2019年10月8日火曜日

表現の不自由展 8日に再開/補助金の不交付は撤回を

 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由」展コーナーが、警備対策を強化し、先に係員を大いに悩ませた電凸(集中的抗議電話)対策としてはそれ用の専用回線を設けるなどの措置を講じた上で、8日午後から再開することになりました。
 NHKの記事を紹介します。
 
 この件では、愛知県の委員会が展示再開方針を決定した翌日に文化庁が有識者の審査を踏まえ4月に内定していた7800万円の全額を不交付にすることを決めました。
 それは有識者審査委員会の了解を得ずに決めたもので、庁内の不交付決定経過の議事録等も存在しないという極めて不明朗なものでした。萩生田文科相が独断的に決めたのでは・・・という見方がされています。
 新潟日報が「表現の不自由展 補助金の不交付は撤回を」とする社説を掲げましたので紹介します。
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表現の不自由展 あす午後再開 警備強化 金属探知機も
NHK NEWS WEB 2019年10月7日 21時25分
愛知県で開かれている国際芸術祭で、テロ予告や脅迫ともとれる電話などが相次いだため中止された「表現の不自由」をテーマにしたコーナーについて、愛知県の大村知事は、警備を強化したうえで1回あたり30人を上限としたガイドツアー形式で、8日午後から再開すると発表しました。
 
8月1日から愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」では、「表現の不自由」をテーマに、慰安婦問題を象徴する少女像などを展示するコーナーが設けられましたが、テロ予告や脅迫ともとれる電話などが相次ぎ、開幕から3日で中止されました。
愛知県は、中止前の状態と展示の一貫性を保ちつつ、安全対策などを講じて再開することを目指してきましたが、展示の在り方などをめぐって協議が難航してきました。
芸術祭の実行委員会の会長を務める愛知県の大村知事は7日夜、記者会見し、コーナーを8日午後から再開すると発表しました。
 
具体的には、
抗議の電話の専用回線を設け、会場の警備を強化するといった安全対策を講じ、
▽事前に抽選をして作品の解説を行う教育プログラムを受けてもらったうえで、
▽1回あたり30人を上限としたガイドツアー形式で再開するということです。
 
さらに、
鑑賞の前には手荷物を預かり、金属探知機でのチェックを行うほか、
▽動画の撮影も禁止するということです。
 
芸術祭では、中止に抗議して作品の展示を辞退するなどしていた国内外の作家たちの作品も8日からすべて展示されるということで、大村知事は「円満な形で日本最大級の国際芸術祭の完成を目指したい」と述べました。
 
 
社説 表現の不自由展 補助金の不交付は撤回を
新潟日報 2019年10月7日
 憲法21条が保障する「表現の自由」を守ることこそが国の責務ではないのか。補助金不交付の決定は撤回すべきだ
 
 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で中止となっていた企画展「表現の不自由展・その後」が、8日にも約2カ月ぶりに再開されることになった。
 企画展が中止に追い込まれたのは、従軍慰安婦を象徴する少女像や昭和天皇を扱った映像作品などを巡り、脅迫やテロ予告ともとれる電話やメールが相次いだためだ。
 大村秀章愛知県知事が会長を務める芸術祭実行委員会が、「安全な運営が危ぶまれる」として、開幕3日目となる8月3日に中止を決めた。
 それが再開される契機になったのは、詳しい経緯などを検証した県の委員会が9月25日に中間報告を発表し、再開すべきだとの方向性を示したことだ。
 芸術祭と不自由展の双方の実行委員会が展示を再開することで合意し、少女像などの展示内容は中止前と変えないことが確認された。
 
 理解に苦しむのは、愛知県の委員会が中間報告を出した翌日に文化庁が芸術祭への補助金不交付を決定し、不自由展の再開が決まっても萩生田光一文部科学相が決定を変える必要はないとの認識を示していることだ。
 文化庁は不交付の理由を「申請手続きに不適当な行為があった」とする。「芸術祭の円滑な運営を脅かす事態を予想していたにもかかわらず、文化庁の問い合わせまで申告しなかった」というのである。
 これに対しては、「展示内容を理由にしているように見える。あしき前例になる」との懸念や、「事後検閲だ」との批判が上がっている。
 
 大村知事も「合理的な理由がない」とし、「憲法21条の重大な侵害」として表現の自由を争点に提訴する構えだ。
 そもそも芸術祭への補助金は、愛知県が今年3月に実施計画書を文化庁へ提出し、有識者の審査を踏まえ約7800万円の交付が4月に内定していた
 いったん内定した補助金の不交付は極めて異例だ。それがなぜ、不自由展について愛知県の委員会が「再開すべきだ」との中間報告を出した翌日に、不交付の決定が出されたのか。
 
 不自由展を巡っては、河村たかし名古屋市長が少女像などの展示中止を要求し、一部の保守系議員も批判的だった。
 萩生田文科相は「検閲には当たらない」と強調し、元慰安婦を象徴した少女像の不自由展での展示は、判断に影響していないとの認識を示すが、素直には受け止められない。
 政治が内容に踏み込み、補助金交付に影響を与えるようなことがあれば、社会の萎縮を助長し、表現上の無用な自己規制につながる。
 文化庁は補助金を不交付とした経緯を巡り、交付審査の議事録を作成していなかった。政府は経緯をしっかりと検証し、国民に説明しなければならない。