フリージャーナリストの伊藤詩織さんが2015年に就職の件で元TBS記者山口敬之氏(53)に相談した際、飲食中に意識を失い性的暴行を受けたとして東京地検に訴えた事件では、山口氏側が名誉棄損と経済的損失を受けたとして逆に1億円の損害賠償を求める反訴を起こし係争中です。
その山口氏の代理人弁護士が、自身のブログに、伊藤さんの訴えについて「虚偽・虚構・妄想」などと記載したことについて、弁護士が所属する愛知県の弁護士会綱紀委員会が今年に入り「懲戒の審査が相当」と議決し、現在懲戒委員会が審査しているということです。
伊藤詩織さんの事案が刑事事件として立件されなかった裏には、官邸の関与があった疑いが濃厚で、それはあってはならないことです。その観点から、過去記事の繰り返しになりますがその概要を記します。
この事件では、当初所轄警察署が山口氏の逮捕状を取り、彼が帰国する成田空港に警官を配置するところまで進んだのですが、そこに警視庁の中村格刑事部長(当時)から電話が入り逮捕が中止となりました。
裁判所が発付した逮捕状について警視庁本部刑事部長が執行を停止することは本来あり得ないことで、安倍首相の賞賛本『総理』の著者である山口氏が安倍首相と懇意で、中村格氏もかつて官邸に勤務して菅官房長官と懇意だったことから、この逮捕中止とそれに続く1件のウヤムヤ化には官邸が関与したと当初から疑われました。山口氏がこの件で内調トップの北村氏(当時)に宛てたメールは当初から公開されていましたし、その後官邸の関与を示す極秘資料も明らかになっています。
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元TBS記者の代理人弁護士
伊藤詩織さんへの侮辱的な書き込みで懲戒の可能性
毎日新聞2019年10月24日
フリージャーナリストの伊藤詩織さん(30)が、元TBS記者の山口敬之氏(53)から性的暴行を受けたと主張する問題で、山口氏の代理人で愛知県弁護士会所属の男性弁護士が、自身のブログに伊藤さんへの侮辱的な書き込みをしたとして、同弁護士会綱紀委員会は懲戒の可能性があるとして懲戒委員会に審査を求めることを決めた。決定は9月12日付。懲戒委員会が審査している。
男性弁護士は、伊藤さんが山口氏に暴行への慰謝料を求めた訴訟の代理人を務めている。既に消されているブログで「詩織が主張する性暴力被害が全くの虚偽・虚構に過ぎない。虚妄に基づく一方的な主張」などと記載。また伊藤さんが被害をつづった手記について「山口氏の名誉・社会的信用を著しく毀損(きそん)する犯罪的行為」などと書いている。
県弁護士会によると、今年に入ってブログの内容などを問題視する懲戒請求を受け、法曹三者らで構成する綱紀委員会が調査。「品位を失うような非行があった」などと判断し、懲戒審査を求める議決を出した。男性弁護士は「弁護士会の議決は著しく不当」とコメントした。
伊藤さんは2015年4月、就職相談のため会った山口氏と飲食中に意識を失い、東京都内のホテルで性的暴行を受けたと主張。東京地検は16年、山口氏を不起訴処分とし、伊藤さんの申し立てを受けた検察審査会は17年9月に不起訴相当と議決した。【川瀬慎一朗】