宮崎日日新聞の社説を紹介します。
安倍政権は国内ではアベノミクスがいつまでたっても「道半ば」の状態で、外交面では唯々 課題が山積で何一つ問題が解決されていません。すべてが「蚊帳の外」といわれる状態です。
拉致問題ではそもそも解決しようとする意思が見られず、近隣諸国とも一向に友好が築けていません
そんな中で、自民党の全有権者に占める得票割合である「絶対得票率」は13年の参院選以降18%前後で一貫していて、全有権者の5人に1人以下の支持しか得ていない計算になるとして、「これでは民主主義の基本とされる『多数決』『多数派による支配』ではなく『少数決』『少数派支配』であると述べています。
「反対派の声を聞く謙虚さを持て」とされる所以です。
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社説 参院選後の安倍政権 反対派の声聞く謙虚さ持て
宮崎日日新聞 2019年7月25日
自らが掲げた目標の数々を達成しないまま憲法改正に向かうつもりなのだろうか。
参院選での与党勝利を受け、安倍晋三首相は、自民党総裁としての任期中の憲法改正の国会発議に意欲を示した。22日の記者会見でも「少なくとも議論は行うべきである、これが国民の審判だ」と強調。しかし、2012年末の政権発足当初から最重要課題とうたったデフレ脱却による経済再生も道半ばで、「国難」と位置付けた急激な少子高齢化にも歯止めがかからない。看板政策の地方創生も実効が上がっているとは言い難い。
外交でも課題山積み
克服できていない課題が山積みなのは内政だけではない。北方領土返還を含む日ロ平和条約交渉、日本人拉致問題を解決しての日朝国交正常化など「戦後外交の総決算」と銘打った問題も解決の見通しが立たない。「安倍1強」状態が6年半余りも続いた割には成果が乏しいと言わざるを得ない。
12年の衆院選以降の国政選挙で6連勝したことを受けて、自民党の二階俊博幹事長は安倍首相の自民党総裁4選について「全然おかしくないという支援をいただいた」と述べた。
しかし、「全く考えていない」という安倍首相の言葉通りなら、任期は残り2年余り。諸課題に見通しを付けるには余裕があるとは言えない。安倍首相は、これまで目先を変えるように次々に提示してきたもろもろの課題にこそ取り組むべきだ。
この選挙戦で、安倍首相は「憲法について議論をする政党を選ぶのか、責任を放棄して議論しない政党を選ぶかだ」と述べ、改憲の争点化を図った。与党の勝利で民意を得たと主張したいのだろうが、安倍政権下での憲法改正に前向きな「改憲勢力」は発議に必要な3分の2を割り込んだ。
「少数派支配」自覚を
改憲は最終的に国民投票で判断される。改憲勢力が減って、3分の2に届かなかった事実は、むしろ慎重さを求める世論の表れと受け止めるべきだ。さらに、有権者全体から見れば、実は自民党支持は「少数」だったということも改めて認識しなければならない。
安倍首相は記者会見で「国民の皆さまから自民党へ強い支持をいただいた」と胸を張った。しかし、全有権者に占める得票割合である絶対得票率で見ると比例代表で約17%。13年参院選から17年衆院選も17~19%程度だ。全有権者の5人に1人以下の支持しか得ていない計算だ。これでは民主主義の基本とされる「多数決」「多数派による支配」ではなく「少数決」「少数派支配」である。
もちろん、この現状は離合集散を繰り返し、対抗勢力として成り立ち得なかった野党の責任も大きい。安倍首相は「国民の強い支持」を得られているわけではないことを自覚し、野党や反対派の声に耳を傾ける謙虚さを持つことが求められている。