日本はいま株高ですが、円安と投資機関の思惑によるものと思われ経済状況を反映したものではありません。日刊ゲンダイによれば庶民の懐は年末に向けてボロボロになりそうだということです。
野菜の価格はじわじわと上がり、ホウレンソウは平年比18%高、里芋は同じく12%高になっているということです。水害・火災・地震に対する損保の掛金も急増を重ね、原油が上がり、円安も進むということです。円安が進み原油価格が上がれば諸々の価格に反映します。それに重ねての消費税アップです。
一方賃金が上がる見込みは皆無です。日本はこの20年世界で唯一賃金を低下させています(毎回紹介しているグラフは主要国との比較となっていますが、開発途上国であれば賃金は一層上がる筈です)が、生活苦を知らない人たちにとってはきっと何の問題でもないのでしょう。
この頃こそさすがに「アベノミクス」を口にしなくなりましたが別に反省したからではなく、具合が悪くなったからに過ぎません。
年末の三重苦到来は明らかですが、頭の中が、改憲と軍議増強そしてトランプ氏への迎合だけで占められていてはどうにもなりません。
日刊ゲンダイの記事を紹介します。
<働き方改革の死角>日本、続く賃金低迷 97年比 先進国で唯一減
東京新聞 19年8月29日
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災害多発・原油髙・円安進行…年末三重苦が庶民を直撃する
日刊ゲンダイ 2019/10/30
29日の日経平均終値は、7営業日続伸し前日比106円高の2万2974円だった。取引時間中には一時、約1年ぶりに2万3000円台をつけた。消費増税から1カ月近くが経った日本経済について、西村康稔経済財政担当相は「全体として大きな落ち込みはない」と余裕しゃくしゃくだった。しかし、株高を尻目に庶民の懐は年末に向けてボロボロになりそうだ。消費増税の他にも、物価を押し上げる要因がワンサカあるのだ。
9~10月は、台風15、19、21号が関東、東北などを直撃。関東産地の野菜価格がジワジワ上がっている。東京都中央卸売市場の28日の野菜価格によると、群馬、茨城、栃木が主産地のホウレンソウは平年比18%、埼玉、千葉が主産地の里芋は同12%高い。
また、災害多発で保険金の支払いが増えている損保大手は今月1日、火災保険料を引き上げたばかりだが、年明けにも再値上げする予定だ。
原油価格も上向きだ。
「来年の米大統領選に向けて、景気を上向きにするため、米中緩和に動くとの見方があります。OPECの協調減産もささやかれている。WTI先物は現在、1バレル=55ドル付近ですが、年末に向けて60ドルを突破することも十分あります」(商社関係者)
原油価格が上がれば、ガソリン、樹脂製品、物流費、燃油サーチャージとあらゆるモノやサービスの価格が底上げされる。
■賃上げ要因は見当たらず
さらに、円安が止まらない。29日の東京市場は、約3カ月ぶりの円安水準となる一時1ドル=109円台前半をつけた。輸出企業はウハウハで、株価も上がるだろうが、輸入品は値上がりだ。経済ジャーナリストの井上学氏が言う。
「物価が下がる要因は見当たらない。この先、物価上昇は濃厚です。一方、給料は上がりそうにない。現在、上期の決算発表のタイミングですが、どこも業績はパッとしません。それでも、円安や米中緩和などで株が上がっています。企業の好業績を反映しての株高なら、賃上げなど従業員への還元もありますが、そうはならない。一部の投資家を除いて、多くの人は賃金が上がらない中、何重もの物価高に見舞われることになるでしょう」
懐が極寒の年末になりそうだ。