必要な緊急政策」とつづり、政策を紹介。「安い家賃の住まい」「奨学金チャラ」「最低賃金1,500円」など17個の政策が並んでいる。そのなかで特に注目を集めるのは、他の野党が10月に予定されている消費税率10%への引き上げに「反対」「凍結」といった姿勢を示すなか、「廃止」を打ち出している点だ。
 
5月、山本氏は本誌に登場。安倍晋三首相(64)について「深刻なデフレ下で、消費税を増税するなど、経済オンチでしかありません」と揶揄。「景気が低迷している今、まず手をつけるべきは人々の生活を底上げすること。そのために、消費税廃止を目指し、まずは5%に減税すべき」と話していた。 
続けて山本氏は「消費税は、89年に3%で始まって以来、97年、14年の2回、上がりました。そのたびに、法人税や所得税は減税されています」と指摘する。 
かつて消費税が導入された89年には19兆円あった法人税の税収だが、16年には10.3兆円に。89年を基準とする法人税の減収額は累計192.5兆円にのぼる。そのいっぽうで、消費税の税収の累計は263兆円だ。 
「この2つの数字を比較すると、消費税収の73%が、法人税の減少分に割り当てられていると見ることができます」(山本氏) 
つまり、法人税の減税で足りなくなる税収を消費税で穴埋めしている形となる。山本氏は「法人税は利益に対してかかりますが、消費税は家計が赤字であっても、消費をする限り払わなければならない“罰金”です。金持ちを、もっと金持ちにするために消費税がある」と語り、こう続けていた。 
「税金は“ないところから取るな、あるところから取れ”が基本です。日々の生活に苦しむ人たちが犠牲になっていいわけはありません」 
 
14年4月、消費税を3%増税する際に政府は「引き上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使われます」と約束した。しかし山本氏は「完全な形で“社会保障の充実”に使われたのは、3%の増税で増えた約8兆円の税収のうち16%ほどに過ぎません。残り84%の使途について、詳細を要求しても、『出しません』の一点張り。説明責任を果たす気もない」と批判。そして、こう結んでいる。 
「しかも、この7年で社会保障費は4兆円以上カットされています。消費税は社会保障のため? だまされてはいけません」 
果たして、有権者はどんな結論を出すのだろうか。