2019年7月11日木曜日

安倍氏・菅氏・山口敬之氏の関係 逮捕を中断させた中村格氏と菅氏の関係

 ジャーナリストの伊藤詩織さんが、飲み物に酔って前後不覚になり的暴行を加えられ、重大な肉体的・精神的苦痛を被ったとして、元TBS記者の山口敬之氏に対して起こした民事裁判口頭弁論が8日、東京地裁であり、午前中から始まり午後6時半過ぎまで続いたということです。
 伊藤さんの弁護団の村田智子弁護士は、「裁判所は、伊藤さんのお話は真摯に受け止めてくれたのではないかと思っています」と語りました。
 伊藤さんは、東京地裁の近く日比谷公園で取材に応じ「なんとか1日乗り越えられました」「今日が一番の山場でした」、「今は呼吸ができていることにホッとしていますなどとりました
 
 この事件はレイプドラッグのような薬物を飲まされた疑いが強いという「卑劣さ」に加えて、民事訴訟を起こされた山口氏が、提訴によって収入が激減したからとして詩織さんに対し1億3000万円の損害賠償(伊藤さんが求めている慰謝料1100万円を求める反訴を起こすという信じられないような展開を見せました。
 山口氏をめぐっては、伊藤さんが準強姦容疑で警視庁に被害届を提出し、所轄の警官が逮捕状を持って成田空港に配置されたところに、警視庁の中村格刑事部長から中止命令が出て最終的に不起訴になったもので、官邸から圧力が掛かり捜査が中断し、結局有耶無耶にされた疑いが濃厚な事案でした。
 
 この件をめぐり、かつて告発記事の第1弾を出した「週刊新潮」が、10日発売の最新号でも、山口氏と安倍首相と菅官房長官の3人の関係について分かりやすく解説した記事を載せました。その要点は下掲のLITERAが紹介していますが、安倍首相と菅氏がそれぞれに、山口氏にある種の恩義を感じているというものです(菅氏の恩義というのはやや複雑なのですが、要するにそれによって今日の地位に到達できたというものです)。
 
 そうした3人の「個人的な関係」が「国家権力によって山口氏を擁護する」ことに繋がったのであれば、絶対に許されません。
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菅官房長官が“山口敬之氏への資金援助”を企業に要請の報道が! 詩織さん事件で逮捕を止めた警察官僚も菅の右腕だったが…
LITERA 2019.07.10
 ジャーナリスト・伊藤詩織さんが、安倍首相と昵懇の元TBS記者・山口敬之氏からの性暴力で精神的苦痛を受けたとして、1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟で、7月8日、東京地裁に詩織さんと山口氏が出廷し、本人尋問が行われた
 当日には傍聴しようと長蛇の列ができたほど、社会的に大きな注目を浴びるこの裁判。山口氏は詩織さんに対して、1億3000万円の損害賠償を求める反訴を起こしており、併合して審理が行われている。
 
 報道によれば、8日の口頭弁論のなかで、伊藤さんは「やめて、痛いと伝えてもやめてくれなかった」と証言、あらためて意思に反して性暴力被害を受けたと訴えた。一方の山口氏側は、性行為は合意のうえだったとして「就職相談を受けていたTBSを辞めたことへの逆恨み」「売名をはかった悪質な虚妄」などと主張。1億3000万円の損害賠償は、詩織さんの告発によってテレビ出演や会社の顧問料などがなくなった損失と、今後、名誉を回復して元の収入に戻るための時間から算出したという。
 
 性暴力を訴えた女性に対して、逆に1億3000万円もの損害賠償を請求するということ自体、信じがたいが、そんななか、この裁判をめぐって新たにとんでもない疑惑が浮上した。
 というのも、山口氏はある企業から「毎月42万円の顧問料」や「交通費その他の経費」を受け取っていたのだが、実は、その企業の会長と菅義偉官房長官は親しい関係にあり、山口氏への資金援助を依頼したのも菅官房長官ではないかというのだ。
 本日の発売の「週刊新潮」(新潮社)が報じている。「週刊新潮」によれば、山口氏に「顧問料月額42万円」等を支払っていたのは、東京都のNKBという電車の中吊りなどを扱う交通広告の広告代理店。その会長である滝久雄氏が、長年、菅官房長官と懇意にしており、山口氏がTBSを退社した2016年の11月から、NKBの子会社と顧問契約を結んだという。
 記事には、「この滝会長と菅さんが仲良しなんです。山口がTBSを辞めた後に、菅さんが“山口にカネを払ってやってくれないか”と滝会長に依頼したそうです」との広告代理店関係者のコメントが掲載されている。さらに、この関係者は、山口氏は滝会長の子会社に一度も出社したことがなく、「週刊新潮」が2017年5月に準強姦疑惑の告発記事を出すと支払いを止めたことから、山口氏との顧問契約は「どうしても断れない特別な案件だったからと考えるのが自然」とも述べている。
 
 一方、「週刊新潮」は滝会長への“山口氏支援の依頼”に関して、菅官房長官を直撃しているが、言葉少なに関与を否定するだけで、「それ以上は言えない」などと、事実上、説明を拒絶したという。
 しかし、菅官房長官の名前は、山口氏が詩織さんの事件で逮捕される直前、警察庁の上層部がストップをかけたとされる問題でも、浮上していた。
 念のため振り返っておくが、この件をめぐっては、詩織さんからの相談を受けて当初、捜査を担当していた高輪署の捜査員が、逮捕状を持って成田空港で山口氏の帰国を待ち構えていた。ところがこの逮捕直前に上層部からストップがかかった。そして、この逮捕取りやめを指示したのが“菅義偉官房長官の子飼い”である当時の中村格・警視庁刑事部長(現・警察庁官房長)だった。
 
詩織さん事件で山口氏の逮捕を止めた中村格刑事部長は菅官房長官の元秘書
 中村氏は、第二次安倍政権発足時に菅官房長官の秘書官をつとめるなど“懐刀”“菅の片腕”といわれる警察官僚。山口氏の逮捕を取りやめるよう指示したことについて、本人が「週刊新潮」の直撃に対し、「私が決裁した」と認めている。
 詩織さんの著書『Black Box』(文芸春秋)には、詩織さんが直接、中村氏への取材を二度試みたくだりが出てくるのだが、それによれば、中村氏は一切の説明をせずに逃げたのだという。
出勤途中の中村氏に対し、「お話をさせて下さい」と声をかけようとしたところ、彼はすごい勢いで逃げた。人生で警察を追いかけることがあるとは思わなかった
 私はただ、答えが欲しいのだ。中村氏にはぜひ、「私のした判断は間違いではなかった。なぜなら……」ときちんと説明して頂きたい。なぜ元警視庁刑事部長の立場で、当時の自分の判断について説明ができず、質問から逃げるばかりなのだろうか?〉(『Black Box』)
 
 いずれにしても、この件では、一度は山口氏に逮捕状がだされ、捜査員が今か今かと待ち構えるという局面まで進んだ。にもかかわらず、菅官房長官の片腕の警察官僚が直前で逮捕取りやめを指示したのだ。
 もし、菅官房長官が知り合いの企業経営者に山口氏への資金援助を要請するくらい山口氏と関係が深かったとすれば、この不可解な捜査中止も納得がいく
 山口氏は8日の法廷で、逮捕中止について「仮に逮捕状が出ていれば、自分は被疑者なので知る手段がない。もみ消しはできない」と述べたという(朝日新聞デジタル7月8日)。
 だが、資金援助要請まではしていなかったとしても、山口氏が、安倍官邸、そして菅官房長官と尋常ならざる関係を築いてきたのは事実だ。
 
山口氏の著書『総理』に出てくる菅官房長官との運命共同体的エピソード
 そもそも、山口氏はTBS時代から“安倍の太鼓持ち”と呼ばれるほど、安倍首相と個人的に親しい関係を築いてきた。安倍首相は国会で山口氏について「取材対象として知っている(だけの関係)」などと言ってごまかしたが、山口氏の結婚披露宴に安倍首相が出席していたことを「FLASH」(光文社)が写真付きで報じている。
 そして、山口氏は、安倍首相の右腕である菅官房長官ともかなり前から“運命共同体”とも言えるような関係になっていた。山口氏のデビュー作である“安倍ヨイショ本”『総理』(幻冬舎)では、当初、安倍氏が出馬を迷っていた2012年自民党総裁選を巡って、菅との直接的やりとりをしていたことを自慢げに記している。
 同書によると、山口氏は安倍と代々木のレストランで食事をし、その席で「出馬見送り」の話を聞かされるのだが、山口氏はそのあと〈すぐに菅に電話を掛けた〉のだという。この電話を受けて、菅が安倍の私邸へ向かい、出馬するよう説得。安倍は心変わりして総裁選に出馬し、総裁に返り咲いたというわけだ。山口氏は安倍が総裁に決まったあと、菅とこんな会話をかわしたことを明かしている。
〈決選投票で総裁の座を射止めた直後、自民党本部4階で私と遭遇した菅は、満面の笑みで握手を求めてきた。
「○○だけは誤算だったな。あとはパーフェクトだったでしょ?」
 不適な笑みの最後に、こう付け加えた。
「あの夜の山口君の電話がなければ、今日という日はなかった。ありがとう」〉(『総理』)
 
 いわば、山口氏は菅官房長官をして「山口君がいなければ安倍総裁はなかった」と言わしめる存在なのだ。その“見返り”に、TBS退社後も手厚く支えたとしても何ら不思議はない。そして、この“第二次安倍政権誕生の陰の立役者”を菅が見守るなかで起きたのが、詩織さんへの性暴力事件だった。
 さらに、この件をめぐっては、「週刊新潮」に告発記事の第一弾を出された直後、山口氏が“官邸のアイヒマン”の異名を持つ北村滋内閣情報官とおぼしき「北村さま」へメールを送り、記事を巡る対応を相談していたことも判明している。
 
 今回、「週刊新潮」が報じた“菅官房長官が口利きで山口氏を支援していた”との疑惑によって、またひとつ、この問題をめぐる“官邸の関与”の状況証拠が増えたことになる。年内に結審するという裁判の行方はもちろん、引き続き、疑惑の真相究明を求めていきたい。(編集部)